不安や怒り、恐怖などのネガティブな感情が多いと痛みが強くなります!

幼い子供が、身体のどこかをぶつけて痛がって泣いているときに、お母さんが子供をぎゅーっと抱きしめたり、優しくさすったり、「痛いの痛いの飛んでけー!」とやったりすると、すぐに泣きやんでケロッとしてまた遊び始めます。

また、楽しいことに夢中になっているときは身体の痛みを忘れていたり、不安になるようなことを考えているときに身体の痛みが増加したり、という経験は誰しもあると思います。

このように痛みの度合いはそのときの感情によっても変化します。
このページでは、痛みと感情の関係について詳しく解説します。

ストレスと自律神経

例えばの話ですが、道を歩いていてライオンが飛び出してきたらびっくりしますよね。
ウカウカしていたら食べられてしまいますから、私ならきっと全速力で逃げると思います。

心臓はドキドキするだろうし、手足の表面は汗ばみ、全身の筋肉は緊張します。
これらはすべて交感神経が緊張して起こる身体反応です。

ライオンが飛び出してきたときにのんびりリラックスしていたら生命が危険ですから、闘ったり逃げたりできるように、身体は交感神経を緊張させてそのような反応を起こします。
それは生物にとって必要であり自然な反応です。
そしてライオンからうまく逃げて安全な場所に避難できたら、とりあえず安心して身体は元の平常の状態に戻ります。

このように身体は周囲の危機的状況に対して、適切な行動をとれるように反応します。そして危機がされば平常時の状態に戻ります。
身体にはそのような生理的なシステム(ストレスシステム)が備わっているのです。

ところが、危機的状況ではないのに、まるでライオンが飛び出てきたときのようにストレスシステムが働いてしまうことがあります。ストレスシステムの誤作動です。

ストレスシステムが誤作動し、交感神経が緊張しっぱなしになると、自律神経失調症、パニック発作(パニック障害)、不安神経症、うつなどの病気になったり、痛みやしびれなどの症状が頻繁にでたり、症状が慢性化してしまったりするのです。

脳が痛みを感じる仕組み

前ページで解説したように、痛みは電気信号です。
脳で痛みを信号として認識しています。
痛みの電気信号は最終的に脳内の2つの場所で認識されます。

  1. 脳の体性感覚皮質
  2. 脳の前頭前皮質

1.の体性感覚皮質では、電気信号を「痛み」として感知します。
2.の前頭前皮質では、電気信号が不安、恐怖、怒りなどの「感情」を発生させます。

ここが重要なポイントなのですが、脳は痛みを単に「痛み」としてだけ感じるのではなく、痛みと同時に不安、恐怖、怒りなどの感情も同時に感じているのです。

脳と痛みの拡大

脳が痛みの電気信号を情報を2つの場所で認識(痛みと感情)します。
しかし、このときの痛みや感情の感じ方は人それぞれです。
同様の外的刺激でも、人によりすごく痛く感じる人とそうでもない人がいます。

それは、過去のその人の記憶や、思い込みや決め付けなどの思考、痛みのために新たに生じた不安などの情報も、痛みの感じ方に影響を及ぼしているからです。

身体の痛みそのものは小さいとしても、過去の痛かった記憶や、ネガティブな思考習慣などの情報が大きいと、脳は痛みを増幅してしまうのです。
その人自身の思考と感情が痛みを増幅させてしまうということが起こるのです。

身体的な施術をしても改善しにくい慢性痛は、ほとんどの場合ネガティブな思考や感情が影響しています。
不安や怒り、恐怖などのネガティブな感情を解放すると痛みも解消へと向かいます。
ですから、慢性痛の解消のためには、身体的なアプローチと併せて思考や感情に対するアプローチも非常に大切なのです。