「あの~、歯ぎしりがひどいんですけど。。。」

という電話をもらいました。
歯が痛くて違和感があって、日中の歯ぎしりがやめられないというのです。
不思議と夜は歯ぎしりをしないで眠れるのだそうです。

私としては「それは歯医者さんに行ったほうがいいんじゃない?」と思いましたが、よくよくお話を伺ってみると、もちろんすでに歯医者は通っていて、痛む歯とその神経も抜いて、そしたらその両脇の歯が痛くなってきて、結局歯医者さんだけで7軒も通って治療を受けているけれど全然改善しないとのことです。

そのうちに歯の痛みだけじゃなくて、手足がしびれたり、動悸がしたり、不安感にも襲われるようになり、夜も眠れなくなったそうです。

総合病院でMRIやCTや、血液検査や神経の検査やらいろいろ精密検査をしたのですが、異常が見つからずに現在は精神科に通って安定剤と睡眠薬を飲みながらなんとか生きているとのこと。

「歯科心身症」という病名だそうです。
3年ほど前から症状が出だして、現在は仕事も出来なくなり、今年の8月から4ヶ月間も仕事も休職中とのこと。

安定剤を飲んでいるけれど、歯は痛いし、原因はわからないし、仕事もできなくて退職も考えている状況でした。
県外からの患者さんでした。

顎関節症の患者さんはみたことがありますが、日中の歯ぎしりがやめられない、という人は初めてです。
良くなるかどうか分からないけれど、できる限りのことをやってみましょうということで来院されたのです。

操体法と歯科心身症

来院してみると、見た目はおしゃれなイケメンホストのようないでたちです。(ホストくんと命名)
ホストくんは見た目はジャラジャラ、キラキラして元気そうですが、なんともつらそうな表情を浮かべています。

夜も眠れなくて3年間も睡眠薬を飲んでいるそうです。
しかもだんだん薬が効かなくなってきて、現在は結構強い睡眠薬を飲んでいるらしいです。

当院のことは実家のお父さんがネットでいっぱい検索して、たくさんの整体院の中から選んでくれたのだそうです。
まずは問診から始めました。

砂糖の過剰摂取

仙台やすらぎの杜整体院では、症状の原因は生活習慣の中にあると考えています。
なのでホストくんがどんなものを食べたり飲んだりしているのか聞いてみました。

神経が過敏になっているので、糖分の過剰摂取が気になったのです。
ところがホストくんは甘いものは「ほとんど食べません」といいます。
「じゃあ、飲み物はどんなもの飲みますか?」と聞くと、

元気ハツラツ!●ロナミンCとか、●クエリアスといった、一見健康に良さそうなイメージの清涼飲料水を毎日せっせと飲んでいるといいます。
健康のイメージで売り出されてはいますが、所詮は砂糖水の一種です。
日常的に飲みすぎていると糖分の過剰摂取になります。

砂糖は代謝の過程において体内のビタミンやミネラルを大量に消費しますから、神経に必要なビタミンB1とかビタミンB2が使われてしまいます。

その結果、知覚神経の過敏症状が出やすくなります。
また血糖値が不安定になり、不安感動悸などの症状も引きおこします。

ホストくんに、砂糖の害についていろいろと話すと、深く納得されたようでした。

胸鎖乳突筋の異常緊張

さて、施術テーブルに横になり、頚部を触診してみると、首の横の筋肉が異常にカチカチになっています。
その辺をゆっくり操体法をしてみると、ホストくんが「うおおおおおおぉぉぉぅぅぅっっっ!!!」とうめき声をあげました。

「大丈夫?」と尋ねると、
「うおおおおおおぉぉぉぅぅぅっっっ!!!ず~~~~っとこのままでいたいくらい気持ちいい~~~ですぅぅぅっっ!!!」
ちょうどそこがポイントだったみたいです。

胸鎖乳突筋やその周囲の筋肉の緊張をゆっくり丁寧にリリースしていきます。
不思議と3年間痛み続けた歯の痛みもその場ですーっとひいてくると言います。

ホストくんには「ちょうど気持ちよくなるように、首や肩を動かしていいからね。気持ちよさがなくなるまでしっかり味わってくださいね。」と言いました。
ホストくんは泣き声のような歓喜のうめき声をあげながら、数十分ひたすら味わっていきました。

