整形外科で腰部脊柱管狭窄症と診断された患者さんが来院されました。
小学校の先生です。50代の男性です。

2週間前にぎっくり腰になり、まずは整形外科の病院に行って湿布と痛み止めともらってだいぶ痛みは楽になりました。しかし立ち上がるときに腰痛があります。
その痛みがなかなか取れないので、心配になって別の整形外科の病院に行って画像検査してもらったそうです。

その結果、「腰部脊柱管狭窄症」と言われました。
その整形外科の病院では
「このまま放っておくと、足がしびれて歩けなくなって、場合によっては手術の必要がある」
と言われたのだそうです。
それを聞いた先生はがっかり落ち込んでしまいました。

腰痛の真の原因

手術を受けるのも嫌だし、歩けなくなるのも嫌だということで、インターネットで検索して当院を見つけて電話をしてきたのです。
「いやー、、もー、、ガクーっときちゃいましてねー。」
と電話口でも明らかに精神的なショックを受けている様子でした。

予約して来院していただき、お話を伺ってみると、夏はスキューバダイビング、冬はスキー、普段はサッカーが大好きで、スポーツが趣味だといいます。
「スポーツが趣味の私にとっては歩けなくなるのは死の宣告と同じです!どうしたら良いでしょうか?!」
と先生はもう泣きくずれそうな様子です。
(スポーツ大好きなのでスポーツ先生と命名♪)

当院にヨーロッパ(EU諸国)の急性腰痛診療ガイドラインを要約した資料があります。
それによると、「急性腰痛の治療に関する勧告」という項目の中に、
「適切な情報を与えて患者を安心させる」という文があります。
ところが、日本国内においては、西洋医学であれ、民間療法であれ、「不安と恐怖を与えられてしまう」ケースが非常に多いように思います。

私はスポーツ先生にまず、安心してもらうことからはじめました。

  • 構造の異常と痛みは無関係であること(現代医学の最先端ではそのことが証明されています)
  • 海外の先進諸国の腰痛治療の現状
  • 腰痛の真の原因と対策
  • 気持ちよさで体が良くなるという自然原則

そんな話をしているうちにスポーツ先生の表情が少しずつ明るくなってきました。

操体法とノビ

気持ちが安心したところで、実際の施術を始めます。
気持ちがリラックスした状態で操体操法を行なうと効果が高まります。
(緊張した状態で操法をやってもあまり効きません。)
初めての来院ですし、体がびっくりしないように、丁寧に優しい刺激からはじめます。

あお向けに寝てもらい、脚を伸ばしたまま、ゆっくりと「ノビ操法」をしてもらいました。
(※ノビ操法はどの操体法の本にも載っていません。当院オリジナル操法です♪)
するとすごく気持ちがいいと言います。
「へぇ~!!気持ちいいですね~!! へぇ~!!! 不思議な感覚です!!!」
スポーツ先生は何度も「へぇ~」を連発しながらしきりに感心しています。
不思議も何もただノビをしただけです(笑)

あんまり気持ちが良さそうなので、やりたい回数だけ何度もノビ操法を味わってもらいました。
ノビ操法をするたびに、「へぇ~! 気持ちいい~!へぇ~!!!」と不思議がっています。
赤ちゃんや幼児の頃は無意識にノビをしてからだのバランスを整えますが、たいていの大人の人同様に、スポーツ先生はしばらくノビの快感を忘れていたようです。

ノビがこんなにも気持ちよいということを、身体が思い出しているのです。
そしてノビ操法をするほどに腰が楽になっていきました。
気持ちよさで楽になるということを体験されて、それがとても不思議だったようです。

操体法 つま先上げ

さらに、あおむけで膝を立ててもらい、操体法の基本操法である「つま先上げ操法」をやってみました。
すると、
「へぇ~~~!! 気持ちいい~~~~!! 不思議だぁ~~~!!!」
とスポーツ先生。

こんなに感心して喜んでもらえると私も楽しくなってきます。
ついついもっとあれこれやってあげたい気持ちになります。
しかし操体法の創始者の橋本敬三先生は、「60点でよし」と言っています。
あんまりあれこれやりすぎるのも良くないのです。

もっとやってあげたい気持ちを抑えて、この日の操体法はこれで終了にしました。
その後、光線療法をしているうちに、スポーツ先生はグーグーいびきをかきながら眠ってしまいました。

操体法 つま先上げ

スポーツ先生が眠っている間に、次の予約の患者さんがいらっしゃいました。
次の方も初めての来院なので、不安そうな面持ちです。とりあえず、待合室で問診票を記入してもらいました。
問診票を書いてもらっているうちに、スポーツ先生の光線療法の終了を知らせるタイマーが鳴り、スポーツ先生が目を覚ましました。

そして、第一声。
大きな声で「いや~~~! き~もちよかったぁ~~!!!」
そして、待合室で待っていた次の患者さんに向かって、
「いゃー、ホント気持ちよかったよ! 俺、歩けなくなるって医者でさんざん脅されてガク~ってなってたんだけど、ホント来てよかったよー♪ 不思議だー!」
とまるでサクラかというくらいに、喜びを伝えてくださったのでした。
スポーツ先生、ありがとうございました。

おかげで、スポーツ先生の喜びの波動が伝わったせいかどうかわかりませんが、次の方にもスポーツ先生と同じくらいに喜んでもらうことができたのでした♪

(2007年3月)

※スポーツ先生は2007年3月に3回来院して、手術の可能性をも言われていた腰痛がなくなりました。
その後、手術をすることもなく元気に生活されています。
半年に一回くらいときどき腰を痛めたときに来院しますが、操体法の施術を受けるとすぐに元気になります。