股関節痛の整体(多次元操体法)の症例です。

股関節痛で悩んでいる60代男性が来院しました。生まれつきの先天性股関節脱臼で、40代で片側の股関節の手術を受けています。今回は反対側の股関節が痛くなって来院されました。

かかっている整形外科では人工関節の手術を勧められています。

当院の整体的な見方では、股関節痛の原因は股関節以外の部分にもあると考えます。足首~膝~股関節~骨盤~脊柱の繋がりに何かしらの不調和があるために股関節に痛みが出ていると考えます。

だから検査も股関節以外の部位にも行いますし、全身が調和するようにアプローチしていきます。

多次元操体法による骨盤の整体

この方は仰向けになると左の股関節に痛みがありました。

マッサージ店や治療院等ではうつ伏せで治療や施術を受けることが多いですが、その人にとってうつ伏せの姿勢が苦しければその状態で施術を受けると身体の状態は悪化する可能性があります。

両膝を曲げると股関節痛が楽になりましたので、その体勢から施術をスタートしました。

膝を右に倒しても、左に倒しても腰に痛みやツッパリ感があります。足を延ばすのも嫌。左右にひねるのも嫌。こんな時は身体は丸まったり縮みたがっている状態なのです。

そこでクライアントさんには脱力してもらったままで静かに膝を持ち上げて体を丸めていきます。そこで静かに身体に耳を澄ましていると、身体の奥から小さな蠢き(うごめき)が伝わってきます。

かすかな動きをキャッチして、その動きを増幅するようについていきます。そうすると身体が自然と動き出します。その動きによって導かれた姿勢こそが、「治癒の体勢」となります。

これは私の判断でそのような体位を作ったのではなく、クライアントの身体からの情報を読み取りながら結果として作られた体勢になります。そしてその体勢を取りながら身体の感覚を味わいます。とても気持ち良い感覚があります。

しばらくその感覚を味わいます。しばらくといっても十数秒です。

その後元の体勢(膝を立てた仰臥位)に戻ります。膝倒しも左右スムーズになりました。可動域が激変しています。腰の痛みもありません。足を延ばしても股関節の痛みもなくなりました。

身体の声を聴く整体

多次元操体法では身体との直接対話を行います。

O-リングテストや筋反射テストではなく、直接感覚を通じて情報を読み取ります。だから訓練、稽古が必要です。整体の臨床の場、施術時だけでなく、日頃の日常生活の過ごし方も大事です。

普段から物を大事に扱ったり、自分の身体を大切に扱います。そうすることで感覚が研ぎ澄まされます。繊細な情報を聞き分けられるようになります。

「身体がどうしたいのか?」という情報は身体に存在します。その情報をダイレクトに受け取ります。ダイレクトに受け取りながらそのまま手技を行います。同時にエネルギーを感じます。ヒーリングと整体が同時に進行します。

多次元操体法の特徴としては、一種類の手技で一度に多くの部位が変化します。だから手数も時間も少なくて済みます。必要最小限の刺激を提供します。身体が本当に望んでいる必要な刺激は思っているより案外少なくて良いのです。

股関節痛の整体

一般的には股関節が痛いと股関節が悪いと考えます。病院でも治療院でも、股関節の治療が行われます。私に言わせればだから治るものも治らなくなります。

実際に股関節の変形があり、それが真の原因であればよいのですが、多くの場合股関節の変形以外の原因があります。股関節を含めた全身のバランスの不調和があるわけですからそこから見て行く必要があります。

このクライアントさんの場合には、骨盤のバランスが変化して、さらに左右の股関節のバランスが変化して、そして左右の腕のバランスが変化して、動作も姿勢も変わり症状も楽になられました。

筋膜の繋がり、骨格のアライメント、関節の可動性、いろいろな見方や検査法がありますが、必要なことはその人の身体が知っているという前提でその人に向き合うと答えが得られやすくなります。

直観にピッと答えがやってきやすくなります。

痛い患部は後回しにする整体法

当院の多次元操体法では、痛いところはほとんど触りません。検査で確認する時くらいです。

股関節痛の人も股関節には直接は触りません。主に足からアプローチしていくので、結果として股関節も変化しますけど股関節そのものにアプローチすることは少ないのです。

股関節以外の所からアプローチして、全身のバランスが調和するようにお手伝いします。最後の方に必要に応じて股関節周辺にアプローチすることもあります。

その場合でも、股関節以外の部分との関連を考慮して施術を行います。

股関節と全体の繋がりを考える整体

股関節の周辺の筋肉はどうなっているのか、そして筋膜がどう繋がっているのか?

そういう視点で身体を見ていくと、腕を動かすことで股関節が楽になったり、足首のバランスが変わると股関節が楽になったり、いろいろな可能性が見えてきます。

そのクライアントさんの身体の使い方のクセや、痛めたときの動作などからいろいろなヒントも得られます。股関節とは関係ないようなところの過去の怪我が現在の股関節の症状に影響を与えていることもあります。

人間の身体の整体は教科書通りには行きません。教科書通りでもある程度の変化は起きますが、表面的な変化に終わります。深い部分から変化するにはいつもとは違った見方で身体を捉えてみると何かヒントが得られるかもしれません。

自分が「治してやろう」という我を減らして、ただその人に寄り添ったときにヒントが直観に降りて来やすくなります。普段から直観と観察力を磨いておくことも大事です。

(2016年6月)