
整体師といえば、どんな服を着ているイメージがあるでしょうか。
白衣やケーシー、スクラブのような医療系の服装を思い浮かべる方も多いかもしれません。
一方で、ジャージや作務衣など、より動きやすさを重視した服装を選ぶ整体師もいます。
私自身も開業以来、さまざまな服装を試してきました。
ケーシーやスクラブを着ていた時期もあれば、自然素材の服にこだわっていた時期もあります。
そのどれもに良さがありましたが、年月を重ねるうちに「どんな服を着るか」は、
単なる見た目や機能性だけでなく、施術の在り方そのものを映すものだと感じるようになりました。
そして今は、特別な制服ではなく、“普通の服”で施術をしています。
それは「自然体でいること」を何より大切にした結果でもあります。
この記事では、私がこれまでに着てきた服の変遷と、
最終的に“普通の服”に落ち着いた理由をお伝えします。
一般的な整体師の服装とは

整体院を訪れると、整体師の服装は実にさまざまです。
清潔感を大切にしたケーシーやスクラブを着る人もいれば、動きやすさを重視してジャージや作務衣を選ぶ人もいます。
それぞれの服装には、整体師としての考え方や院の雰囲気が反映されています。
ケーシーやスクラブは「清潔感」と「信頼感」の象徴
整体師の服装として最もよく見られるのが、白衣に近いケーシーやスクラブです。
これらはもともと医療従事者が着るために作られた服で、
「清潔で信頼できる」という印象を与える点が大きなメリットです。
また、袖口や裾が短めで動きやすく、施術中に邪魔になりにくいという機能面の良さもあります。
そのため、治療院系の整体院やリラクゼーションサロンでも多く採用されています。
一方で、医療従事者のような印象が強く、「病院の延長のように感じる」という理由から、
あえて避ける整体師もいます。服装一つで、院のイメージやお客様の安心感が変わるのです。
ジャージ・作務衣などのリラックススタイル
動きやすさや機能性を重視する整体師の中には、ジャージやトレーニングウェア、作務衣を好む人もいます。
体を動かす仕事だからこそ、軽くて柔軟な素材の服は施術に適しています。
特に作務衣は、和の雰囲気や落ち着いた印象を与えるため、
「心と体の癒し」をテーマにした整体院では好まれる傾向があります。
ただし、ジャージやスウェット等ラフすぎる服装は「プロらしさ」に欠けて見えることもあり、
どこまでカジュアルにするかは悩みどころです。
(※スポーツ系の治療院はそれで合っていると思います。)
この“動きやすさ”と“信頼感”のバランスを取ることが、整体師の服装選びで最も難しい部分かもしれません。
服装は「整体師としての姿勢」を映すもの
どんな服を選ぶかは、単に好みや流行ではなく、
「どんな整体をしたいか」「お客様にどう見られたいか」という意識の表れです。
服装は整体師の第一印象を決める重要な要素であり、
清潔感・動きやすさ・世界観のすべてをバランスよく整えることが求められます。
私の整体服装遍歴

整体師として長く施術を続けていると、服装にも“その時々の自分”が表れるように思います。
私自身、開業してから現在に至るまで、さまざまな服を試してきました。
それぞれの服装には「選んだ理由」と「やめた理由」がありました。
ケーシー時代:清潔感と信頼を意識して
開業当初は、整体師といえばケーシーというイメージがありました。
白を基調としたケーシーは、清潔感があり、医療従事者のような信頼感を与えてくれます。
実際、初めて来院されるお客様からも安心感を持ってもらいやすいと感じていました。
しかし、施術を重ねるうちに少しずつ違和感が出てきました。
ケーシーはもともと医療用の服であり、「病院の先生」のような印象を与えます。
私が目指していたのは“医療の代わり”ではなく、“自然治癒力を引き出す整体”。
そのスタイルには、ケーシーの“医療っぽさ”がしっくりこなくなっていったのです。
スクラブ時代:動きやすさを求めて
次に選んだのはスクラブでした。
ケーシーよりも軽く、通気性も良く、動きやすさの面では非常に快適です。
明るい色のスクラブを選ぶことで、柔らかく親しみやすい印象も出せました。
しかし、同じようなスクラブ姿の整体師が増えていた時期でもあり
どこか「一般的な整体院の一人」に埋もれてしまうような感覚がありました。
当院の整体は一般的な施術とは少し違うアプローチをしているため、
「見た目からも違いを伝えたい」という思いが芽生えてきました。
うさとの服時代:自然素材と精神性への共鳴
その後出会ったのが「うさとの服」でした。
自然素材で作られ、草木染めのやわらかな色合い。
手織りの風合いや、素材の持つ温もりに惹かれました。
何より“人と自然の調和”というコンセプトが、整体師としての自分の理念と重なったのです。
しばらくはこの服に心から満足していました。
民族衣装のようなデザインも、他院にはない独特の雰囲気を演出できました。
しかし10年ほど着続けるうちに、少しずつ気持ちの変化が訪れました。
うさとの服は自然素材ゆえに劣化が早く、洗濯で色落ちや生地の傷みが目立つようになりました。
そして何より、最初は魅力だった“特別感”が、次第に自分には合わなく感じられてきたのです。
「もっと自然で、もっと普通でいいのではないか」――そう思うようになりました。
シンプルな服装へ:自然体に戻る
今では、春夏秋冬に合わせてシンプルなスマートカジュアルを着ています。
春はシャツとスラックス、夏はポロシャツやTシャツにスラックス、
秋はカーディガンとシャツ、冬はジャケットやニットなど。
どの季節も、ストレッチ素材で動きやすく、清潔感のある服を選ぶようにしています。
このスタイルに落ち着いたのは、「特別である必要はない」と気づいたからです。
自然体でいられる服を着ることが、施術においても自分らしさを保つことにつながっています。
“普通の服”で整体するようになった理由

