ゴッドハンドという言葉があります。
別名、神の手とも言います。
どこに行っても治らなかった痛みや症状が、整体を受けて劇的に改善したら「まるで神の手のようだ!」と感動するでしょう。
そしてそのような整体はどこに行けば受けられるのでしょうか?
この記事では私が考えるゴッドハンドについて解説しています。
優れた整体師の条件とは?
優れた整体師として挙げられる条件はいくつかあります。
以下に、その中でも重要なものをいくつか挙げてみます。
知識と技術
優れた整体師は身体の解剖学や生理学だけでなく、さまざまな整体手法や施術技術について幅広い知識を持っています。
例えば、経絡やツボに関する知識、マッサージやストレッチなどの手技に関する技術、または整体機器や補助具を使った施術方法などを習得しています。
この幅広い知識と技術を持つことで、患者のさまざまな症状やニーズに適切に対応することができます。
さらに、優れた整体師は常に最新の医学的知識や研究成果を追いかけ、自身の知識と技術を常に磨き続けています。
経験
経験豊富な整体師は、さまざまな症例に対応してきた経験から、より正確な診断や適切な施術法を選択することができます。
また、経験によって習得された知識や技術だけでなく、コミュニケーションスキルや問題解決能力も向上します。
クライアントに安心感を与え、信頼を築くことができます。
コミュニケーションスキル
整体師は患者とのコミュニケーションが円滑であり、クライアントの症状や要望を正確に理解し、適切な施術計画を立てる能力が求められます。
優れたコミュニケーションスキルを持つ整体師は、クライアントとの信頼関係を築きます。
そしてクライアントが施術に対して積極的に取り組めるような安心の場を提供します。
また、整体師はクライアントに対して明確で分かりやすい説明を行うことが重要です。
クライアントが自分の状態や施術方法について理解していることで、施術効果がさらに高まります。
継続的な学びと成長
医療の分野は常に進化しているため、優れた整体師は常に最新の情報や技術を学び、自己研鑽を怠りません。
最新の医学的知識や手技を取り入れ、クライアントに最適なケアを提供することができます。
また、継続的な学びと成長によって、整体師は自身の技術や能力を向上させることができ、クライアントにより良い結果をもたらすことができます。
ゴッドハンドを求めるクライアントの心理
ゴッドハンドを求めるクライアントの心理について解説します。
1. 希望と期待
整体施術を受けるクライアントは、ゴッドハンドと呼ばれる整体師に対して大きな希望と期待を抱いています。
彼らは、自分の身体の問題や不調が、ゴッドハンドの技術によって解決されることを期待しています。
他の治療法や医療機関での経験が不十分だったり、満足のいく結果が得られなかったりした場合に、ゴッドハンドの整体師に頼ることで、希望を見出そうとします。
2. 信頼と安心
クライアントは、ゴッドハンドの整体師に対して強い信頼を寄せています。
整体師は、彼らの身体の不調や症状を理解し、適切な施術を提供してくれると信じています。
この信頼は、クライアントに安心感を与え、施術を受ける際に緊張や不安を和らげるのに役立ちます。
整体師がゴッドハンドであるという期待によって、クライアントは自分の身体を委ねることができます。
3. 絶望感からの救いを求める
一部のクライアントは、長期間にわたって痛みや不調に苦しんでいます。
彼らは、他の治療法や医療機関での経験が不十分であり、絶望感に陥っている場合があります。
このような状況下で、ゴッドハンドの整体師に救いを求めることがあります。
彼らは、整体施術によって症状が改善され、絶望感から解放されることを期待しています。
4. 自己価値の向上
整体施術を受けることで、クライアントは自己価値や自己イメージの向上を期待しています。
身体の不調や痛みが解消されることで、彼らはより健康で活力に満ちた生活を送ることができると信じています。
整体施術は、彼らの自己肯定感や幸福感を高め、自己成長や自己実現に繋がる可能性があります。
ゴッドハンド整体の注意点
優れた整体師と出会えると患者にとってもメリットは大きいです。
そこでゴッドハンドとの評判を持つ整体師を探したくなります。
しかし、いくつか注意も必要です。
以下にゴッドハンドに対する注意を挙げてみます。
自らゴッドハンド整体師を名乗っている
ゴッドハンドであるかどうかは、実は明確な定義はありません。
施術を受けた人が感動するほどの変化を感じたら「ゴッドハンド」と思うかもしれませんし、同様の身体の変化を感じてもたいして喜びを感じない人もいます。
つまりゴッドハンドかどうかは、その整体を受けた側の主観で決まるのです。
同じ映画を観て感動して高い評価をする人もいれば、つまらなかったと感じる人もいます。
同じ料理を食べて美味しくて喜ぶ人もいれば、まずいと感じる人もいます。
ゴッドハンドというのは施術を受けた人の感じ方に過ぎないのです。
ところが、整体師の中には自らゴッドハンドを名乗る人がいたりします。
私が知る限り、優れた技術を持ちつつお人柄が素晴らしいと感じる先生で自らゴッドハンドを名乗る人はいません。
ゴッドハンドというのはあくまでも周りの評価であり、自ら名乗るものではないと思っています。
整体院の広告やサイトなどでゴッドハンドの文字をよく目にします。
自ら名乗っている人ほど広告・宣伝に熱心な先生という見方もできますね。
有名=ゴッドハンド?
