寝違えによる首の痛みで来院された患者さんの操体法症例をご紹介します。

寝違えて首が痛くなった経験は誰にでもあると思います。たいてい数日から1週間以内には痛みもなくなり治癒します。ところが、あまりに激痛でまったく首を動かせなくなってしまうケースや、最初は寝違えたくらいに軽く思っていたのが、何週間も場合によっては何ヶ月も痛みが取れないようなケースもあります。

どちらのケースでも痛みがその場で100%消失しないにしても、施術により首の可動域が改善すると回復も早まります。その場ですっかり痛みがなくなってしまうこともありますが、多くの場合は痛みは少し残るものの、楽に動かせる範囲が広がります。そうするとその後の回復のスピードが全然違います。

本日来院した常連さんのSさんは、数週間前に寝違えたのですが、なかなか痛みが治らずに、顔を振り向くような動きをすると肩の辺りに痛みが出るという状態がずっと続いていました。操体法の施術の様子を紹介してみましょう。

寝違えの首の痛みへの操体法施術

まずはSさんの体の状態をチェックします。

右のほうを向こうとすると首の付け根に痛みが走ります。きっかけは何週間か前に寝違えて、それ以来痛いんだそうです。左を振り向くのは楽にできます。

腕を挙上するのも、肩の関節がやや引っかかって、挙がるのは挙がりますが苦しそうです。

施術台の上にあおむけに寝てみると、つま先の方向が左右で同じ方向に向いています。足首の関節や股関節がねじれたようになっていました。

寝違え整体-足関節と股関節の調整

操体法の施術では痛い患部は後回しにします。なるべく遠いところから施術を行ないます。

Sさんが仰向けになると、足首や股関節が明らかにねじれた状態になっていましたからそこからスタートすることにしました。

とは言っても、操体法の施術は絶対的に正しい決められた手順というのはありません。決まりがあるとすれば「不快なことはしない」「楽な姿勢からスタートする」ということでしょうかね。

だから操体を行なう先生によってもやり方が全然違います。私も同じような症状の人が来てもその人によってやり方が異なります。そのときの直観も大切にしています。

足首付近に手を添えて、操法をスタートです。Sさんは2年前から10回以上来院していますから慣れたもので上手に気持ち良さそうに連動して動きます。足首から膝関節、股関節、骨盤、脊柱と全身をねじって気持ち良さそうに動きました。それで股関節の歪みも整って足のつまさきの向きも左右対称になりました。

そこで一端ベッドに腰かけてもらって、肩関節の可動域をチェックすると腕もスイスイと挙がるようになりました。首を動かしてみると痛みはあるものの、さっきより楽に右を向けるようになりました。

足首からアプローチしても、頸椎まで調整されるのです。

寝違え整体-腕のねじれの調整

寝違えたときには、右側を下にして寝ていたそうです。そういう場合は右腕の骨格や筋膜のバランスがおかしくなって、それが首の痛みに影響していることが多いです。

案の定、肘の関節を調整すると首の痛みがさらに楽になります。右側にスイスイ振り向けるようになりました。肘の上には上腕骨、肘の下には橈骨と尺骨があります。それらの三本の骨のバランスがおかしくなっていたのです。先日症例で紹介した腱鞘炎の方のように手首に症状が出ることもあれば、肩や首に症状が出ることもあるのです。

上腕骨、橈骨、尺骨のバランスを整え、前腕と上腕の筋膜のねじれを調整したら、右を向いたときの首の痛みはすっかり良くなりました。

寝違え整体-頸椎の調整

次にあお向けで頸椎の調整をします。

まず足首や股関節を整え、右腕を整え、右を振り向くのは楽に出来るようになりました。ところが、仰向けで頸椎を左右に回旋させてみると、右に向くのはすっかり良くなったのですが、左に向くときにやや違和感が残っていました。

座位(座った姿勢)で右腕を調整して右を向けるようになったので、では再び座位になってもらって、左腕を調整しようかと思ったのですが、座位になると左を向いても違和感はでませんでした。座った姿勢だと、頸椎だけでなく脊柱全体でねじるようになるので痛みが出ないのですね。

仰向けに寝た姿勢では背部が固定されますから、頸椎の歪みの影響が直接でます。

ということで、これは頸椎の問題であると判断し、また仰向けになってもらって、三軸操体で頸椎のねじれの歪みを整えたところ、左右ともスイスイと振り向けるようになりました。

寝違いの整体施術のまとめ

このケースは、その場で痛みがほとんどなくなり、左右ともスイスイ振り向けるようになりました。しかし、痛みが残っていたとしても、動かせる範囲が広がるとその後の回復のスピードが全然違います。

ちょっとわずかに動かすだけで激痛が走っていたのが、だいぶ動かせるようになって、大きく動かして可動域一杯で痛みが出たとしても、普段の生活の中でそこまで動かさないようにすればいいわけですから、痛みを感じる頻度も減ります。そうすると筋肉も神経もリラックスした状態になれますので回復モードに入りやすくなるというわけです。

