投球イップスに悩む野球部の高校生が来院しました。
彼は中学三年生の時にイップスを発症し、現在で三年目になるそうです。
全力投球をするとイップスの症状が出てしまい、思うようにプレーできない状態が続いていました。
通常のキャッチボールでは、症状が出ない投球方法を工夫しながらなんとか続けているとのことでした。
彼の改善に向け、整体による体の歪みの調整と、栄養療法による神経バランスの安定を併用する方針を立てています。
体の緊張を解消し、自然な動作を取り戻すことで、イップスの克服を目指していきます。
イップスは決して「治らないもの」ではありません。
適切なケアを続けることで、少しずつ改善していきます。
焦らず、じっくりと取り組むことが大切です。
イップスとは?
イップス(Yips)とは、スポーツや楽器演奏など、特定の動作において意図した通りに体を動かせなくなる現象を指します。
特に、野球の投球、ゴルフのパッティング、テニスのサーブなど、精密なコントロールが求められる競技で発生しやすいとされています。
イップスに陥ると、これまで自然にできていた動作が突然ぎこちなくなり、思い通りのプレーができなくなります。
医学的には「局所性ジストニア」の一種と考えられていますが、精神的な要因も大きく関係しており、過度なプレッシャーやトラウマ、運動パターンの乱れなどが影響を与えます。
そのため、単なる技術的な問題ではなく、心と体のバランスが崩れることで生じる複雑な現象といえるでしょう。
放置すると競技への自信を失い、プレー自体を楽しめなくなることもあるため、適切な対処が必要です。
イップスの主な症状
イップスの症状は人によって異なりますが、共通しているのは「意図した通りに体を動かせなくなる」という点です。
症状の程度は軽度の違和感から深刻な運動障害までさまざまで、以下のような特徴が見られます。
1. 思い通りに動かせない
投げようとしても腕がスムーズに振れない、リリースのタイミングが狂うなど、意識とは裏腹に動作が制御できなくなります。
以前は自然にできていた動作が突然ぎこちなくなり、選手自身が大きな戸惑いを感じることが多いです。
2. 無意識に力が入る
指や腕の筋肉が必要以上に緊張し、思ったように力をコントロールできなくなります。
リラックスすべき場面でも体がこわばり、スムーズな動作が妨げられることがあります。
これによりフォームが崩れ、ボールのコントロールを失うことにつながります。
3. 制御できない動きが生じる
リリース時に腕が引っかかるような感覚になったり、ボールが意図しない方向へ飛んでしまうなど、制御不能な動きが発生することがあります。
本人の意識とは関係なく動作が乱れるため、どう対処すればよいかわからず、ますます焦りが募ることが多いです。
4. 精神的な影響
「またミスをするのではないか」という不安や恐怖が強くなり、投げること自体が怖くなってしまうこともあります。
自信を喪失し、試合で積極的にプレーできなくなることも少なくありません。
この精神的な影響が悪循環を生み、症状をさらに悪化させる要因となります。
イップスの原因
イップスは単一の原因で発症するものではなく、さまざまな要因が絡み合って生じます。
そのため、根本的な改善には多角的なアプローチが必要です。
1. 過度な緊張やプレッシャー
試合や重要な場面での強いプレッシャーが無意識のうちに筋肉の緊張を引き起こします。
「ミスをしてはいけない」という強い意識が、リラックスして行うべき動作を妨げてしまいます。
周囲の期待や自分自身の目標が大きいほど、イップスに陥るリスクは高くなります。
2. フォームの乱れや過剰な修正
フォームを意識しすぎたり、細かい修正を繰り返すことで、自然な動作が失われることがあります。
無理に理想のフォームを作ろうとするあまり、本来のリズムが崩れ、結果として動作がぎこちなくなってしまうのです。
特に、周囲から頻繁に指摘を受けることで混乱し、さらに悪化するケースもあります。
3. トラウマや失敗経験
過去に大事な試合でミスをした経験や、指導者や仲間から厳しく指摘された経験がトラウマとなり、無意識のうちに体が動かなくなることがあります。
「また失敗するのではないか」という恐怖が脳に強く刻まれ、それが実際の動作にも影響を及ぼします。
4. 身体の歪みや筋肉のバランスの乱れ
姿勢の悪さや筋肉の緊張によって、スムーズな動作が妨げられることもあります。
特に、肩や肘に負担がかかるフォームを続けていると、筋肉のバランスが崩れ、自然な動作が難しくなります。
身体の歪みを整えることで、動作の安定性が向上し、イップスの改善につながることもあります。
イップスの改善方法
イップスの克服には、心と体の両面からアプローチすることが大切です。
1. 整体による身体の調整
整体によって筋肉の緊張をほぐし、関節の可動域を広げることで、スムーズな動作を取り戻すことができます。
特に、肩や肘の可動域が狭くなっている場合、整体でバランスを整えることが重要です。
また、体全体の歪みを改善することで、無駄な力が抜けやすくなり、自然な投球動作が可能になります。
2. 栄養療法による神経バランスの改善
神経や筋肉の働きをサポートする栄養素(ビタミンB群、マグネシウム、オメガ3脂肪酸など)を補給することで、体の緊張を和らげることができます。
特に、ストレスが強い選手は副腎疲労の影響でミネラルバランスが乱れやすいため、食事やサプリメントでのサポートが有効です。
3. メンタルケア
イップスに対する恐怖心を軽減し、リラックスした状態でプレーできるようにすることも重要です。
深呼吸や瞑想、イメージトレーニングを取り入れることで、精神的な安定を図り、プレッシャーへの耐性を高めることができます。
投球イップスの整体症例
投球イップス:高校生ピッチャーの改善記録
クライアント情報
