執筆者:院長 上川名 修

良い姿勢はしんどい?

まず「良い姿勢」をイメージしてみてください。

立った状態だと軍隊式の胸を張って「気をつけ」が頭に浮かぶと思います。
顎を引いて胸を張って肩甲骨を寄せて腰を反らせたような形です。
幼稚園でも小中学校でも先生からそのような指導をされたと思います。

でもずっとそんな姿勢を維持するのはとても疲れますよね。
誰もいないところで1人で立っている人がそのようにしているのを見たことありません。

椅子に座るときも同様です。

よくあるのが骨盤を立てて坐骨で座るようにという指導です。
立っているときと同様に胸を張るように指導されることが多いですね。

これもまた長時間はしんどいですね。
立っているときも座っているときもどんな姿勢が正しいのでしょうか?

正しい姿勢はやせる?

正しい姿勢はダイエットにも効果的と言われたりしますが個人的にはやや疑問があります。
ダイエット効果があるということは筋力に頼っているとも言えるわけです。
筋力で頑張るから代謝も上がりダイエットしやすいという解釈かと思います。

でもそれではずっと疲れるような姿勢を維持しなくてはいけないわけで、それは何か違うのではないかと思ってしまいます。
でも痩せることが目的であればエクササイズとしてはよいのかもしれません。

骨盤の角度

私は過去に武術の稽古やボディワークのレッスンを受けてきました。
合気道、大東流合気柔術、アレクサンダーテクニーク、フェルデンクライスメソッド、等など。
気功の先生のレッスンを受けたり独学で身体の使い方に関する勉強もしてきました。

いろいろな理論があり骨盤の角度についても考えがまちまちでした。
骨盤を前傾させたりやや後継させたりとかいろいろでした。

自分が目指すのは自然体で無理のない姿勢です。
無理がなく疲れにくく強く美しい。
そんな身体の使い方を身に付けたいと思っています。

骨盤に関しては元々人により前傾気味の人がいたり角度が違います。
なので骨盤を操作するという意識はそれほど必要ないのかなとも思っています。

静止した状態だけでなく、立ったり座ったり動作をするときに自由に各関節が調和的に連動して動けるのがよい状態です。

静止している状態ではとにかく筋力に頼らず楽にその形を維持できるのがよいと思います。

正しい姿勢とは?

正しい姿勢の定義はいろいろあるかもしれませんが当院では以下のように考えています。

  • 骨格で身体を支える
  • 外力に対して強い
  • 呼吸がしやすい
  • 見た目にも美しい

それぞれ解説してみます。

骨格で身体を支える

骨格で身体を支えた方が楽です。
言い方を変えると筋力に頼らないということです。
できるだけ筋肉を使わないようにするのです。

そのためには脱力、リラックスが大切になります。

立っている状態で力を抜くと自分の身体の重みを感じます。
立ち上がってまもない一歳前後の赤ちゃんはゆらゆらしながら重心のバランスを取ろうとします。

そんなイメージで力を抜いて小さくゆらゆらしながら立ってみます。
それで力が抜けて楽な状態を身体に問いかけていくのです。

強く安定した姿勢

そんな風にゆらゆら立ってみるといつもより楽に立てる感じがします。
その状態で他の人に肩の辺りをかるく横から押してもらいます。
すると力はぬけているのにも関わらず結構耐えられるのです。

骨で立っていないときは筋肉を固めて立っています。
そんな状態で横から押されると簡単に身体がぐらつきます。

力比べではなくあくまでも実験ですから、軽く指で押して比較してみてください。

呼吸が楽

正しい姿勢は呼吸が楽にしやすくなります。
特に座っているときに違いが感じやすいです。

骨盤を前傾させて腰を立てて深呼吸をするとあまり空気が入ってきません。
軽く骨盤を後傾させる感じで自然に座った方が深く息が入りやすいです。

この時の骨盤の角度は人によって違いがあると思いますので、呼吸をしながら楽なポジションを確認してみると良いでしょう。

見た目も美しい

無理に頑張って作った良い姿勢はどこか無理を感じます。
一方力が抜けた自然体は見た目にもゆったりして美しい印象があります。

野生動物がただ立っているだけでも美しさを感じますよね。
野生動物がただ歩く姿を見るだけでもなんかかっこよくて綺麗です。

正しい姿勢がわからない人へ

姿勢に関する情報はたくさんあり何が正しいのかわからなくなっている人も多いのではないでしょうか?
間違った方法を試し続けて身体の調子が悪くなってしまうこともありますから注意が必要です。

何が正しいのか、という基準は自分の感覚を元にするとよいのです。
巷で正しいと言われている情報は自分にとってもそうなのか?
その情報がそのまま自分に当てはまるとは限らないと思うのです。

理にかなった身体の使い方をすると、自分の感覚でなんとなく良い感じがわかります。
その感覚を判断基準にすると良いでしょう。

しかし、感覚が鈍っている人が多いのも事実です。
判断基準をいつも外側の情報に頼っている人ほど自分の感覚がわからなくなる傾向があります。
なので日頃から自分がどう感じているかということに意識を向けておくことも大切と思います。

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