ぎっくり腰の対処法

このページではぎっくり腰の対処法について解説します。
以前当院ではぎっくり腰など急性期の炎症を伴なう腰痛はまず冷やしましょうというアドバイスを行なってきました。

ごくごく一般的な対処法です。
現在でも急性期は冷やすのが常識です。

ところが、2011年2月に考えを改めこのページを作成しました。

ギックリ腰になったら最初から温めてください。

以前とはまるで正反対のことを言っています。
でもきちんとした理由があります。
その理由を説明させていただきますね。

ぎっくり腰の対処法

ぎっくり腰は温めて治す

炎症の意味

ぎっくり腰で腰が痛いのは、患部に炎症が起きている状態です。
通常は「炎症=悪いもの」と考えますので早く炎症を鎮めようとします。

鎮痛剤や湿布やアイシングするなどで冷やして痛みを取ろうとします。

ところが、ちょっとだけ見方を変えると、炎症は患部の修復作業が行なわれている状態と言えます。
体が一生懸命治そうと作業をしている状態が炎症なのです。

炎症部位を冷やすと炎症が一時的に治まりますから痛みが和らぎます。
しかしこれは回復の反応を一時的にストップさせているのですね。

炎症が起こるメカニズム

炎症には四つの発赤、腫脹、発熱、疼痛の兆候が見られます。
赤くなって腫れて熱を持って痛いです。

これはプロスタグランジンというホルモンの働きです。
プロスタグランジンが産生することで患部に血液を集めて早く修復工事を進めようとします。

痛み止め(消炎鎮痛剤)の作用はプロスタグランジンの産生を抑えることです。
プロスタグランジンが出なくなると痛みは治まりますが肝心の修復工事が進みません。

痛み止めで炎症を止める行為は実は回復を送らせることになるのです。

ぎっくり腰は温めると早く良くなる!

以上の理由からぎっくり腰などの急性期の腰痛も温めた方が早く良くなります。
その代わり炎症の反応が強まりますから痛みも強まる可能性があります。

私は以前からそのことは重々承知していました。
温めた方が早く良くなるけど、痛みが強まるので、まずは冷やして炎症をおさえて、ある程度痛みが和らいできてから温めるように指導していました。

しかし、実際にやってみるとそれほど痛みも強まらずむしろ気持ちよい感覚がある人が多いのです。
自分が腰などを痛めたときにも試してみると最初から温めた方が早く回復します。

そして思ったより痛みも強くならないのです。
気持ちよく感じるのです。

温めてみて、万が一耐えられないような激痛がするような場合は無理に温めない方が良いです。
我慢できる範囲の痛みでしたらどんどん温めた方が早く良くなります。

体を温めるとすべての痛みが消える

温め方としては、使い捨てカイロを下着の上から患部に貼ります。

寝るときは低温やけどの怖れがあるので、基本的には朝から夜まで貼っておくとよいでしょう。
カイロをはると10時間以上は温かい状態が続きます。
患部の血流が促進され、組織の修復作業も速やかに行なわれます。

和歌山県に坂井学先生という湿布も鎮痛剤をほぼ使わずに、使い捨てカイロを貼って痛みを取る治療をしている整形外科の医師がいらっしゃいます。

坂井先生の病院でも湿布とカイロを比べると、圧倒的にカイロを貼った方が楽になる人が多かったそうです。

私も坂井先生の本を読んで、患者さんの了解を得ながらいろいろ試してみたところ、ぎっくり腰や寝違いなどの急性痛の場合でも、積極的に温めた方が早く楽になることがわかりました。

もちろん、個人差はありますから、耐えられないような激痛になる場合は無理に温めないでください。

当院のスタンスとしては、基本的にぎっくり腰は温める。
激痛で耐えられない場合のみ一時的にアイシングをする。というスタンスを取っています。

「体を温める」とすべての痛みが消える―腰痛、ひざ痛、股関節痛、間欠性跛行が治った! (ビタミン文庫)
坂井 学
483761230X

湿布よりも使い捨てカイロ!  整形外科医が教える「目からうろこ」の痛み取り法!

