自閉症スペクトラム障害(ASD)の方々は、生活の中でさまざまな困難やストレスに直面しています。
特に、強い感覚過敏や慢性的な緊張、不安を感じやすい方も多く、心と体のバランスを保つことが難しいとされています。
整体はこうした方々の緊張を和らげ、リラックスへと導くサポートが可能です。
自閉症スペクトラム障害(ASD)とは?
自閉症スペクトラム障害(ASD)は、発達障害のひとつで、対人関係やコミュニケーション、行動面での特徴を持つ神経発達障害です。
「スペクトラム」と呼ばれるように、その症状や特性は非常に幅広く、人によって大きく異なります。
ASDの特徴は、一般的に以下の三つのカテゴリーに分類されます。
主な症状
社会的コミュニケーションの困難さ
ASDの人は、他者とのコミュニケーションに困難を感じることがあります。
例えば、アイコンタクトが苦手であったり、表情やボディーランゲージを使った意思疎通が難しいことがあります。
また、会話が一方的になる場合もあり、他者の感情や意図を読み取ることが難しいと感じることもあります。
繰り返しの行動や興味
ASDの人は、特定の物事やルールに強いこだわりを持つことがあります。
例えば、同じ言葉を繰り返したり、特定の順序で物事を行うことを好む場合があります。
新しい環境や変化に対して強い不安を感じることもあり、そのために行動パターンが固定化しやすいことが特徴です。
感覚過敏や鈍麻
ASDの人は、音、光、触覚、匂いなどに対して感覚過敏を抱える場合があります。
日常の音や光、他人の触れ合いがストレスとなることがあります。
逆に、一部の感覚に対しては鈍感である場合もあり、自分では気づかないままケガをしてしまうこともあります。
ASDの原因
ASDの原因はまだ完全には解明されていませんが、主に以下のような要因が関係していると考えられています。
遺伝的要因
ASDは遺伝的な要因が大きいとされ、特定の遺伝子変異がASDの発症リスクに関わっているとされています。
家族にASDの人がいる場合、発症率が高まる傾向があります。
環境的要因
遺伝だけでなく、環境要因もASDに影響を及ぼすとされています。
妊娠中の母体の健康状態や、出産時の状況、特定の化学物質への曝露などが、ASD発症のリスク要因と考えられています。
神経発達の違い
ASDの人は、脳の構造や神経の結びつきが定型発達とは異なることが知られています。
これにより、脳内での情報処理の仕方が異なり、コミュニケーションや感覚の反応が独自のものになることがあります。
ASDにおける自律神経の重要性
自閉症スペクトラム障害(ASD)の人々にとって、自律神経の健康は心身の安定に大きな影響を与えます。
自律神経は心拍、呼吸、消化などの基本的な身体機能をコントロールし、私たちの体がストレスに適応するための重要な役割を果たしています。
ASDの方々は感覚過敏やストレスへの過剰反応があるため、自律神経のバランスが崩れやすく、日常生活にも様々な影響を及ぼします。
自律神経がもたらす主な影響
ストレスと緊張の増加
ASDの人々は、音や光、触覚などの刺激に過敏に反応することが多く、特に大きなストレスを感じやすい傾向があります。こうした過敏さにより、交感神経が過剰に働き、リラックスできる時間が減少することがしばしばあります。結果として、体は常に「戦うか逃げるか」の状態に置かれ、慢性的な緊張や疲労を感じるようになります。
感情の不安定さ
ASDの方は自律神経が不安定になりやすく、それが感情にも影響を与えることがあります。ストレスが高まると、神経が過度に興奮しやすく、感情がコントロールしづらくなることがあります。特に、イライラや不安が持続的に現れ、日常生活の中で気持ちが乱れる原因となることが多いです。
消化や睡眠の問題
自律神経の乱れは、消化器系や睡眠にも影響を及ぼします。ASDの方には睡眠が浅くなりやすい傾向があり、朝になっても疲れが取れないことがあります。また、消化不良や胃腸の不調が慢性的に続く場合もあります。これにより、体が本来持つリズムが崩れ、疲労感や倦怠感が日々積み重なることがあるのです。
自律神経を整えるためのアプローチ
自律神経のバランスを整えるためには、心身ともにリラックスできるケアが重要です。
整体によるアプローチは、自律神経の調整をサポートする手法の一つとして期待されています。
具体的には、体全体の筋肉の緊張をほぐすことで、副交感神経を優位にし、体をリラックスした状態に導きます。
また、呼吸法や穏やかなタッチを通じて安心感を高めることも効果的です。
ASDの方々にとって、自律神経が安定することは、日常生活の中でリラックスできる時間を増やし、心と体の安定を取り戻すための大切なステップです。
自閉症スペクトラム障害の整体改善例
例えば、当院に来院された小学生低学年のA君は、自閉症スペクトラム障害の他、発達障害、軽度知的障害の診断を受けており、その他食後の体調不調、自律神経の乱れ、チック症状を抱えていました。
施術時におとなしくベッドに寝ていることができず、室内を動き回ったり、妄想や独り言も多かったのですが、緊張を和らげ穏やかに心身のバランスを整える施術を行いました。
その結果、体調も安定し、チック症状も治まり、リラックスして施術を受けられるようになりました。
今では月に一回メンテナンスで通院していますが、お母様の話では普段の生活でもかなり落ち着きが増してきたそうです。
施術時もリラックスして受けられるようになり、スヤスヤ眠るようにまでなりました。
初回から三ヶ月ほどは、月に二回通院していましたが、来院時に気になっていた胃腸の不調やチック症がおさまったので、その後は月に一回メンテナンスで通院しています。
その後もどんどん落ち着きが増し、精神的にも安定しているようです。