整形外科で変形性股関節症の診断を受けたあなたへ
このページでは変形性股関節症の症状と原因について解説します。
手術を勧められることも多い病気ですが骨や関節の変形があっても痛みがない人もいます。
整体で骨の変形を治すことは出来ませんが、痛みが改善する人はたくさんいらっしゃいます。
当院の見解と整体のアプローチも紹介いたします。
変形性股関節症とは
股関節の構造に破綻をきたした状態を指します。
症状と原因について説明します。
股関節の構造について
股関節は脚の骨(大腿骨)が骨盤にはまっている部分を指します。
大腿骨の骨頭という部分が、骨盤の臼蓋にはまっています。
正常な状態では大腿骨骨頭と臼蓋の表面は軟骨に覆われツルツルしています。
関節は関節包という袋に包まれていて、中身は少量の関節液に満たされています。
関節液が潤滑油の役目を果たしています。
病気やケガや加齢などにより関節の構造が壊れてくると痛みや動きの制限が出てくると言われています。
症状
症状としては
- 股関節の痛み
- 機能障害(運動制限)
があります。
- 立ち上がる時に痛い
- 歩き始める時に痛い
最初はそのような症状を訴える方が多いです。
関節の変形が進行すると痛む時間も長くなります。
何もしなくても常時痛みがある人もいます。
日常生活で困る場面
日常生活の以下のような場面で痛みを感じます。
- 足の爪を切る
- あぐらをかく
- 靴下を履くとき
- 和式トイレでしゃがむ
- 正座
等々。
また長時間立ちっぱなしになったり歩き続けたりすると関節に痛みが出ます。
台所仕事、階段の昇り降り、車やバスの乗降といった日常生活のいろいろな場面で痛みを感じ精神的にも苦痛を感じます。
関節の変形の進行
関節の変形の度合いによって前期、初期、進行期、末期に分けられます。
前期
関節の接合部の骨が固くなり画像検査で白く映ります。(骨硬化)
初期
初期になると大腿骨骨頭や臼蓋の軟骨が薄くなったり、関節の隙間が小さくなったりといった構造の変形が見られるようになります。
進行期
さらに進行すると骨にトゲのようなものが出来たり(骨棘の形成)、骨嚢包という空洞部分が出来たりします。
末期
末期になると関節の隙間がまったくなくなり骨同士が直接ぶつかるようになったり、関節が全体的に変形したようになります。
進行が進むほどに変形も大きくなります。
原因の大半は臼蓋形成不全
変形性股関節症になるのは圧倒的に中高年の女性が多いと言われています。
臼蓋形成不全の他には、先天性股関節脱臼がある人もなりやすいと言われています。
一般的な治療法
次に変形性股関節症に対する一般的な治療法を紹介します。
保存療法
保存療法は手術をせずに痛みを和らげたり進行を遅らせたりする方法です。
関節の負担の軽減
日常生活の中で股関節の負担を減らすように気をつけます。
たとえば重い荷物を持たないようにしたり、長時間歩くのを控えたりなど。
知らず知らずのうちに関節を痛めている習慣があるかもしれません。
自分が出来る範囲で関節の負担を減らす努力をしていきます。
体重を減らす
股関節痛に悩む女性は痩せている人よりも太っている人の方が多いです。
体重が重い分当然関節にかかる負担も大きくなります。
健康的にダイエットする方法を試してみると良いでしょう。
杖の利用
杖を使うことで歩行時の関節の負担を減らすことが出来ます。
日常生活の中で痛みを感じるシーンが多いとそのたびに関節にダメージを与えることになります。
杖を利用することで日常動作が楽になれば進行を遅らせることが出来ます。
筋力トレーニング
脚や臀部の筋肉が弱ると体をうまく支えることが出来ず、関節の負担が大きくなります。
脚や臀部の筋肉を鍛えると関節の負担が軽減するだけでなく、血流が増進することにより患部への栄養や酸素の供給も改善します。
それほど変形の進行が進んでいない段階であれば、変形があっても痛みがなくなるケースもあります。
痛みが強い場合には関節の負担にならないように注意が必要です。
鎮痛治療
痛み止めの薬で炎症を抑えたり痛みを和らげます。
薬の力で痛みを抑えるだけなので変形の進行を抑える効果などはありません。