この日、やったことはただひとつ。首の簡単なストレッチのような操体法をひたすら味わっただけでした。

施術が終わって、ホストくんの言葉。
「いろんなマッサージとか受けたけど、こんなに効いたの初めてです。首を伸ばしただけなのに、全身マッサージを受けたみたいに身体全身に効きました。歯の痛みもなくなりました。」とのことでした。

こちらがびっくりです。
相当ツボにはまったんですね。

歯の痛みがなくなりました

約1週間後、ホストくんが2回目の来院時のこと。

まず始めに、「で、こないだやってみてどうでしたか?」と尋ねると、ホストくんは
「もう、先生には感謝、感謝の気持ちで一杯です!!!」と言って、驚くようなことを語りだしました。

「まず歯の痛みがなくなりました。一週間たって、ちょっとだけ違和感が出てきたけど、以前と比べると全然つらくありません。」

「前回やってもらった後、好転反応が出るかな?と思ったけどそういうつらい反応もまったくなくてオドロキでした。」
「睡眠薬を3年間飲み続けたんですけど、前回の施術の夜から自然と眠れるようになって、それから全然飲んでいません。」
「歯の違和感の薬を飲む回数も半分に減りました。」
「彼女と会ったら、『テンションが高いね、目の輝きが違う』と言われました。皆喜んでくれています。」
「自分の周りの人、全員驚いています。両親、会社の上司、先輩、同僚、彼女、友達、精神科の先生みんな驚いています。」
「退職も考えていたのですが、年明けから会社にも復帰することが決まりました!」

当院に来院する前は、4ヶ月休職し、退職することも考えていたそうです。
ホストくんは、首のストレッチが相当気持ちよかったらしく、自分でも毎日真似してやってみたそうです。

「信号待ちをしている間とか、暇さえあればやっていました。」
「ジュースも一切やめて、麦茶と水だけにしました。」
そういう努力も効果を高めたのだと思います。

操体法と直観

一回の施術でこれだけの効果が現れたのは正直私もびっくりでしたが、ホストくんには正直に言いました。

「これは私が治したんでもなんでもないんですよ。気持ちよさをしっかり味わったから、身体が勝手に治してくれたんです。」

操体法の施術では、全体のバランスを整えていきます。
最初は患部から遠いところから整えていくのがセオリーです。
しかしホストくんの場合は、なぜだか最初から頚部に手がいったのです。
なぜその操法を選択したかといえば、「なんとなく」としか言えないんです。

歯が痛いのと首の筋肉の直接の関係はわからないけれど、なんとなく首の筋肉が一刻も早く解放されたがっているような気がしたのです。

操体法では直観も大切にします。
「なんとなくそう思った。」
「なんとなくそこに手が行った。」
理屈に合わなくても、それが正解であることが多いんです。

最初の施術前にいろいろとたくさん話をしたのがよかったのかもしれません。

整体が楽しみ

この文章を書いている時点(2007年12月)で、ホストくんは3回来院しました。
そのとき、気持ちよく感じられる動作をしっかりと味わってもらいました。
最初は首の筋肉だけでしたけど、背中とか骨盤とか、全身の骨格バランスも調整していきました。

他県から通院しているのですが、ホストくん曰く「毎回ここに来るのが楽しみでしょうがないんです」と言います。
施術を味わうだけでなく、家で自分でできる操体法や、彼女に手伝ってやってもらえるような操体法を覚えてもらっています。

やればやるほど気持ちが良くて体調が良くなるのが実感できるから、家でもいっぱいやっているそうです。
ホストくんは毎回喜びを素直に表現してくれるので、私も一緒に嬉しくなります。

何より、ホストくんが元気と希望を取り戻すお手伝いが出来たことが嬉しく思います。
(見た目はホストくんですけど、一流企業のサラリーマンなんですよ。職場復帰決定おめでとうございます!)

(2007年12月)