執筆者:院長 上川名 修

施術の最中に身体が勝手に動き出すことがあります。
この現象を自発動と言います。
勝手に体が動き出すのでとても不思議に感じたり不安になる方もいますが、事前に情報を知っていれば安心できます。

操体法における自発動とは

気功による自発動功や野口整体の活元運動も似ていますし共通する要素もありますが、このページでは操体法をしている最中に体が動き出すことについて解説します。

身体が意識とは関係なく勝手に動き始めますのでびっくりする人もいますが、身体がやりたがっている動きが自然に出てきたので心配はありません。
潜在意識や無意識と言われる領域から身体を調整するための動きが発動するのです。

この動きに安心して委ねているととても気持ちよいのです。
気持ちよいだけでなく自動的に体が整えられていきますので何とも良い感じです。

操体法による自発動の特徴

自発動が起こる時には普段の意識状態とは少し違う状態になります。
深くリラックスして身体の内側の感覚に敏感になっている状態で起こります。
変性意識(トランス)状態に入ります。

操体法におけるトランスは普通に会話も出来ますしいつでも普段の意識状態に戻れますので安全です。
自分ではまったくコントロールできない状態にはならず、常にもう一人の自分が自分を見つめている意識がありますのでその気になればいつでもすぐに止めることも出来ます。

自発動のパターン

さまざまな動きのパターンがあります。
よくある動きのパターンを紹介します。

ゆっくりした動き

多いのは太極拳のようなゆったりとした動きです。
円を描くような動きになることもあります。
身体の一部が同じような軌道を繰り返しグルグルと動くこともあります。

ゆったりした自発動が出ている時はとても気持ちよく身体がほぐれていくような感覚もあります。

ピクピクした痙攣的な動き

ピクピクした痙攣のような動きはおそらく何かエネルギーの解放が起こっているように感じます。
手の指や足先や顎関節などがピクピク、ガクガクと動くのを時々見ます。
まるでエビや魚のように激しく全身がピクピク動くのを見たこともあります。

ゆったりした動きと比べるとあまり気持ちよい感覚は薄いと思われます。
小さな動きの場合には本人も動いているのに気づいていない場合もあります。

感情が出てくるケース

自発動とは少し意味合いが異なりますが、操体法をしている最中に感情が突然こみ上げてくることもあります。
今まで当院で施術中に実際に起きたケースとしては、涙があふれてくる、笑いがこみあげてくるという方がそれぞれ何人かいらっしゃいました。

このようなケースも身体の内側からエネルギーが解放されて起きている現象です。

瞑想中の動き

瞑想中に動きが出てくることもあります。
むしろ瞑想とセットで行うと相乗効果でよりいい感じなのではないかと個人的には思っています。
瞑想して思考を鎮めていくと身体の感覚がクリアになってきますので、より精度の高い自発動が出やすいのではないかと思います。

自発動のやり方

やろうと思ってできるときと出来ない時がありますが自分なりのコツを紹介します。

  1. リラックスしている
  2. 身体の内側の感覚に気づく
  3. かすかな動きの衝動を捉えたら動きとして表現してみる
  4. 委ねること

これらのコツは操法を受ける時も自分で行う時も同じです。
とにかくリラックスしていないと無意識の動きは起こりにくいです。

きちんと体の感覚に意識を向けます。
何となく動いてみたいような衝動を感じたら素直にその動きを表現してみます。
自分の意思で身体を動かすというよりは、動きたくてたまらなくなって動いちゃったという感じです。

そのような感覚を頼りに身体が動き始めたらあとは素直にそこに委ねます。
自発動を行っているのは身体の内側に宿る叡智だと思っています。

内在神とか宇宙エネルギーなどと言い換えることも出来ます。
そのような存在に自分を明け渡して委ねるとより気持ちよい感覚になり、考えずとも自然に動きが出てくるようになります。

自分で行う時の注意点

最後に自分で自発動を行う時の注意点を書いておきます。

  • 自分の責任で行う
  • 無理をしない
  • 気持ちよい範囲で行う
  • 辞めたくなったらすぐに止める

たとえばこのページを見てやってみたら自発動が止まらなくなったのでどうにかしてほしいとか言われても困ります。
完全に自分で責任でやってください。
気持ちよい範囲でやっている分には止めらなくなるような話は聞いたことがありません。
操体法に関しては危険や困ったトラブルなども聞いたことはありません。

他の治療法を行っている先生から、患者さんに自発動が出て止まらなくなって困ってると相談を受けたことがありますがどういうやり方や伝え方をしたのかわからないので、あまりアドバイスは出来ませんでした。
患者さんとの信頼関係のもとに安心してリラックスして行えば危険なことは何もありませんので、おそらくうまく信頼関係が築けていなかった可能性があります。

「止まらなくなることはないから大丈夫」という思いがあればまず大丈夫です。
無理をしたり気持ちよくないのに頑張って行ったりはしない方がよいと思います。

そんなことを意識していれば、安全に楽しく気持ちよくセルフ自動整体が可能になります。

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