有名だから技術が優れているとも限りません。
マーケティングに力を入れて集客のために広告費をたくさん使っているところは露出が増えます。
露出が増えると有名になります。
もちろん技術が優れていて紹介で患者が多い整体院もありますが、宣伝・広告が上手なために患者が多い場合もあります。
ゴッドハンドはお金で買える?
神の手(ゴッドハンド)を持つ治療家の特集をした雑誌や本があります。
実は当院にもそのような出版社から声をかけられたことがあります。
でも、掲載するのにお金がかかるんです。
だいたい突然電話がかかってきたりメールが来たりします。
ある程度の基準はあるのかもしれませんが、ほぼ無差別に全国の整体院に対して営業をかけている感じがします。
出版社はそのような特集を組むことで治療家から掲載料をもらえます。
治療家側のメリットとしては本や雑誌で「神の手を持つ治療家」として紹介されたことを宣伝できます。
そこに掲載されている治療院はお金を払って掲載してもらっている事実があります。
ーーーー
(追記)
この記事を書いてひと月ほど経過した頃にちょうど、ある広告代理店から雑誌のゴッドハンド治療家特集の営業メールが届きました。
実際のメール文面がこちらです。
やすらぎの杜整体院 院長様
お世話になっております。
出版社●●社の書籍出版企画を担当しております、●●の●●と申します。
この度、●●社にて「治療院特別取材班」を設置し、 『病院で解決できないカラダの不調に応えるゴッドハンド治療家(仮)』と題したオムニバス書籍を刊行します。
各分野に秀でた鍼灸・整骨・整体院の先生方15人を編集部が取材し、治療方針・治療内容・治療事例などを1冊130ページ前後の本の中に連名で1院あたり8ページの構成で刊行するものとなります。
お一人では高額となってしまう自費出版ですが、共通のテーマに対し複数人で出版することにより比較的容易にご自身の紹介本を出版できます 。
(後略)
このような書籍は、治療院が広告・宣伝の一環で有料の掲載料を支払って掲載してもらっているわけです。
商業的ゴッドハンドに要注意
- 上に挙げたような書籍や雑誌のゴッドハンド特集に自らお金を出して掲載してもらっている
- 自らゴッドハンドを名乗っている
- 広告や宣伝で積極的にゴッドハンドを謳っている
というようなケースもかなり見受けられます。
そのようなケースは、マーケティング的な手法でゴッドハンドを演出していると言えます。
さほど技術レベルが高くなくても、経験が浅くてもマーケティングに長けている場合に「いかにも凄そうな治療家」を演出することは可能なのです。
一般の人からするとなかなか見わけがつきにくいかもしれませんが、自ら積極的にゴッドハンドを謳っている治療家は商業的なゴッドハンドと思っていただいてほぼ間違いないでしょう。
ゴッドハンド整体を求めるリスク
あまりゴッドハンドを求めすぎると、いくつかのリスクもあります。
過剰な期待
ゴッドハンドと呼ばれる整体師に対して抱く過度の期待は、しばしば実際の効果とのギャップを生み出す可能性があります。
人々はしばしば、整体師が全ての問題を解決してくれると期待し、その期待に応えることを求める傾向があります。
しかし、実際にはクライアントの症状や体質によって効果が異なることがあります。
過度の期待が現実と合わない場合、クライアントは失望してしまう可能性があります。
過度な負担
過激な手技や強い圧力を用いる整体師に施術を受けることは、身体に負担をかける可能性があります。
特に適切な評価やコミュニケーションがないまま、クライアントに対して強い圧力を加えることは、むしろ身体に悪影響を与える可能性があります。
