整体を受けているとき、施術者の手が触れるたびに心地よく体がゆるんでいく――そんな最中に「ぐ〜っ」とお腹が鳴ってしまい、思わず恥ずかしくなったという経験はありませんか?

「空腹みたいに思われたらどうしよう」「変な音を聞かれてしまった…」と、気にされる方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、整体師の立場からお伝えすると、その“お腹の音”は決して恥ずかしいものではなく、むしろとても良い兆候です。

体がリラックスして、自律神経のバランスが整い始めている証拠。それはつまり、あなたの体が「治ろう」と動き出しているサインなのです。

現代人の多くは、仕事や人間関係、スマートフォンや情報過多によって、常に交感神経(緊張・ストレスを感じる神経)が優位になりがちです。その状態が続くと、消化器の働きが低下し、睡眠の質が悪くなったり、慢性的な疲労や不調が起こりやすくなったりします。

整体によって身体の緊張がゆるむと、リラックスを司る「副交感神経」が働きはじめます。このとき、胃腸が動き出して「ぐ〜っ」という音が鳴ることがあります。

つまりその音は、あなたの体が“回復モード”に入った証でもあるのです。

この記事では、「整体中にお腹が鳴る」という一見ささいな現象に隠された体の仕組みと、その意味について、整体的・生理学的な視点の両面から解説していきます。

お腹の音を恥ずかしがるのではなく、“癒しの音”として受け止めていただけるよう、ぜひ最後までお読みください。

整体中にお腹が鳴るのはなぜ?その正体と生理的メカニズム

お腹が鳴る音の正体は「腸の動き」

整体中にお腹が鳴る現象は、単なる空腹のサインと思われがちですが、実際には腸が活動している証拠です。

この音の正体は「腸の蠕動(ぜんどう)運動」と呼ばれるもので、胃腸が内部の空気や液体、残留物を動かしている際に生じます。

特に空腹時には腸が強く動くため、「ぐ〜っ」という音が聞こえることがあります。医学的にはこれは「空腹時収縮(MMC:Migrating Motor Complex)」と呼ばれ、胃腸のクリーニングのような役割を果たしています。

整体を受けている最中にこうした腸の動きが促進されるのは、体が深くリラックスしている証拠。自律神経のバランスが整ってきているサインでもあります。

副交感神経が優位になると胃腸が動き出す

私たちの体は、交感神経と副交感神経という2つの自律神経によってバランスを保っています。日常生活で緊張やストレスが続くと、交感神経が優位になり、胃腸の働きは抑えられてしまいます。

しかし、整体によって体がゆるみ、安心感が生まれると、副交感神経が優位に切り替わります。

副交感神経は「休息と消化」をつかさどる神経であり、活性化すると胃腸がよく働くようになります。その結果、腸が動いてお腹が鳴るのです。

このように、整体中にお腹が鳴るのは単なる空腹ではなく、神経のバランスが整い、体が自然治癒モードに入ったサインといえるのです。

整体によるリラックス効果とお腹の音

整体は筋肉や骨格のバランスを調整するだけでなく、心身の緊張を解きほぐすことで自律神経にも大きな影響を与えます。

施術によってリラックスが深まると、血流が促進され、内臓の働きも活性化します。

整体中にお腹が鳴るという現象は、まさにこの変化を体が音として伝えているものです。

一見些細な変化に思えるかもしれませんが、これは体の奥深くで自然治癒力が働き出したサイン。とても大切な体からのメッセージなのです。

整体中にお腹が鳴るのは恥ずかしくない!

お腹が鳴って恥ずかしがる方が多い

整体の施術中、お腹が「ぐ〜」と鳴ると、多くのお客様が「すみません、恥ずかしい…」と気にされます。

なかには笑ってごまかしたり、急に体をこわばらせたりする方もいらっしゃいます。

ですが、整体師の立場から見ると、お腹が鳴るのは大歓迎のサイン。

むしろ「体がしっかりゆるんできましたね」「いい反応が出ていますね」と安心できるポイントのひとつです。

施術を受ける方にとっては意外かもしれませんが、整体中にお腹が鳴ることは、施術が順調に進んでいる証でもあるのです。

実は整体師は“お腹の音”で体の変化をチェックしている

整体では、見た目や姿勢、筋肉の緊張具合だけでなく、お客様の呼吸や顔色、反応、そして「お腹の音」なども含めて、体の状態を細かく観察しています。

施術中にお腹が鳴ることは、副交感神経が優位になったサインであるため、整体師としては非常に重要な指標のひとつ。

それによって「この人の体はしっかりリラックスしてきた」「内臓が反応しているから、もう少しこの施術を続けよう」など、施術の方向性を見極める材料にもなります。

つまり、お腹が鳴るのは“体の内側からのフィードバック”であり、整体師にとってはありがたい情報源なのです。

恥ずかしがらずに、体の声に耳を傾けて

私たちはつい、音や反応に対して「恥ずかしい」「人にどう見られるか」といった思いを抱きがちですが、体に起きる現象にはすべて意味があります。

整体中にお腹が鳴るのも、体が安心し、本来の機能を取り戻していく過程の一部です。

それを恥ずかしがる必要はまったくありません。むしろ「今、自分の体が元気になろうとしているんだ」と、前向きに受け止めていただくことで、より深い癒しにつながっていきます。

整体は、体と心の声に耳を傾ける時間です。お腹の音も、その大切な声のひとつとして、安心して受け入れてみてください。

お腹が鳴る整体効果とは?

内臓機能の活性化で代謝がアップ

整体を受けてお腹が鳴るということは、胃腸の動きが活性化し、消化吸収の準備が整ってきたサインでもあります。副交感神経が優位になることで、胃液の分泌や腸の蠕動運動が活発になり、内臓全体が元気に働きはじめます。

その結果、代謝が上がり、冷え性や便秘などの慢性的な不調の改善にもつながりやすくなります。

お腹が鳴るという小さな変化の裏には、体内で起こっている大きな変化が隠されているのです。

睡眠の質が上がり、深い休息モードへ

整体中にお腹が鳴る方の多くは、施術後「よく眠れるようになった」と感じています。これは、副交感神経がしっかり働いた証であり、体が“休息モード”に入っているからです。

睡眠の質が上がれば、回復力も高まり、疲労の蓄積も防げます。整体を定期的に受け、お腹が鳴るほど深くリラックスできるようになると、日々の体調が安定しやすくなるでしょう。

心の緊張もゆるむ整体の力

体の緊張がゆるむと、心の緊張も自然とほどけていきます。整体中にお腹が鳴るのは、そうした「安心」や「開放」の象徴でもあります。

ストレスが多い現代人にとって、こうしたリラックス状態に入ることはとても重要です。整体によって副交感神経が優位になり、お腹が鳴るほど内側が反応しているということは、心身ともに癒しのスイッチが入った状態です。

このように、お腹が鳴ることは単なる現象ではなく、体のバランスが整い、自然治癒力が働き出しているサイン。

整体が持つ“内臓からのアプローチ”が、深いレベルで心と体に変化をもたらしていることを意味しているのです。