執筆者:院長 上川名 修

1年ほど前から原因不明の全身の痛みで悩んでいる30代の女性が来院しました。
体の痛みだけでなく様々な不定愁訴もありました。

めまい、耳鳴り、眼精疲労、首こり、肩こり、肩関節の痛み、手首痛、手の痺れ、背中の痛み、腰痛、膝痛、足首痛、足裏の痛み、食欲不振、吐き気、不眠、むくみ、のぼせ、動悸、冷え性、アトピーなど。

さらに不安感、イライラしやすい、疲れやすく全身だるいという感じです。
とても辛そうな状態で来院しました。

このような症状は、病院で薬をもらって飲んだり湿布や痛み止めではなかなか治りにくいものです。
しかし、根本的な原因にアプローチすることで自然治癒力が高まり改善していきます。

このページでは筋・筋膜性疼痛症候群に対する一般的な治療法と、当院の考え方やアプローチを紹介します。

筋筋膜性疼痛症候群に対する一般的な治療

筋筋膜性疼痛症候群に対する一般的な治療

この方は当院に来院する前に、数軒の整形外科を受診してその後民間療法の治療院を複数渡り歩いていました。
はっきりとして原因もわからず、病名を付けられてからも改善も見られずいろいろ検索するうちに当院サイトを見つけて来院しました。

医療機関での治療

最初の整形外科では頸椎の椎間板ヘルニアの診断を受けました。

手や腕のしびれだけでなく、全身の関節が痛いのだと訴えるとそれについてはよくわからないと言われたそうです。

他の病院では、筋膜性疼痛頸肩腕症、という診断を受けました。

筋膜性疼痛に効くと言われるハイドロリリース注射も受けました。
ハイドロリリース注射とは、筋膜リリース注射とも言います。

「筋筋膜性疼痛症候群(MPS)」とは、筋肉をおおう筋膜という組織が何らかの原因で硬くなったり周囲と癒着してしまい、結果として筋膜や筋の動きが悪くなったり、体を動かすときにその部分が引っ張られて痛みを起こす状態を言います。

近年、このMPSに対して画期的な治療が開発されました。それはハイドロリリースという方法です。原理は簡単、生理食塩水のような「水(ハイドロ)」を痛みを起こしている部位の筋膜に注射し、筋膜に潤いを与え、筋膜同士の癒着を剥がす(リリース)のです。

効果は注射後すぐに現れ、注射の場所が正しければその場で7-8割の痛みがなくなります。

引用元:筋膜リリース注射|武蔵浦和整形外科内科クリニック

しかし、残念ながらこの方法を行なっても痛みはあまり変わらなかったそうです。

民間療法の施術

病院で良くならないので民間療法の治療院にも行きました。

  • カイロプラクティック
  • 鍼灸
  • マッサージ
  • 骨格矯正
  • 筋膜リリース

などの施術を行ういくつかの治療院にも行きましたが、効果を感じられなかったそうです。
筋膜リリースの施術はとても痛みが増して辛かったそうです。

いろいろと試してきた来た方法がこの方にはうまく合わなかったようです。
決してこれらの方法を否定するわけではなく、この方の状態には合わなかったということです。

筋筋膜性疼痛症候群に対する当院の見解

上肢と肩甲骨の調整

一般的な治療では症状を取りのぞくことを目的としています。
しかし当院の考え方は少し異なります。

結果として症状が改善することは望ましいことですが、あくまでも結果としてそうなるということで、目指すのはそこではないのです。

ほとんどの慢性症状の根本原因には何かしらの我慢が存在します。

肉体的な我慢、精神的な我慢。
大きな我慢、小さな我慢。

自分では我慢とすら気づけずそれが当たり前になっていることもあります。

この方にそんな話をお伝えしたところ、急に涙があふれてきました。
実は幼少の頃からずっと我慢していることがあるのだそうです。

そして今でも日々緊張とストレスの中で生活しているとのことでした。

体の緊張するのには意味があります。
体は自ら悪くなろうとはしません。

自分の心や体を防御するために、筋肉を固くして守ってくれているのです。

当院では筋肉のコリに対してそのような捉え方をしています。
だから凝っているからといってむやみに力でもみほぐすようなことはしません。

それよりも防御反応を解除することの方が大切です。
そしてその方法はその人によって違うのです。

マニュアルに従った方法では解除できません。
その人の心と体に丁寧に寄り添ったときに、自然と解除されていくと考えています。

当院の問診で心がけていること

一般的な整体院ではその人の症状について話を聞きます。
しかし当院では、その人が抱えている症状の背景にあるものを重視しています。

症状が出ているのには理由があります。
何かしらの理由があって、症状が出て教えてくれようとしています。

この人の症状は何を教えてくれようとしているのか?

そんな観点でお話を伺っています。

説明

当院は少し変わった整体院です。

治しません。
治せません。

そんな話をします。

でも決して治りません、という意味ではありません。
症状に焦点を当てるのではなく、症状の存在理由に焦点を当てます。

存在理由がなくなれば症状は自然と消えていきます。

呼吸の深さやリズム、何を食べ何を飲み何を味わっているか、どんな動き方をしているか、何を思い何を感じて生きているか、どんな環境で生活しているか。

そんな何気ない毎日の中に、治るヒントが潜んでいます。

本当のことをお伝えしていますから、心を開いてさえいればちゃんとわかります。
この方も大きくうなずき、そして安心してたくさんの涙を流されていました。

体との対話

当院の施術は体との対話です。

体には体の都合があります。
体の都合を無視して施術を行うことは効果が得られにくいばかりか、場合によって症状が悪化します。
新しい症状をこしらえてしまうこともあります。

体の欲求を体に訊きます。
頭で考えるのではなく体と直接対話をします。

私は15年以上、毎日そんなことをしているので体を観ると体がどうしたいのかわかります。
触れるともっとわかります。
よくわからない時は動かしてみるとわかります。

そんな風にして体の声をちゃんと聴いてあげるのです。
体は体の希望が叶うとその場でどんどん楽になっていきます。

問診時に涙があふれて、一度収まっていた涙がまたあふれてきました。
体の緊張が解放されると共にまた涙もあふれて流れていきました。

心と体の解放

深いレベルで心と体の解放が起こると、その場で劇的に症状が改善することがあります。

実際、この方もその場で体の動きが劇的に改善し、痛みも劇的に改善しました。
ご自身が「劇的に痛みが良くなりました」と仰っていました。

しかしながら、どの人にも同じ効果が出るわけではありません。
良くなった一番の理由は、この方が私に対して心を開いて施術を受けてくれたことです。

幼少期からの悩みやプライベートのことを会って数分の私に素直に話してくれました。
そして私の説明に対して素直に理解を示して下さいました。

最初に私が「これらの症状の原因は正直言って何だと思いますか?」と尋ねたところ、「たぶん心が関係しているような気がします。」と答えられました。

ご家族とのお話、幼少期からのトラウマなどについても自分から話して下さいました。
その時点で治るスイッチがカチッと入った感じがありました。

心の緊張が緩むと体の緊張も緩みます。
心身一如。
心が身体で身体が心です。

いつでも心にも身体にも寄り添える整体院でありたいです。