これまで、ケーシーやスクラブ、うさとの服など、いろいろな服を試してきました。
それぞれに良い点がありましたが、最終的に私が“普通の服”を選んだのには、
いくつかの明確な理由があります。
動きやすさときちんと感のバランスを取りたかった
整体師にとって、施術中にどれだけ体を自由に動かせるかはとても重要です。
その点では、ジャージやトレーニングウェアのような動きやすい服が理想的です。
しかし、ラフすぎる服装はどうしても“部屋着の延長”のように見えてしまい、
初めて来院されるお客様にプロとしての信頼感を与えにくい側面があります。
反対に、スーツやネクタイといったフォーマルな服装を選べば、
見た目の印象は良くなりますが、施術中の動きが制限されてしまいます。
結果的に、体の使い方がぎこちなくなり、施術の質にも影響が出かねません。
この「動きやすさ」と「きちんと感」のバランスを取ることが、
私にとって服装選びの大きなテーマでした。
“普通の服”が一番自然に感じられた
その中間を探していくうちに、たどり着いたのが“普通の服”です。
たとえば、シャツやポロシャツにスラックス。
見た目はシンプルで清潔感があり、ストレッチ素材のものを選べば動きにも支障がありません。
「ラフすぎず、硬すぎず」――このほどよい自然さが、自分にはしっくりきました。
服装が自然体であると、自分の心もリラックスでき、施術中の感覚も穏やかになります。
服装も自分のエネルギーを整える要素
服装は単なる外見の問題ではなく、心の状態にも影響を与えます。
自分が着ていて心地よい服は、それだけで気分が落ち着き、
施術に向かうエネルギーが整います。
以前は「整体師らしく見せるため」に服を選んでいましたが、
今は「自分が自然でいられること」を優先しています。
“普通の服”にも整体師としてのこだわりを
“普通の服”といっても、何でも良いわけではありません。
整体師としてお客様の前に立つ以上、服装は清潔感や印象を左右する大切な要素です。
私は次のようなポイントに気をつけています。
-
無地であること
柄物よりも無地のほうが落ち着きがあり、視覚的にも余計な情報を与えません。
お客様が安心してリラックスできる雰囲気づくりにつながります。 -
ベーシックカラー(黒・白・グレー・ネイビーなど)
派手な色よりも、自然と馴染む色合いを選ぶようにしています。
ベーシックカラーは清潔感があり、どんな年齢層のお客様にも好印象です。 -
世界共通のベーシックなデザイン
流行や個性を強調する奇抜な服は避け、シンプルで普遍的なデザインを選びます。
どの国や文化の方が見ても「きちんとしている」と感じられる服を意識しています。 -
サイズ感
タイトすぎると動きにくく、だぼだぼすぎるとだらしなく見えます。
体のラインを程よく整え、動きやすく美しく見えるシルエットを心がけています。 -
色数を控えめに(2〜3色以内)
服の色が多いと視覚的に散らかって見えます。
全体を2〜3色に抑えることで統一感が生まれ、シンプルで上品な印象になります。 -
シンプルな美学
「シンプルなものほど美しい」と感じています。
余計な装飾を省き、素材や形の美しさが引き立つ服を選びます。 -
上質な素材
シンプルなデザインだからこそ、素材の質が大切です。
肌触りの良い上質な生地は、着る人の気持ちを整えます。
このように、“普通の服”であっても細かな点に気を配ることで、
自然体でありながら「清潔感」と「品の良さ」を保つことができます。
私にとってシンプルな服装が、整体師として最も自分らしいスタイルなのです。

