
長いあいだ、同じ症状で悩んでいませんか。
整体を受けると一時的に楽になるのに、
しばらくするとまた元に戻ってしまう。
「ちゃんと通っているのに」「自分の体は治りにくいのでは」
そんなふうに感じている方も多いかもしれません。
慢性症状が続く理由は、
年齢や体質、生活習慣だけでは説明できないことがあります。
実は、体が無意識に緊張し続けている状態が、
回復を妨げているケースも少なくありません。
本人にとっては当たり前になっているその緊張は、
体が自分を守るために身につけたものです。
決して悪いものではありませんが、
力が抜けない状態が続くと、
体は本来の回復モードに入りにくくなってしまいます。
この記事では、
慢性症状と整体の関係を、
「無意識の緊張」という視点から、
できるだけわかりやすくお伝えしていきます。
慢性症状で悩む人に共通して見られる体の状態

体が「休めていない」状態になっている
慢性症状がある方の体を観ていると、症状の種類は違っていても共通して見られる状態があります。それは、体がしっかり休めていないということです。眠っていても疲れが取れない、常にどこかに力が入っている、気づくと肩やあご、腰に力が入っている。こうした状態が続くと、体は回復よりも「踏ん張ること」を優先するようになります。
筋肉がゆるまず、血の巡りが悪くなる
体に力が入り続けると、筋肉はこわばりやすくなります。筋肉が固くなると、その間を通っている血管も圧迫され、血の巡りが悪くなります。血液は酸素や栄養を運び、疲労物質を回収する役割がありますが、巡りが悪くなると疲れや違和感が残りやすくなり、痛みや不調が慢性化しやすくなります。
症状のある場所だけの問題ではない
肩こりなら肩だけ、腰痛なら腰だけが悪いと思われがちですが、実際には体全体が緊張しているケースが多く見られます。呼吸が浅くなり、動きが小さくなり、無意識に体を守る姿勢が続いている。その結果として、弱い部分や負担のかかりやすい部分に症状が現れているだけなのです。
本人は「普通」だと思っていることが多い
この緊張状態が長く続くと、それが「普通」になってしまいます。「昔からこうだから」「力を抜くと逆に不安」そう感じる方も少なくありません。本人にとっては当たり前でも、体はずっと頑張り続けています。慢性症状は、その頑張りに対する体からのサインとも言えます。「どこが悪いのか」だけでなく、「体がどんな状態で過ごしているのか」に目を向けることが、回復への大切な第一歩になります。
なぜ体は無意識に緊張してしまうのか

緊張は体を守るための自然な反応
体の緊張というと、悪いもの、取るべきものと思われがちですが、もともとは体を守るための大切な働きです。危険を感じたとき、人はとっさに身構え、力を入れます。これは意識的に行っているわけではなく、体が自動的に反応している状態です。この反応そのものは、決して間違いではありません。
過去の経験が体に記憶されている
体が無意識に緊張する背景には、これまでの経験が関係していることがあります。厳しい環境で過ごしてきた、本音を我慢することが多かった、大きな病気やケガをした、強い不安や恐怖を感じる出来事があった。こうした経験があると、体は「また同じことが起きないように」と、常に備えるようになります。その結果、力を抜くことよりも、緊張を保つことを優先するようになります。
本人に自覚がないまま続いている
無意識の緊張が厄介なのは、本人にほとんど自覚がないことです。長いあいだ緊張した状態で過ごしていると、それが普通になります。「力を抜くってどういう感じかわからない」「リラックスすると逆に落ち着かない」そんな感覚を持つ方も少なくありません。体は緊張しているのに、本人は頑張っているつもりも、無理をしているつもりもないのです。
緊張が長く続くと回復が後回しになる
体が常に身構えている状態では、安心して休むことができません。その結果、体は回復よりも防御を優先する状態が続きます。痛みや違和感が出やすくなり、整体で整えても、しばらくすると元に戻りやすくなります。これは治っていないのではなく、体がまだ「安全だ」と感じられていないだけのことも多いのです。
無意識の緊張は、弱さではありません。これまでを生き抜くために、体が身につけた反応です。その仕組みを理解することが、慢性症状を考えるうえで大切な土台になります。
無意識の緊張があると回復しにくくなる理由

体が「回復する準備」に入れない
体が緊張している状態では、回復に必要な働きが後回しになります。本来、体は力を抜いているときに、修復や調整を行います。しかし無意識の緊張が続いていると、体は常に身構えた状態になり、「整える」よりも「備える」ことを優先してしまいます。そのため、症状がなかなか改善しにくくなります。
血の巡りと動きが制限されてしまう
緊張が続くと、筋肉はこわばり、体の動きが小さくなります。すると血の巡りも悪くなり、必要な栄養や酸素が十分に行き渡りにくくなります。老廃物もたまりやすくなり、痛みや重だるさが抜けにくい状態が続きます。これは症状のある部分だけでなく、体全体で起きている変化です。
良くなっても症状が戻りやすくなる
整体で一時的に楽になっても、しばらくすると症状が戻ってしまう。その背景には、体の深い部分の緊張が変わっていないことがあります。表面的には整っても、無意識のレベルで緊張が残っていると、体は元の使い方に戻りやすくなります。これは施術の問題というより、体の状態の問題です。
「治らない」のではなく「整いきっていない」
慢性症状が続くと、「自分の体は治らないのでは」と感じてしまうことがあります。しかし多くの場合、治る力がないのではなく、十分に発揮できていないだけです。無意識の緊張があると、その力が表に出にくくなります。体が安心できる状態になることで、初めて回復がスムーズに進み始めます。
無意識の緊張を理解することは、症状を責める視点から、体を整える視点へと切り替えることでもあります。ここに気づけるかどうかが、慢性症状から抜け出す大きな分かれ道になります。
整体で変化しやすい人・しにくい人の違い

