自律神経が支配している生命活動の中で、唯一意識でもってコントロール可能なのが呼吸なのです。

呼吸の仕方が心にも体にも大きな影響を与えます。
私たちは普段何げなく呼吸をしています。
意識しなくても呼吸が止まってしまうことはありません。
寝ている間も自動的に呼吸が続けられています。

水や食料は摂らなくても何日間かは大丈夫と言われていますが、呼吸を何日もせずに生きられる人はいません。
このことを考えてもいかに呼吸が生命にとって大切なものかということがわかると思います。

本当に大切なものほど、当たり前すぎてその大切さが忘れられがちです。
呼吸について考えみたいと思います。

呼吸と肉体(筋・骨格系)

呼吸というのは全身が連動して動く全身運動です。
ゆっくり深呼吸してみると、胸郭や脊柱も動くのが分かると思います。
呼吸の深さは骨盤や頭蓋骨の動きにも影響します。

深い呼吸をしているときは、呼吸とともに全身の骨格や筋肉が協調して連動します。
しかし、呼吸が浅いと全身の連動の動きが小さくなり、筋肉や骨格の動きが制限されるようになってしまいます。

呼吸が深くなるということは、全身の筋肉・骨格の動きもよくなるということです。
反対に、筋肉や骨格(関節)に柔軟性がついてバランスが良くなると、呼吸が深くなります。

呼吸と精神

「息」という字を分解してみると、「自ら」の「心」ということになります。自分の心を息によってコントロールすることもできるということです。
瞑想などでも呼吸を重要視します。

深いゆったりとした呼吸をしているときは、自律神経の副交感神経が優位になります。
副交感神経は休息の神経ですから、心と体はリラックスした状態になります。

反対に、浅くせかせかした呼吸のときは、交感神経が優位になります。
交感神経は活動の神経ですが、交感神経優位の状態が長く続くと、心も体も緊張した状態が続きます。

緊張状態が長く続くと浅い呼吸になるという方が順番としては正しいかもしれません。
抹消の血管が縮まるので、血行不良が起こります。体が固くなり、精神的にはイライラしたり、不安になったりします。

そんなときは、意識的に深くゆったりとした呼吸を心がけると、自律神経が交感神経から副交感神経優位に切り替わります。
その結果、精神的な緊張も和らぎます。


呼吸と心身一如

「心と体は一つである」とか、密接な関係にあると言われます。
心がリラックスしているときは、体も楽な場合が多いです。
心が緊張していたり、不安を感じているときは体も痛みを感じたり、不調を訴えることが多いようです。

呼吸の仕方で、心にも体にも影響を与えることができます。
呼吸は自律神経の働きによって、自動的に行なわれていますが、自分でコントロールすることもできます。
普通は体温も心拍数も自由にコントロールすることは出来ませんが、自律神経が支配している生命活動の中で、唯一意識でもってコントロール可能なのが呼吸なのです。

昔から武道でも呼吸の大切さが説かれてきました。現代の医学でも腹式呼吸の効果が認められています。お腹の深くから呼吸をすることで、精神の安定と肉体の健康を得ることができます。

呼吸と自律神経・肉体・精神の関係を表にしてみました。

<呼吸と肉体と精神の関係>
深くゆったり 呼吸 浅く速い
副交感神経優位 自律神経 交感神経優位
柔軟・可動域大 肉体(筋肉・骨格) 固い・可動域小
リラックス・楽しい 精神 緊張・不安

日頃から深くゆったりとした呼吸をしたいものですね。
ストレスにさらされて、不安や緊張が強いなと思う方は意識的に呼吸をゆっくりするようにしてみてくださいね。

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