整体施術は常に安全に行われるべきであり、クライアントの体調や症状に応じて適切な力や手技が選択されるべきです。
代替療法への依存
ゴッドハンドとして知られる整体師や特定の施術法に過度に依存することは、クライアントにとって最良の治療法や医学的アプローチへのアクセスを制限する可能性があります。
代替療法は一部の症状や状態に対して効果的である場合がありますが、それがすべての症状や疾患に対して適切であるとは限りません。
医学的なアプローチや他の治療法とのバランスを保ちながら、整体施術を受けることも大切です。
また、生活習慣や日常の動作における改善が必要な場合には、それにも積極的に取り組むことが重要です。
最高のゴッドハンドはあなたの中にいる
ここからは私の個人的な考えを述べさせていただきます。
ゴッドハンド=神の手、つまり患者が整体師の先生を神格化しています。
そして神様のように治してくれる先生を探してしまうのです。
仮にそのような先生に出会えたとしても、上に書いたように過剰な期待や依存心が芽生えやすいというリスクがあります。
でも本当は治る力は患者自身に備わっています。
整体師の役割はその力をうまく引き出すことだと考えています。
整体を受けて劇的に改善したとしたらその治る力はあなた自身の力だったのです。
どんな治療家も医者も本当の意味で患者を治すことなどできません。
治療家や医師が治したように感じても、本当はあなた自身の自然治癒力によって治ります。
ゴッドハンドは誰もが持っている
手に宿る癒しの力は誰もがもっているものです。
信頼している人にやさしく触れられると、オキシトシンというホルモンが分泌されることがわかっています。
オキシトシンの効果
オキシトシンは愛情ホルモンとして知られ、社会的結合やストレス軽減、信頼感と絆の形成、心理的安定、性的興奮など多くの効果があります。
また、出産や授乳時の子宮収縮や母乳分泌を促進します。
痛みの軽減や食欲抑制にも関与します。
これらの効果により、オキシトシンは人々の社会的な関心や心身の健康に重要な役割を果たしています。
子どもの頃にどこかをぶつけたときに、お母さんが「痛いの痛いの飛んでいけ~」と言って手を当ててくれたり、お腹が痛い時にお腹をさすってくれたりした経験を持つ人も多いのではないでしょうか?
そして、実際に痛みが和らぎます。
人は誰もがゴッドハンドを持っているともいえるのです。
内側にある自然治癒力に気づく
どんな人にも神的な力が備わっています。
それが自然治癒力です。
あなたが自分でその力を引き出せれば、外側のゴッドハンドは必要ありません。
元々治る力は備わっているのです。
その力がうまく発揮できていないとすれば、必ず治癒を阻んでいる要因が存在します。
それらの要因を取りのぞくことができれば自分の力で治っていくものです。
しかし、自分ではどうしたらよいのかわからない場合に整体師などのサポートを受ければよいのです。
私が考える良い整体師とは治癒を阻む要因を取りのぞいたり、自分で治る力を引き出してくれる先生だと考えています。
ちなみに私は神の手も持っていませんし、自分がゴッドハンドと思ったこともありません。
できるだけ余計なことはせずに、必要最小限の働きかけで治るきっかけやスイッチが入るお手伝いをしています。
あなた自身が持つ自然治癒力、すなわち「神の力」が発動するようお手伝いをしています。
最高のゴッドハンドはあなたの中にいるのです。
(比喩的な表現ではなく、本当に自分の中にゴッドハンドがいると体感できると人生が変わります。)
【関連ページ】