変化が出やすい人に見られる傾向
整体を受けたとき、比較的早く変化を感じる人にはいくつかの共通点があります。特別なことをしているわけではなく、体の感覚に意識を向けることができる、力を抜くことに抵抗が少ない、施術中に「楽」「気持ちいい」といった感覚を受け取りやすい、といった点です。体が安心しやすい状態にあるため、整った状態を受け入れやすいとも言えます。
変化がゆっくりな人に多い体の状態
一方で、変化を感じにくい人が悪いわけではありません。そうした方の多くは、無意識のうちに体を守る緊張が強くなっています。力を抜こうとしても、どこか落ち着かない、施術中も頭が働き続けている。体がまだ「安全だ」と感じられていない状態では、変化が表に出るまでに時間がかかることがあります。
生活習慣だけでは説明できない違い
「姿勢が悪いから」「運動不足だから」といった生活習慣の違いだけで、整体の効果に差が出るわけではありません。同じような生活をしていても、変化の出方が大きく違うことがあります。その違いの一つが、無意識の緊張の強さです。体がどれだけ安心できているかが、回復のスピードに影響します。
整体は「変える」より「引き出す」もの
整体は、外から無理に体を変えるものではありません。体が本来持っている調整力を引き出すためのきっかけです。その力が働きやすい状態の人ほど、変化が早く感じられます。逆に言えば、時間がかかる人ほど、体は慎重に、自分を守りながら変わろうとしているとも言えます。
整体での変化の違いは、体の優劣ではありません。それぞれの体が、これまでどんな緊張の中で過ごしてきたかの違いなのです。
無意識の緊張に気づくことが回復の第一歩

緊張に気づくこと自体が変化の始まり
無意識の緊張は、なくそうと頑張るものではありません。まず大切なのは、「あ、今ここに力が入っているな」と気づくことです。それだけで、体は少しずつ反応を変え始めます。気づくことは、体にとって「見てもらえた」という安心につながります。
頑張りすぎていた体を否定しない
緊張している自分に気づくと、「力を抜かなきゃ」「こんな状態じゃだめだ」と思ってしまうことがあります。しかし、これまでの緊張は、あなたが生活するために体が選んできた方法です。否定する必要はありません。むしろ、「今まで守ってくれていたんだな」と理解することが大切です。
余計な力みは手放そうとしなくていい
力を抜こうとすると、逆に緊張が強くなることがあります。大切なのは、無理に手放そうとしないことです。体が安心すれば、緊張は自然にゆるんでいきます。操体法では、楽な感覚や心地よさを通して、その安心を体に伝えていきます。
日常の中でも楽に過ごせるようになる
無意識の緊張に気づけるようになると、日常生活でも変化が現れます。以前より疲れにくくなったり、力まずに動ける時間が増えたりします。症状だけに意識を向けるのではなく、体全体の感覚に目を向けることが、楽に過ごすための大きな助けになります。
回復は、特別なことをすることで起こるものではありません。体の状態に気づき、余計な力を使わない時間を増やしていくこと。その積み重ねが、慢性症状から抜け出す道をつくっていきます。
まとめ|慢性症状は体からのサインかもしれません

慢性症状が続くと、「どこが悪いのか」「何が足りないのか」と考えがちになります。しかし、症状そのものだけでなく、体がどんな状態で日々を過ごしているかに目を向けてみると、違った見え方が生まれます。
無意識の緊張は、体が自分を守るために身につけてきた反応です。決して間違いではありません。ただ、その状態が長く続くと、体は安心して回復することができなくなってしまいます。慢性症状は、体が「少し休ませてほしい」と伝えているサインとも言えます。
整体は、無理に体を変えるためのものではありません。体が本来持っている調整する力が働きやすい状態をつくるためのきっかけです。リラックスできる体験を重ねることで、体は「力を抜いても大丈夫だ」と学び、深いレベルの緊張が少しずつゆるんでいきます。
緊張がゆるむほど、体の働きは本来の状態に近づき、自己調整力が高まります。その結果として、症状が自然と軽くなったり、気にならなくなったりすることがあります。良くなろうと頑張る必要はありません。体に安心できる時間を増やしていくことが大切です。
もし今、慢性症状で悩んでいるなら、「治らない体」だと決めつける前に、体がどれだけ頑張ってきたかを思い出してみてください。体は今も、回復しようとしています。その力を引き出すことが、整体の役割です。