外科手術
保存療法を行っても痛みが改善されず日常生活に支障をきたす場合には外科手術が行われることもあります。
内反・外反骨切り術
大腿骨の骨頭の下の部位をクサビ形に切り出し、臼蓋に対して骨頭の角度が変わるように再度ボルトでくっつけます。
寛骨臼移動術
骨盤側の骨を切って手術を行います。
技術的に困難な手術と言われています。
人工関節置換術
人工的な関節を埋め込む手術です。
人工関節の素材の進化や手術の技術の進歩により耐久性も高まってきています。
海外では日帰りの手術も行われるようになっているようです。
当院の考え
前期や初期のそれほど関節の変形が進んでいない状態であれば痛みや動作の改善は可能と考えています。
進行期で関節の変形が進んでいる場合は手技で変形を治すことは不可能ですが、関節周辺の臀部や脚の筋肉のバランスが変化することで痛みが軽減するケースもあります。
腰痛治療の分野では骨や関節の変形が直接痛みとは関係しないという新しい考えが普及してきています。
以下の要因にアプローチすることで痛みが改善する可能があると考えています。
- 筋肉・筋膜の状態の改善
- 栄養面の改善
- 精神的ストレスのケア
次に整体のアプローチと上にあげた三つの項目について解説します。
当院の整体
変形性股関節症の特徴は以下の三つです。
- 画像検査で変形やその予兆が見られる
- 関節やその周辺に痛みがある
- 関節の可動域の制限がみられる
手技では骨の変形については何ともできないのでおいておきます。
しかし痛みや動きの制限については、その原因が関節の変形以外の要因である可能性もあります。
たとえば臀部の筋肉の緊張や、下肢の筋膜の捻じれによって股関節の動きが妨げられているようなケースもあります。そのようなケースでは、その原因が解消できれば動作も改善し痛みも軽減したり消失するということもよくあります。
- 筋肉・筋膜の状態の改善
- 栄養面の改善
- 精神的ストレスのケア
これらのアプローチを組み合わせることで痛みが改善する可能性があります。
筋肉、筋膜へのアプローチ
筋肉や筋膜に異常があっても画像検査には映りません。
筋肉や筋膜の異常とは、ガチガチにこり固まっていたり捻じれたようになっていることです。
私たちは左右非対称に体を使っていますので、左右のバランスにもばらつきが生じます。
その傾向が強まると体が捻じれたり、特定の方向に引っ張られたりして動作の質が低下します。
さらには関節の負担が高まり痛みや可動域制限を起こすことになります。
そのような画像には映らないような異常を正常に整えていくと、体のバランスも動きも良くなります。
先天性股関節脱臼でかなり変形がある方でも痛みなく生活できるようになった方もいらっしゃいます。
(個人差がありますので全員が痛みから解放されるわけではありません)
栄養面のアプローチ
痛みの感受性が高まるような食生活をしていたり、老化とも関連が深い「関節の糖化」が進むような食生活をしていると痛みが強く、施術を受けても痛みが改善しにくい傾向があります。
そのような方は触診と問診である程度わかりますので、該当する場合には食生活の改善指導も行います。
しかし、年配の方ほどその重要性を理解してくれない傾向があります。
食べ物をちょっと変えたくらいで関節痛が良くなるとは信じられないのです。
また、基本的に人は今の習慣を変えたくないものです。
実践するかどうかはその人次第です。
積極的に実践した方は痛みも改善しやすいです。
精神的ストレスのケア
変形性股関節症になるのは圧倒的に女性が多く、年齢的には中高年です。
ご主人との関係にストレスを抱えていたり、親の介護の問題を抱えていたり、何かとストレスの多い状況にある方も多いです。
ストレスが大きいと単に精神的に辛いばかりでなく、身体的な痛みや様々な症状も現れやすくなります。
ですから当院では単に身体面の調整をするだけでなく、できる限り心にも寄り添ったコミュニケーションを心がけています。
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