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学年:高校二年生(野球部ピッチャー)
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イップス発症時期:中学3年生で発症(現在3年目)
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発症原因:不明
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現在の状況:
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キャッチボールは、症状を抑えながら何とかこなしている
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症状が出にくい投げ方を工夫している
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しかし、ピッチングの投球動作では症状が見える
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初回来院時の状態と施術内容(2025年3月19日)
身体の状態
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全身の筋肉が非常に硬く、リラックスできていない
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肩や腰の可動域がスムーズ、スムーズな動作が難しい
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骨盤や肩甲骨周りの可動性が低下し、投球動作が制限されている
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神経系の緊張が強く、投球時の動作に影響を与えている可能性がある
施術内容
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骨盤の調整:身体のバランスを整え、下半身からの動作をスムーズにする
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肩甲骨の調整:肩の可動域を広げ、腕を振って動作をしやすくする
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脳と神経の緊張緩和:自律神経のバランスを整え、過剰な力みを軽減する
栄養面でのアドバイス
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マグネシウム:筋肉の緊張を緩め、リラックスしやすくするために推奨
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ナイアシンアミド:神経の安定化をのために推奨
2回目の変化と施術内容(3月24日)
状態の変化
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一度施術してから、投球動作がやりやすくなったと報告
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以前よりも可動域が改善し、肩や腰のスムーズになっている
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まだ完全に症状は消えていないが、体の感覚に変化を感じ始めている
施術内容
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両肩の可動域の調整:肩関節の柔軟性を高め、投球時のスムーズな動作をサポート
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両肘の可動域の調整:肘関節の動きを正常に、スムーズなリリースを身につける
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前腕の筋膜リリース:前腕の筋膜の緊張を緩め、無意識の力みを軽減
栄養面での追加アドバイス
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プロテインの摂取を推奨(毎日2回)
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筋肉の回復と強化を重視、投球時の安定性を向上させるため
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今後の施術方針
一回の施術で良い変化がありました。
筋・筋膜のこわばりを解放するとともに、神経系の緊張も解放する施術を行っていますので、徐々に本来の自然な身体の動きが取り戻されていくと思われます。
栄養面のアプローチ(分子栄養学)も併せて筋肉のこわばりが改善されていくと、投球動作のやりやすさも徐々に改善していくと思われます。
根本改善に向けてサポートしていきます。
随時経過も追記していきます。
3回目の変化と施術内容(3月28日追記)
状態の変化
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二度施術してから、投球動作がやりやすくなったと報告
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投球時のコツが掴めてきたとのこと
その他
- プロテイン、マグネシウム、ナイアシンアミドの服用を継続
- 施術時に筋肉が伸ばされるときに一時的に痺れを感じることに気づく