執筆者:院長 上川名 修
耳管開放症の改善例はありますか?とお問い合わせを頂きました。
仙台市内在住の20代の女性です。
耳鳴りや耳の痛みの改善例はありますが、耳管開放症の方はこれまでに来院したことがなかったので正直にありませんとお伝えしました。
○○○○ 様
こんにちは。やすらぎの杜整体院の上川名です。
この度はお問い合わせを頂きまして誠にありがとうございます。
> 耳管開放症という病気を発症してから約2年半が経ちます。
> 漢方薬や鍼治療や整体など様々試しましたが治りません。
2年半もお辛い思いをされていらっしゃるのですね。
いろいろ試しても治らないと不安ですよね。
心中お察しいたします。
正常な場合は耳管は閉じて必要に応じて開いたりします。
耳管開放症はその調節がうまく出来ていないわけですが
なぜ調節がうまくいかないのかという原因に目を向ける必要があります。
本来の身体の働きがうまく出来ていないということですので
何かしらの原因が日々の生活の中に存在していると思われます。
> そちらの患者様で耳管開放症が治った方などいませんでしょうか?
耳鳴りや耳の痛みの改善例はありますが耳管開放症の方は記憶にないです。
当院では基本的に症状や病気の治療は一切行っておりませんが
体の本来の働きを取り戻すためのお手伝いをしています。
ご検討いただけますと幸いです。
他に質問等ございましたらお気軽にお問い合わせくださいませ。
上のような返信をして、その後何度かメールのやり取りをした後に予約して来院されました。
耳管開放症とは
耳管開放症とはあまり聞き慣れない病名です。
耳管は耳と鼻と口を繋いでいる管のことで通常は閉じていますが、何らかの原因で開きっぱなしになってしまうと自分の声が響いて聞こえたり、耳が詰まった感じになります。
耳管開放症では常に耳管が開いています。呼吸すると、呼気・吸気で鼻の奥の空気圧は変化しますから、耳管を経て中耳の圧力もそのつど陽圧・陰圧を繰り返します。
そして、鼓膜の外の空気の圧力と差が生じて、耳管狭窄症と同じく耳閉感が起こります。もう一つ困ったことは自分の声です。声は発せられると一旦口から出、鼓膜を経て伝わっていきます(鼓膜を外側から振動させるルート)。
けれども耳管開放症ではこのルートと同時に、口の中→耳管→鼓膜という裏から鼓膜を震わすというルートが出来ます。つまり、声が鼓膜の外側からと内側からとでやってきて、二重に鼓膜を震わせます。
患者さんは「自分の声が大きく響く」(自声強調)や、「自分の声がどう聞こえているか分からない、こもって聞こえる」と訴えられます。声を出さないときには、「自分の呼吸の音が聞こえる」(呼吸音聴取)、「鼻呼吸すると鼓膜がぺこぺこ動く」、「頭がおかしくなる」、めまい感、難聴などの多彩な症状を訴えられます。
精神科にかかって原因が分からないとされている人もいるでしょう。
耳管狭窄症・耳管開放症|関西医科大学総合医療センター より
はっきりとした原因もわかっておらず、治療法も確立されていない病気です。
このクライアント様は漢方薬や鍼治療や市内の整体も試したけれど改善が見られなかったということでした。
原因不明の症状について
医学的に原因不明とされている病気や症状のほとんどは生活習慣の中に原因があると考えています。
当院では操体法という治療法をベースとしていますが、操体法では「息食動想」と環境が症状と密接に関係していると考えます。
息食動想とは呼吸、食事、動作、考え方のことです。
この4つが自己責任行動で他人には代わってもらえない行動です。
それに環境を加えた5つの要因を丁寧に見ていく必要があります。
耳管開放症の陰に潜んでいる背景
クライアント様のお体を拝見して問診、触診やその他検査をした結果、ストレスと栄養面に大きな原因があると感じました。
実家は宮城県内の田舎の方で就職のために仙台に出てきて一人暮らしをしています。
仙台に本社がある地元の有名企業に勤めています。
とても仕事は忙しいようです。
彼氏はいますが遠い県外で一ヶ月に一度会えるかどうか。
寂しい思いもしています。
特に趣味はなく常に耳の症状が気になっている状態でした。
症状の背景にはそういった生活の背景事情があります。
仮にもし実家暮らしであまり忙しくもなくストレスのない生活をしていたら耳管開放症にもなっていなかった可能性が高いのです。
ご本人も同じように感じていらっしゃいました。
ですから、耳管開放症そのものを治そうとするのではなく、耳管が解放されっぱなしになってしまっている体のシステムが正常に働けるようにどうしたらよいのかと考えるのです。
そのためには自律神経が正常に働けるように体のケアと生活改善に取り組んでいくことが大切です。
自律神経の乱れは食生活の内容も大きく関与しています。
当院では自律神経失調症の改善例が多数ありますが、整体と併せて食生活の改善にも取り組んで頂いています。
このクライアント様にも自律神経を整えるための食改善の本を貸し出ししました。
耳管開放症とストレスケア
慢性症状には脳の認知が深く関与しています。
慢性の痛みは患部に原因がないことがほとんどで脳が痛みを感じています。
脳のストレスを和らげ、痛みや症状から意識をそらしていくことが回復の鍵になります。
この方は耳管開放症を治すためにたくさんの情報を調べて、いろいろな治療に取り組んできましたが今のところ成果は上がっていません。
それでまた別の方法を調べているときにクラニオセイクラルワーク(頭蓋仙骨療法)で耳管開放症が改善した例をネットで見つけたそうです。
その治療院は関西にあり連休を利用して治療を受けに行こうという案もあったそうですが、確実に良くなる保証もないし、仙台市内でクラニオセイクラルワークを受けられるところを探して当院のサイトを見つけられたそうです。
様々な手法を駆使してこの方にとって今最も適した方法を選択していきます。
鍵は一番リラックス出来て安心出来ることです。
そのような施術を提供し、日々の生活の中でも心と体が安心してリラックス出来ることに積極的に取り組んで頂きます。
そのような情報はたくさん用意していますのでこれから回復のために精一杯お手伝いをさせて頂きます。今後の経過も追記していこうと思います。
追記1
5回通院しました。
最近は施術後は右耳の調子が良くなるそうです。
こもり感がなくなり通常の状態になるとのこと。
食事指導、運動指導を行ない、毎日できる範囲で実践しています。
自分でいろいろ調べたり友人の鍼灸師などにも相談したところ、やはり体質改善が大切ということです。
左耳は発症から二年経過して常にこもっている状態です。
左耳も徐々に改善されると良いなぁと思っています。