整体師としての道を歩み始めて、2025年でおかげさまで22年目になります。
ここまで続けてこられたのは、「この仕事が自分の天職だ」と実感する瞬間が何度もあったからです。
もともと私は、若い頃にパニック障害や自律神経失調症を経験し、心身の不調にずっと悩まされていました。病院での対症療法ではなかなか改善せず、「本当の意味で健康になるにはどうすればいいのか?」という問いを抱えて、自分自身の身体と向き合い始めたのが整体との出会いでした。
そこから、自然治癒力を高めることの大切さに気づき、根本から体を整える方法を模索する日々が始まりました。学んでは実践し、試行錯誤を繰り返す中で、いつしか「自分の経験を誰かの役に立てたい」と強く思うようになり、整体師としての道を歩み出したのです。
この記事では、私がなぜ整体師という仕事を「天職」だと感じるようになったのか、その理由やこれまでの歩みを少しお話しできたらと思っています。
整体師を目指したきっかけ
私が「人の健康」や「生きる意味」について深く考えるようになったのは、高校生の頃、17歳のときに母を病気で亡くしたことがきっかけでした。あまりにも突然の別れに、心の整理もつかないまま、日々が過ぎていきました。
当時の私は、「人はなぜ病気になるのだろう?」「命とは、健康とは、一体何なのだろう?」という思いにとらわれ、生きることそのものについて考えるようになっていったのです。
その後も時を経て、自分自身の心と体にも大きな試練が訪れました。20代の頃、私はパニック障害や自律神経失調症を発症し、日常生活にも支障をきたすほどの不調に苦しみました。動悸、息苦しさ、不安感……何が原因なのか分からず、病院では薬を処方されましたが、どこか根本から良くなっている実感が持てずにいました。
そんな中、私はふと気づいたのです。
「これは対症療法では治らない」「本当の意味で健康になるには、もっと深いところから整える必要がある」と。
そう直感した私は、健康の本質について学びはじめ、自然治癒力を高める方法や身体本来のバランスを取り戻す術を模索するようになりました。
健康の本質を追究する
食生活、呼吸法、運動、姿勢、メンタルケアなど、あらゆる角度から学びと実践を重ねる日々が始まりました。時には失敗もありましたが、少しずつ心身の状態が整い、自分の中にある自然治癒力が目覚めていくような感覚がありました。自分自身の身体を通して、健康の本質に触れた経験は、人生の大きな転機となったのです。
そうした体験を通して、「この学びと経験を、同じように悩んでいる人のために役立てたい」と思うようになりました。そして、整体という道に出会い、自分が歩むべき方向がはっきりと見えたのです。
こうして私は、2004年4月に「やすらぎの杜整体院」を開業しました。自らの心身の不調をきっかけに見つけた“癒しの道”が、気づけば自分の人生そのものになっていました。
私にとっての“天職”とは
1. 自分の内側から湧き上がる情熱
「天職」という言葉には、単なる職業の枠を超えた深い意味があると私は考えています。天職とは、他のどんな仕事とも異なり、心の奥から自然と湧き出るような情熱ややりがいを感じられる仕事のことです。
私が整体師という道を選んだのも、誰かに強制されたわけではなく、自分の内側から湧き上がるような感覚からでした。母を亡くしたことや、自分の不調を乗り越えた経験が、次第に「この道しかない」と強く思わせてくれたのです。この仕事をしていると、日々お客様から感謝の言葉をいただくたびに、その実感がさらに強くなります。
「やりたいからやる」「誰かを助けたいからやる」――このシンプルな動機が、私にとっての天職の源泉です。
2. 好き・得意・人の役に立つ仕事
天職は、「好き」「得意」「人の役に立つこと」が見事に重なるところにあります。これは私にとって、まさに整体師という仕事がそのすべてを満たしていると感じています。
私は身体の仕組みや心のつながりについて学ぶことが好きでしたし、それを実際に実践することに、自然と興味を持ちました。そして、実際に整体を通して人々の心身を癒し、回復させることができるという実感が得られることは、私にとっての大きな喜びであり、これこそが天職の証だと確信しています。
また、他のどんな仕事にも、やりがいを感じながらも「人の役に立っている」と実感できる瞬間がありますが、整体師としてそれを強く感じるのは、クライアントの笑顔や感謝の言葉を直接受け取るときです。私が提供した施術がその人の人生に何らかの形で良い影響を与えたと感じられることこそが、天職の真髄だと思っています。
