執筆者:院長 上川名 修

筋筋膜性疼痛症候群(MPS)は、慢性的な痛みや不快感を引き起こすことが多い症状です。
この症状は筋肉や筋膜にしこりや痛みが発生し、日常生活に支障をきたすこともあります。

ストレスや身体の使い方の癖、姿勢の歪みなど、さまざまな要因が関与しているため、痛みの原因が分かりにくく、根本的な改善が難しいと感じる方も多いかもしれません。
しかし、整体を通じて筋肉と筋膜の状態を整えることが、MPSの症状緩和に役立つ可能性があります。

この記事では、筋筋膜性疼痛症候群の原因や症状、そして整体がどのようにして痛みを和らげる手助けをするかについて詳しく解説していきます。

筋筋膜性疼痛症候群とは?

筋筋膜性疼痛症候群(Myofascial Pain Syndrome, MPS)は、筋肉や筋膜(筋肉を包む結合組織)に起こる慢性的な痛みを特徴とする症状です。

主に「トリガーポイント」と呼ばれる圧痛点が筋肉内にでき、この部位に触れると強い痛みや周囲への放散痛が生じます。
トリガーポイントが刺激されることで、痛みや筋肉のこわばり、関節の動きが制限されるなど、日常生活に支障をきたすことが多いのが特徴です。

筋筋膜性疼痛症候群の原因

筋筋膜性疼痛症候群の原因は多岐にわたり、姿勢の崩れや過度な身体の負担、ストレス、運動不足、または繰り返し同じ動作をすることが発症要因として挙げられます。

これらの要因により筋肉や筋膜に負担がかかり、微細な損傷が生じることでトリガーポイントが形成され、慢性的な痛みが発生するのです。

整体によるアプローチでは、筋肉と筋膜の緊張を緩和し、血行を促進することでトリガーポイントの改善を目指します。

筋筋膜疼痛症候群の改善例

秋田県からご来院の60代男性。近所の整体に行っても改善せずネットで検索して奥様と一緒に来院しました。
遠方なので予約時に二日分予約して宿泊しての施術です。

症状は、首痛、肩痛、頭痛、めまい、寝る時にみぞおちが固まって心臓のあたりが痛くなる、喉も固まってしゃべれない、呼吸が苦しいなどいろいろありました。パニック障害の薬も飲んでいます。

いろいろ調べて筋膜が緊張しているということで、群馬県の専門医を訪ねてトリガーポイント注射をしたけれど効果を感じられなかったそうです。
ご本人曰く三年前に膝の靭帯を損傷してそれでかばって歩いていたところ、身体が歪んできてその頃からこのような不調が出てくるようになったそうです。

最近では、体の痛みの原因が筋膜にあるとする筋筋膜性疼痛症候群という病名も出てきています。
トリガーポイントに注射をすることで改善が見られることも多いです。
でも注射をしなくても操体法でもとても良い効果が得られることが多いです。

筋膜への整体

このクライアントさんの気になる症状はほとんど上半身に集中していましたが、私が検査をしたところ足指、足首、足の甲などに問題がありました。
そして骨盤の動きもかなり制限がありました。

おそらく三年前の膝の靭帯のけがも関係していると思いました。
そこで、最初は下半身と足からアプローチしていきました。
その場で身体のこわばりがどんどんほどけていきました。

肩の動き、首の動きも良くなりました。
ご自身も「さっきまで首も全然動かせなかったのに、今はこんなに楽に動ける!お腹も背中も楽です!」と首を左右に動かして見せてくれました。

今日はじっくり施術を味わって頂いて、明日は家で自分で出来ることを一つでも多く覚えて帰って頂こうと思っています。
今回の反応を見る限りでは、近くでしたら確実に良くなっていくお手伝いが出来ると感じましたが毎回泊りがけで来て頂くのも大変なので別の整体院も紹介することにしました。

地元の整体院を紹介しました

この方は秋田県の山形県よりの所に住んでいるそうです。
秋田の地理には詳しくありませんが、秋田市の先生と山形県の先生で操体法を行っている先生を紹介させて頂きました。

秋田に帰った後は、近い先生の整体を受けた方が良いですから紹介しました。
同じ操体法でもその先生によって特色がありますし、相性の問題もあるので、必ずしも操体法だからお勧めってわけではありませんが、面識もあって信頼できる先生を紹介させて頂きました。

追記 筋膜と栄養

翌日も二日続けて来院しました。前日よりもだいぶ体全体の動きは良かったですが、夜寝てる間にまた身体が捻じれたようです。
無意識にやっていることや、コントロール出来ないことは放っておきます。
そしてコントロール出来るところから取り組んでいく話をしました。

今日は食べ物の話もしました。
かなり炭水化物が大好物で、特に小麦が好き。三食パンでも良いと言っていました。
痛みに伴い、動悸、寒気などの症状も時々あるようなので自律神経失調気味のようです。

自律神経失調症も食事で改善します。
痛みも食事で改善出来ることも多いです。
基本的には糖質制限をするとよいです。

筋膜と栄養の関係ははっきりよく分かりませんが、きっと関係しているように思います。
帰りに本屋に寄って糖質制限の本を探してみると仰っていました。

追記2 2017年9月

その後この方が三か月ほど経過して来院しました。
また仙台に用事があり、ついでに予約も取って施術を受けて行かれました。

なんと、前回来院時に訴えていた上半身の症状はお伝えしたセルフケアを実践したところほとんど気にならないくらいに改善したそうです。

今回の来院はまた別の症状で、腰痛で腰がくの字に曲がってしまっての来院でした。

動悸、めまい、息苦しさ、胸が突っ張る、苦しいなどの症状はほとんど気にならなくなったようです。

今回の腰痛に関しては骨盤周辺の筋膜のこわばりを解放することですぐに楽になりました。
腰がくの字になって来院しましたが帰りはすっとまっすぐになって帰られました。

筋膜に対するアプローチは他院で改善が見られず困っていた人が劇的に回復することがよくあります。
筋膜へのアプローチと言っても、トリガーポイントや筋筋膜リリースとして知られる手技とは違います。

全身の筋膜が同時に変化するような施術を行っています。