整形外科で頸椎椎間板ヘルニアと診断され、左腕がしびれている患者さんが来ました。
飲食業の30代男性です。

以前にこの方の奥さんが当院に通院して坐骨神経痛が治ったので、最初から信頼感と期待感がばしばし伝わってきます。プレッシャーです(^^)

一週間前に寝違えて首と背中が痛くなって、それから数日後に腕がしびれて、首も痛くてほとんど動かせなくなったそうです。整形外科に行ってレントゲンを撮ったら、頸椎椎間板ヘルニアとの診断でした。

来院時も首はほとんど動かせず、左腕もしびれと痛みで動かせません。
もちろん運転することもできず、奥さんに車で送ってもらってきました。

頸椎4番~5番間の頸椎ヘルニア

とりあえず、仰向けになってもらいましたが、痛みで「う~ あ~っ」とうめいています。
首は動かすと痛いので、とりあえずパス。腕を挙げると痛いのでこれもパス。
操体法では痛みや不快感をともなうことはしません。

頸椎4番~5番間の頸椎ヘルニアとの診断ということでしたが、しびれが小指側から腕全体に出ているので、ヘルニア部位とは別に症状の原因があると思いました。

広背筋にトリガーポイント(コリ)があり、しびれ・痛みの分布も広背筋の関連痛領域と一致しています。
トリガーポイント療法として、トリガーポイント(コリの親玉みたいの)に直接アプローチする方法もありますが、このときはなんとなく、操体法で脚の方から何かやってみようと思いました。

操体法の師匠は、患部から遠いところからアプローチするように言います。
一見症状と関係のなさそうなところに、原因が潜んでいる場合もあります。

操体法 膝倒し操法

両膝を立ててもらい、右に倒すと「うお~~!」とうめきます。背中の方が痛いようです。
なので膝を左に倒しました。すると痛みが「楽」になりました。
この人にとってはどの体勢も痛くてつらかったのが、左膝たおしで楽になってとてもいい感じみたいです。

「わ~!楽です。痛くない」と喜んでます。
そのままの状態を味わっているうちに、「楽」が「気持ちよい」に変わってきたようです。
気持ちよい動作が見つかったら、あとはそれを味わうのみです。
左膝倒し操法を数分間味わってもらいました。

その結果、 右の膝倒しの動診(動きの検査)をすると、さっきは「うお~!」とうめくほどに痛かったのに痛くなくなったのです!

操体法 三軸操体法

再度左膝倒しをやってみます。
今回は三軸操体法です。

三軸操体法というのは、三軸修正法という治療法の考え方を操体法に応用した療法です。
(三軸操体法は師匠の今先生が考案しました。)
立体の3つの軸の動きを合成して、操法を行ないます。
(理論的には結構難しいのですヨ♪)

膝を左に倒しつつ、右肩を下げ、さらに背中をそらすと気持ちよいので、これを数分間味わいます。
その結果、右の膝倒しをしたときの動ける範囲(可動域)がぐーんと大きくなりました。

操体法 逆モーション

でも右にいっぱいに膝を倒すと首に痛みが響くと言います。
今度は痛いところからの逆モーション操法です。

操体法では、快適感覚を味わいますが、快適感覚は不快な動作の反対の動きの中に隠れていることが多いのです。
痛い所から痛くない方向に動いてくる(逆モーション)と、その途中で気持ちよく感じられるところがあれば、そこが味わうポイントです。

膝を右に倒して首が痛む所から、逆方向に膝を起こしてきてもらいます。
首にじわ~っと効いてくるかんじがするところで味わってもらいました。
すると、、、
右に膝を倒すと、あれほどうめくほど痛かった首・肩の痛みがなくなってしまったのです!
さらに、、、
左腕のしびれまでとれちゃいました!

まだ多少突っ張り感はありますが、首の痛みと腕のしびれがほぼなくなりました。
「帽子をかぶるのも大変だったんですよ」と言いながら、スイッと帽子をかぶって喜んでいました。

操体法と全身のバランス

「あとは、自然と良くなりますよ。」って言ったら安心して笑ってました。
この方の奥さんも、操体法をやったときにとても上手に動ける人(原始感覚が鋭い)なので、「今日やったことを思い出しながら、奥さんに手伝ってもらって家でもやってみて下さいね」といいました。

急性痛や、痛みが強い場合に、患部そのものに触ると嫌な痛みなど不快感が強くなります。
なので、痛いところには出来るだけ触れないようにします。

今回の症例では、痛みがある首や肩には一切触れずに、痛みがなくなったのです。
左腕のしびれも、左腕には一切触らずになくなりました。
本日の施術の際に触れたのは、痛みが全くない脚と右腕です。

操体法の施術ではこのようなことが多くおこります。
なぜなら頸椎ヘルニアの治療をしたわけでも、患部を治療したわけでもなく、全身のバランスを整えたからです。
「バランスを整えた」というとそれでもまだ言い過ぎで、操体法の気持ちよさを味わった結果、身体が自然とバランスを取り戻したのです。

全身の筋肉・骨格バランスが修正された結果、患部の負担が軽減し、痛みが解消したのでした。
自然治癒力って素晴らしい♪

(2006年12月)