「治す」という考えがうまく行かない理由

病院でも治療院でも整体院でも99%のところでクライアントの症状を「治そう」とします。

私に言わせればそれが治らないもっとも大きな理由ではないかと考えています。

症状は表面に出てきた結果であり、その結果に対するアプローチをしている限り、一時的に表面的な変化があったとしても根本的には何も変わっていません。

良く考えれば当たり前の事なのですが、症状があれば病院や治療院に行って治してもらうものという常識に捉われている人が多いのでなかなか大事なことが見えなくなっているのです。

病気や症状が発生しているのには原因があります。結果の世界ではなく原因の世界にアプローチしていく必要があります。またそのことを本人が理解する必要があります。

慢性の病気は病院では治らない

たとえば高血圧や糖尿病で病院へ通っても治ることはありません。

症状を抑えるための薬が処方されて、それはずっと飲み続けなければなりません。ある意味一生治さない行為でもあります。でもそれが正しい医療として行われているのが現状です。

根本的に解決しようと思えば普段食べている食べ物を変えたり、運動や生活習慣を改善させなくては根本的には治りません。

お医者さんは多くの場合、病名を付けて症状を抑える薬を出すのが仕事です。そういうものだと思って医療もうまく活用すると良いでしょう。

完全に医療に依存して治してもらおうとしてもなかなか難しいと思います。

整体院や治療院では治らない

慢性的な症状は病院で治せないので治療院や民間療法の整体院に行って治してもらおうと考える人もいます。しかし残念ながらそれでも治りません。

慢性症状は生活習慣に起因していますから、最終的にはそこに目を向けていく必要があります。

でもなかなかわかっちゃいるけれどできないものです。習慣を変えるのはなかなか大変なのです。

だから一時しのぎで治療院や整体院に頼ることになります。それはそれで悪いことではありません。分かった上で整体院などを利用するのも一つの方法です。

しかし、問題なのは「こんなに通っているのに治らない!」という考えです。そのような考え方を改めない限り、治してもらうために通っても根本的に治ることはありません。

より深い原因に目を向ける

生活習慣を改善していくことで根本解決が出来ればそれが理想です。しかし実際にはなかなか難しいこともあります。

食事の内容やパターン、仕事の勤務のパターン、人間関係など、職場や家庭のストレスもいろいろあるでしょう。すべてをいっぺんに改善することは難しいです。

大切なことは、できる範囲でより深い原因にアプローチしていくことです。

痛みが出ている部位に原因があるとは限りません。むしろそうでないことの方が多いです。

膝の痛みが骨盤の歪みに起因していることもあるし、肩の痛みが足首の関節の不調和から来ている可能性もあります。

痛い側と反対側に問題が潜んでいることも多いです。

より広い目で全体を捉えて整体のセッションを進める必要があります。

施術とセッション

民間療法では治療という言葉は使うことは出来ません。法律で治療行為は出来ないのです。

もちろん治療という言葉もつかえません。そこで整体院では一般的には「施術」という言葉が使われています。施術とは「施す術」。施すとは誰かに何かをやってあげることです。

施すことは決して悪いことではなく、むしろ良いイメージがありますが、私は違和感を覚えていました。多次元操体法は一方的にやってあげることとは違うのです。

操体法では治してもらうという考えはありません。その人本人が治す人。施術者はそのお手伝いをする人という位置づけです。

一般的な整体や治療法と比較して、クライアントさん本人にも積極的に施術に参加してもらいます。一緒に感覚に気づきながら確かめながら味わって頂くのです。だから施術に変わるもっと適切な表現がないかなと思っていました。

少し前から「施術」の代わりに「セッション」という言葉を使うようになりました。よりしっくりくる感じです。

ジャズの演奏で複数の演奏家が一緒にその場の雰囲気で盛り上がって演奏する感じ。即興演奏、みたいな感じが表現としてはしっくりきます。

実際、多次元操体法のセッションは同じ症状を抱えていても人によって異なりますし、同じ人でもその時の状況で内容が変わってきます。

その時その瞬間の感覚を大切に行いますので、厳密にはまったく同じセッションはあり得ません。

身体の声を聴き取りながらその瞬間にベストの調整が行われるようにお手伝いしていきます。ベストの調整を「行う」のではなく「行なわれる」というところがポイントです。

私が調整を行うのではなく、共同作業のセッションによって結果としてベストの調整が行われるというイメージです。

多次元操体法=自動自己調整セッション

多次元操体法のセッションが深まると、クライアントの身体が自動的に動き始めて調整が始まることがあります。身体に備わっている自己調整機能が発動されるのです。

多くの場合意識とは無関係な無意識領域からの動きが出てきます。私はこれを「内なる存在と繋がる整体」と呼んでいます。

1人でも瞑想状態になるとそのようなモードに入ります。勝手に身体が動きだし、必要に応じて身体を調整してくれるようになります。

多次元操体法セッションではそのような自己調整モードに入りやすくなるためのお手伝いをしています。

整体しない整体セッション

整体、つまり体を整えようとすればするほど、内なる存在とはかけ離れてしまいます。

むしろ何もしない状態に近づくほどに、内なる治癒力が発動してきます。

治してやろうとせずに、我を出来るだけ減らして(無くすことは難しいので)、クライアントの細胞に寄り添います。

細胞の声を聴き取るような意識でいると、クライアントの身体の奥からかすかな蠢き(うごめき)が伝わってきます。

その動きと気持ち良く釣り合うことで不思議な変化が訪れるのです。

そんなちょっと変わった整体セッションを行っています。

(2016年6月)