3. 困難を乗り越えてこそ感じる天職の価値
どんなに好きなことでも、どんなに得意なことでも、時には困難や壁に直面することがあります。しかし、天職に対する思いが強ければ、それを乗り越える力になります。整体師としての道も、最初はもちろん簡単なものではありませんでした。
特に最初は技術を身につけることが大変で、お客様からの信頼を得るために試行錯誤の連続でした。それでも続けられたのは、自分の内側から湧き上がる情熱と使命感があったからです。
また、自分が提供する施術を通して、少しでも多くの人々に喜びや安心を届けられることに、やりがいを感じていました。この喜びこそが、困難を乗り越える原動力となり、今もなお続けていける理由です。
4. 天職を見つけることの大切さ
天職とは、自分が本当にやりたいことを見つけ、それを実現している状態だと思います。どんなに仕事が忙しくても、苦しくても、それが自分の天職だと思えれば、それは苦労ではなく、むしろ喜びに変わる瞬間が訪れます。私は整体師として、毎日多くの人と関わり、心と体の健康をサポートできることが、まさに自分の天職だと感じています。
天職を見つけることは、必ずしもすぐに見つかるわけではありませんが、自分自身が本当に情熱を感じ、心から誇りに思える仕事を見つけることが、人生の中で最も充実した瞬間の一つだと信じています。
私が整体師を天職と思える理由
1. 直接喜んでもらえる喜び
整体師という仕事の中で最も嬉しい瞬間は、施術後に「楽になった」「来てよかった」と笑顔で言っていただけることです。
自分の手で誰かの不調を和らげ、その場で効果を実感してもらえる。このように感謝の言葉を直接受け取れる仕事は、私にとって大きなモチベーションです。
2. 自分が人の役に立っているという実感
慢性的な不調に悩む方が少しずつ元気を取り戻していく姿を見られることは、何よりの喜びです。
自分の知識と技術で、人の役に立っているという手応えを日々感じられることが、仕事へのやりがいを強くしてくれます。
3. 一対一の対話ができる環境が心地よい
私は一対一でじっくりと対話することが好きです。整体では、目の前の一人ひとりに丁寧に向き合い、その方の体と心の状態に耳を傾けることが求められます。
静かで深い関係性の中で信頼関係を築いていけるこのスタイルは、私の性格にもとても合っており、日々の施術が心地よく感じられる理由のひとつです。
4. 本質的な会話ができること
施術中には、生き方や人生観など、本質的な話題になることも多くあります。お客様と深い話ができることで、表面的な関係ではなく、より本質的なつながりが生まれます。
「体が変わると人生も変わる」。そんなことを共有できるこの仕事に、私は大きな意味を感じています。
5. 難治性の症状の改善に関われること
長年悩まされてきた症状が改善に向かい、「ここに来てよかった」と言っていただけたとき、自分のやっていることの価値を実感します。
整体によって、薬や手術に頼らずに体が変わっていくという体験を共有できることは、自然治癒力の可能性に立ち会える貴重な瞬間です。
6. 命や人生に関わる仕事であること
「命を救われた」「人生が変わった」と言っていただいたこともあります。
これは決して大げさな表現ではなく、それだけ辛い状態だった方にとっては、体の改善が人生そのものの転機となることもあります。
単なる身体のケアに留まらず、人生そのものの再出発を支えることができる──それが整体師という仕事の大きな意義です。
7. 自分のペースで働ける自由さ
整体師として独立したことで、自分のリズムで仕事ができるようになりました。
スケジュールの調整や施術内容も、自分自身の裁量で組み立てることができるため、心身のバランスを保ちながら継続的に働くことができます。
8. 職人気質が活きる仕事
私はもともと職人気質な性格で、ひとつのことを深く掘り下げて探求するのが好きです。整体は、解剖学や生理学、心理、エネルギー、手技など幅広い分野にわたり、終わりのない学びがあります。
毎回の施術に集中し、少しでも良い施術を追求していくこのスタイルは、私の性分にぴったりです。
◎ まとめ
整体師という仕事は、ただ技術を提供するだけでなく、人の人生に深く関わることのできる、非常に奥深い職業です。
一人ひとりと向き合い、深い対話を重ね、体と心の両面からケアをするこの仕事は、私にとって「天職」以外の何ものでもないと、日々実感しています。