痛みは「血液循環の低下」による「はたらき」の異常であり、 「体の修復工事」でもあった。 痛みを軽減して回復を促進する温熱療法と 痛みが出にくい体を作る生活習慣を、整形外科医が徹底紹介!

■あらゆる痛みに対応! 変形性膝関節症、変形性股関節症、椎間板ヘルニア、頚椎ヘルニア 脊柱管狭窄症、間欠性跛行、ばね指(狭窄性腱鞘炎)、 肩こり、頭痛、しびれなど。 ひざ痛が消え正座ができた!つえが不要になったと喜びの声が続出 !

(amazon 内容紹介より)

ぎっくり腰は安静にするべきか?

ぎっくり腰は安静にするべきか?

温めるか冷やすかということとは別に、安静にすべきか動かすべきか?という問題があります。

昔は基本的に安静を支持されることが多かったですが、近年の研究では安静を続けると回復が遅れることがわかってきました。

痛くて動けない場合には無理に動く必要はありませんが、動ける範囲で日常生活の活動性を維持していく方が早く改善することが医学的にもわかってきました。

かつて、ぎっくり腰を起こした後は、安静にすることが大切だと言われていました。しかし、ずっと動かないでいると、腰痛との関係が深い「背筋」が衰えてしまうため、回復が遅れてしまうということがわかってきました。

したがって、発症から2~3日後に痛みがやわらいだころから、多少の痛みを我慢して、動かせる部位は積極的に動かすようにしましょう。

引用:「ぎっくり腰」早く治すための正しい対処法|NHK健康チャンネル

全体のバランス

開業して二年目くらいの頃の話です。
今でも覚えていますがぎっくり腰の施術で大きな失敗をしました。

当時は自分が卒業したカイロプラクティックスクールで教わった手技をやることも多かったです。
今は一切使っていませんが、当時はまだ自分の操体法に自信がなかったので、いろいろな整体手技を行っていました。

外から力をかけて行う整体手技は、たしかに体は変化するのですが部分的な変化になりやすいのです。
全体との調和が乱れやすくなります。

どこかが痛くなれば、そこをかばうような形で全身が協力して変化します。
それを世間一般的には「歪んでいる」と見なします。

>しかし、身体の都合を考えると歪むことで一生懸命体を守っているのです。

ところが整体などの手技により、そのバランスを崩してしまう可能性があります。

私が当時やったこともそうでした。
腰痛で来院しましたが、施術後には劇的に楽になって喜んで帰っていきました。
ところがその翌日に動けなくなったとクレームの電話をもらったのです。

一時的に楽になっても痛めているところが治ったわけではありません。
私の説明不足もあり、治ったものだと思って普段通りに身体を動かしているうちにまた新たに痛めてしまったようです。

これは事前にそのリスクを充分に説明しなかった私にも責任があります。

それに、だいぶ後になってからいくら痛みが取れても全体の調和を崩してはいけないと思うようになりました。
当時はまだ部分の痛みを改善させることに集中していました。

痛いから助かっている

ぎっくり腰で痛いから動けない、ということは動けないことで体を守っているのです。
動けないなりに正しい対処をして過ごしていると徐々に回復します。

痛いところを痛くないようにすることは、全体のバランスに不調和を起こす可能性があります。
痛いときは痛いなりにバランスが調和しているわけです。

操体法では患部だけでなく、全体のバランスの調和を大切に考えます。
多少痛みが残っていても全体のバランスが調和すると、自分の力で自然に回復していくのです。

まとめ

最後にぎっくり腰の対処法についてまとめます。

  • 急性痛の炎症でも我慢できる痛みなら温めた方が早く改善する
  • 我慢できないような痛みは無理に温めない
  • ぎっくり腰は動いた方が早く良くなる
  • 全体のバランスが大切
  • バランスが整えば痛みは体が治してくれる

【関連ページ】

腰痛