今回のSさんは、股関節、右腕、頸椎のねじれが関係していました。人によって歪み方も違いますし、歪みがその人にとっての許容範囲内に収まれば、身体が自然と回復モードになりますので、その人の体の都合に合わせた調整が必要ということです。

(2011年8月)

寝違えの首の痛みが長引く原因

ほとんどの場合、数日から1週間程度で寝違えによる首痛は治っていきます。数週間経っても治らない場合は必ず回復を妨げる原因があります。いくつかの原因を紹介します。

骨盤の歪みと寝違え

骨盤が歪んでいると、筋膜の繋がりの影響で上半身にも影響が出ます。寝違える前から骨盤の歪みの影響で首の動きが悪くなっていたとしたら、骨盤の歪みによって回復が妨げられている可能性があります。

当院では全身のどんな症状で来院したクライアントさんでも、骨盤の状態は必ずチェックしています。なぜなら骨盤は体の中心にあり、上半身にも下半身にも大きな影響を与えるからです。

寝違えに限らず骨盤の歪みを整体することで、全身のいろいろな症状が改善することは珍しくありません。

上肢の歪みと寝違えの関係

寝違えの直接の原因としては、寝相が悪くて首に痛みが生じてしまうケースが多いです。その場合に横向きで丸まって寝ていたりして、腕が捻じれてしまうのです。

例えば、右側を下にして右腕を身体の下敷きにした状態で寝ていると右腕が押しつぶされた状態が長時間続くわけです。そうすると前腕と上腕のバランスに不調和が起きてしまうことがあります。

腕が捻じれて首の筋肉を引っ張り、そして寝違えを起こしてしまうのです。寝違えの整体施術の一番のポイントは頸椎や首周辺の筋肉よりも腕のバランスが大切だと考えています。実際腕の捻じれを整体で調整することで、ほとんどの寝違えの痛みがその場で改善します。

寝違えと肩こり・肩甲骨周辺のコリ

寝違えを起こす人はほとんどの場合肩こりや肩甲骨周辺のコリの症状を抱えています。肩こりがない小さな子供は変な寝方をしてもどんなに寝相が悪くても寝違えになることはめったにありません。

たとえ寝違えを起こしても数日以内に良くなります。しかし、日頃からガンコな肩こりに悩まされていると寝違えにもなりやすいし、一度なるとなかなか治りにくいものです。

さらには、寝違えがようやく治ったと思ったらまた首が痛くなったりして、根本の原因が治っていないので再発を繰り返すのです。

このような場合には患部の寝違えの痛みが良くなっただけでは整体の施術としては不十分で、肩こりや肩甲骨周辺のコリも緩むように施術していく必要があります。

頸椎のストレスと寝違え

寝違えを起こしやすい人は頸椎周辺にストレスがかかっています。要は首の筋肉がこり固まっているのです。だから首を痛めやすくなります。では首こりをマッサージなどで緩めればいいのか?というとそんな単純でもないのです。

なぜなら首の筋肉はこり固まる必要があって凝っているとも言えます。つまり身体は首の筋肉を固めることで頭の重さを支えているのです。首の筋肉を固めないと頭の重さを支えられないようなバランスになってしまっているのです。

このような場合には、まず首の筋肉をほぐすのではなく、頸椎にかかっているストレスを取り除くことを優先して整体の施術を行います。骨盤や脊柱のバランスを整えていくことが大切なのです。

その上で必要に応じて頸椎や首の筋肉の調整を行っていきます。

食生活の問題

寝違えを起こした時には痛めた患部に小さな炎症が起きています。組織が微笑レベルで損傷を受けているのです。だからその損傷が回復するためには栄養が必要となります。

数週間経過しても寝違えの痛みがなかなか良くならないという場合には、肉体面の歪みだけでなく栄養の問題も考えられます。必要な栄養素が補給されないとなかなか痛みが取れないというケースも最近増えています。

適切な栄養素をしっかり補給すると回復していきます。必要に応じて分子整合栄養医学を導入している専門クリニックを紹介させて頂く場合もあります。

精神的ストレスと痛み

精神的ストレスも痛みと深く関係していることが近年医学的にも注目されるようになってきました。精神的なストレスが自律神経のバランスを乱して回復しにくい体になります。

精神的なストレスには自覚しているものと無自覚なものが含まれます。無意識領域に抑圧している感情のエネルギーが体の痛みとして現れている場合もあるのです。そのような場合には、自分自身の内面と深く向き合うことで解決していきます。

当院ではEFT(感情解放テクニック)を用いてストレスやトラウマ解放のメニューも用意してあります。必要に応じてEFTも活用して心身両面から回復のお手伝いをさせて頂きます。

(2017年2月追記)

寝違えの整体症例

寝違えの整体症例を紹介します。「寝違え」で検索して何軒か治療院が出てきたけど、当院のサイトが一番しっくり来たそうです。

「どの辺がしっくり来ましたか?」と尋ねると、「痛みをその場で治します、みたいなことが書いてあると逆に信じられない。ここは痛みがその場で取れなくても自然に治るように導いてくれそうだったから来ました。」と何とも嬉しいお返事が返ってきました。

