執筆者:院長 上川名 修

頭痛改善ストレッチ

緊張型頭痛の主な原因は首の筋肉のコリにあります。
このページでは頭痛を改善するための首のストレッチを紹介します。

頭痛と首のストレッチ

緊張型頭痛でお悩みの方は、その名のとおり、首の周辺の筋肉が緊張しています。
筋肉の緊張により、脳への血流が不足し、酸素が足りなくて頭痛や頭重感に悩まされます。

シンプルに考えれば、筋肉が緊張しているものは緩めてあげればよいのです。

頭痛でお悩みの方は、自分でも首の筋肉が硬いことはとうにわかっていると思います。
ストレッチだってやってみたけれど、そんなもので楽になるのなら苦労しないよ、という方もいらっしゃると思います。

たしかに、カチカチに硬くなってしまった首の筋肉を、すぐに柔らかくするのは大変なことかもしれません。

頸椎や筋肉の調整が必要な方が多いことも確かです。
しかし、ていねいにゆっくりと時間をかければ、自分でも首の筋肉をストレッチして頭痛を改善することは可能です。

首の筋肉をストレッチすることは様々な症状に効果的です。
肩こり、自律神経失調症、うつなどの症状でお悩みの方にもおすすめです。

頭痛と関係が深い首の筋肉

頭痛と首の筋肉は深い関係にあります。首の周辺には様々な筋肉があります。
主なものを挙げてみます。

  • 僧帽筋(そうぼうきん)
    非常に大きな肩の筋肉です。脊柱から肩甲骨・鎖骨にかけて付いています。
  • 肩甲骨挙筋(けんこうきょきん)
    頸椎から肩甲骨にかけて付いています。肩こりには非常に関係が深い筋肉です。
  • 頭半棘筋(とうはんきょくきん)、頸半棘筋(けいはんきょくきん)、頭最長筋(とうさいちょうきん)
    これらの筋肉は頭が前に傾いたときに、頭を支える筋肉です。姿勢が良くないと、これらの筋肉が酷使されることになり、頭痛の原因になります。
  • 頭板状筋(とうばんじょうきん)、頸板状筋(けいばんじょうきん)
    首の後ろの筋肉。しばしば頭痛を引き起こします。
  • 胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)
    胸骨・鎖骨から頭蓋骨(側頭骨)にかけて付いています。横を向いた時に首筋に浮き出る筋肉です。こると頭痛や目の奥の痛みを引きおこします。
  • 斜角筋(しゃかくきん)
    頸椎から第1肋骨にかけて付いています。この筋肉の緊張により、頭痛や腕にしびれが生じることがあります。(斜角筋症候群)
  • 広頸筋(こうけいきん)
    首の前面、表層の筋肉です。

頭痛改善のための首の筋肉のストレッチ

それでは実際に首の筋肉のストレッチを行なってみましょう。
首をゆっくりと傾けて筋肉を伸ばす動作なのですが、一箇所ずつゆっくり丁寧に味わいながらストレッチすると効果が高まります。

一箇所ずつ、動きを止めながらストレッチします。
動きを止め伸びている筋肉に意識を向けながら行なうことがポイントです。

首の周りについている前後左右の筋肉を、すべてストレッチします。

前後、左右、斜めの八方向で動きを止めて行ないます。
それでは各方向ごとに解説していきます。

イスに腰かけて、肩の力を抜いて行ないます。
各動作を20秒ほどかけてゆっくりストレッチを行ないます。

※痛みやめまいなど不快感が生じる場合には無理に行なわないでくださいね。

1.頭半棘筋、頸半棘筋、頭最長筋をストレッチ

頭半棘筋、頸半棘筋、頭最長筋をストレッチ

頭を前に倒します。

背筋を伸ばして、顎を胸につけるようにします。
頭の重みだけでは、筋肉がストレッチされる感じが弱いので、両手を組んで頭の上に置きます。
手の力を抜くと、手の重みで首の後ろ側がストレッチされます。

2.広頸筋をストレッチ

広頸筋をストレッチ

頭を後ろに倒します。

顎をそらし、天井を見上げます。目線はより後ろの方を見ます。
口を閉じるようにすると、さらに首の前がストレッチされます。

両手で鎖骨のあたりを押さえるとよりストレッチされます。

3.肩甲挙筋をストレッチ

肩甲挙筋をストレッチ

頭を右に倒します。

右耳を右肩につけるように、ゆっくりと倒します。首の左側の筋肉を伸ばします。右手で軽く頭を右に引くと、さらにストレッチされます。左肩が上がらないように、少し引き下げると効果的です。

反対側も同様に行ないます。

肩甲挙筋をストレッチ

頭を左に倒します。

右の肩甲挙筋をストレッチ
左耳を左肩につけるように、ゆっくりと倒します。首の右側の筋肉を伸ばします。左手で軽く頭を左に引くと、さらにストレッチされます。右肩が上がらないように、少し引き下げると効果的です。

4.僧帽筋、頭板状筋、頸板状筋をストレッチ

僧帽筋、頭板状筋、頸板状筋をストレッチ

頭を右前方へ倒します。

首の左後ろ側をストレッチします。
斜めの方向へのストレッチは、首を傾ける角度を微調整して、最も気持ちよく伸ばされる方向にストレッチします。

両手で頭を軽く、右前方に引くと効果的です。

反対側も同様に行ないます。

僧帽筋、頭板状筋、頸板状筋をストレッチ

頭を左前方へ倒します。
右の僧帽筋、頭板状筋、頸板状筋をストレッチ

5.胸鎖乳突筋、斜角筋をストレッチ

胸鎖乳突筋、斜角筋をストレッチ

頭を左後方へ倒します。

まず、頭を左に倒したところから、天井を見上げるように徐々に顎を上げながら頭を後ろに倒していきます。

最も「キク~」と感じるところで動きを止めます。
首の右側から前にかけて筋肉をストレッチします。

普段なかなか伸ばすことがない筋肉ですから、人によってはかなり痛みを感じるかもしれません。
自律神経のバランスがくずれている人は、この筋肉が緊張する傾向がみられます。

反対側も同様に行ないます。

胸鎖乳突筋、斜角筋をストレッチ

頭を右後方へ倒します。
左の胸鎖乳突筋、斜角筋をストレッチ

特に気持ちよく感じる部位で味わうとより効果的です。

胸鎖乳突筋のストレッチについて

鎖乳突筋が緊張している場合には僧帽筋や肩甲挙筋のストレッチを一生懸命やったとしても効果は薄いです。

マッサージや治療院などで、肩こりの治療を受けてもなんだかすっきりしない場合は、適切な筋肉にアプローチされていない可能性があります。

頭痛の患者さんの首を触ってみると、ほとんどの人が首の後ろ側が硬くなっています。
まれに柔らかい人もいますが、そういう人は首の横のほうに緊張が見られます。

また、自覚症状は首の後ろが苦しいのだけど、触ってみると、横のほうも緊張しているという人もいます。
緊張している筋肉をしっかりとストレッチすることが出来ると、とても楽になります。

まずは、八方向すべてストレッチをやってみて、自分で「ここが硬くなっているな」と感じる部分を、念入りにストレッチするとよいでしょう。

あまり、無理に行なうと翌日筋肉痛になったり筋肉を痛めたりします。
くれぐれも無理をせず気持ちよさを味わいながら行なってみてください。

※ストレッチを行う時は無理せずに自己責任の元で行ってください。

また、頭痛の緩和には首のストレッチも有効ですが、根本解決の為には全身のバランスが調和することやそれ以外の要因を整えることも大切です。