確かに痛みを一発で治します、みたいなことを書いてあるとそんなわけがないって思いますよね。当院でも一発でその場で痛みがすっかりなくなってしまう人もいるけれど、全員がそうなるわけではありません。

痛みの感受性も人それぞれだし、生活習慣も考え方も違うわけだし、整体の施術に対する反応も人それぞれです。腰痛でもぎっくり腰でも一発解消、なんてのはそれだけで嘘くさいですもんね。

特に寝違えは急性の炎症を起こしていることが多いので、言ってみればケガのようなものです。当院ではそのケガを治すのではなく、どうしたら体がそのケガを早く治してくれるだろうか?という視点で整体をしています。

直接痛い所に施術をするとかえって悪化するリスクもあります。それを好転反応ですと説明する整体師もいるかもしれないけど、治療によりかえって回復を遅らせてしまっているケースも多いように感じます。

良かれと思って余計な事をすれば逆に回復が長引きます。案外そういう治療しちゃっているところも多いですから注意が必要です。

ヨガで寝違えた?!

この方は前日、スポーツクラブでヨガのレッスンを受けてました。レッスン中も首や肩に違和感を感じていたのですが、無理して頑張ってやっていたところ、レッスン終了直後から首から肩にかけて激痛に襲われました。

家で休んでいたらどんどん痛みが増すので不安になって整形外科に行ってレントゲンを撮ったけど特に異常は見つからず。「これは寝違えのようなものだから」と痛み止めと湿布を貰って帰ってきたそうです。

その後寝違えで検索して当院に来院されました。

無理した結果が寝違えに…

ご主人の仕事の転勤で仙台に来て、ご自身曰く「自堕落な生活」を送っていたそうです。菓子パンばかり食べていたところ55キロだった体重が70キロになってしまって、これではいけないと一念発起。

スポーツクラブでヨガのレッスンに参加するようになって二回目で今回の一件。ちょっと頑張りすぎてしまったようですね。ご本人もそのところは重々承知でした。

寝違えと多次元操体法

この方は首の左側から肩にかけて痛みがあり、左肩が大きく下がった状態で、右に振り向くのがやりにくい状態でした。体が歪んで固まってしまっている実感もありました。

痛いのを無理に動かせばかえって痛くなります。なので、痛くないところを気持ちよく動かしていきます。全身の歪みとこわばりが解消するだけでもかなり全身の緊張が和らぎますので、寝違えの患部にだけ捉われずに全身のバランスが調和するように導いていきます。

右腕、右肩の不調和

痛いのは左首、左肩なのですが、動きの検査をすると右腕や肩の方可動域制限が見つかりました。痛い方はスイスイ動けます。こんなときは痛い所はそっとしておいた方が良いのです。

骨盤と首の繋がり

仰向けで寝ようと思ったら首が痛くて辛そうだったので座位のままに施術を勧めることにしました。骨盤、股関節の検査をします。右の股関節を屈曲すると左の首に痛みが走ります。

「へー、繋がってるんですねー。」とご本人も納得です。右の股関節を伸展するように踏み込んで、連動を上半身に伝えます。とても気持ちが良さそうな様子。この感じを味わって頂きます。

すると、右の股関節を屈曲しても左の首は痛くなくなりました。

寝違えと脊柱の捻じれ

脊柱の捻じれも調整します。右を向きにくいので右側を向いた状態からデリケートにゆっくり左に戻します。その動きをそっと受け止めます。背中や肩甲骨周りにじんわり気持ちよさが広がります。

この操法をやった後は、脊柱の可動域も広がり、右腕や肩の可動域制限も取れました。

寝違えと腕の調整

当院では寝違えの方は腕の調整を重視しています。腕が捻じれていると首や肩や肩甲骨周辺に影響を及ぼします。この方は実際には寝違えたわけではなく、ヨガのレッスンで無理なポーズを頑張った結果ですが、寝違えのような症状なので腕も丁寧に観ていきます。

症状は左側ですが、施術は右腕にしました。右腕による強く不調和を感じたからです。そして右腕の捻じれの調整をしてこの日の施術を終わりました。

全身のバランスの調和

寝違えであれ、他の症状であれ、全身のバランスの調和を取り戻すことを心がけています。その調和さえ取り戻せればあとは必要なことは体がやってくれます。クライアントさんもその点はしっかり理解して下さって、安心してくれました。

動きは楽になりましたが、数日後に大事なイベントを控えていてそれまでに良くしたいということでまた翌日もご予約を頂きました。

このまま放置しても日に日に痛みは楽になると思われますが、急性痛の場合は感覚を詰めて施術を受けられるとより早く回復のお手伝いが出来ます。より適切な通院間隔や頻度はその方に合わせて提案させて頂いています。

(2017年4月追記)