朝になると「起きられない」「気持ちが悪い」「頭が痛い」と言って布団から出てこないお子さんに、戸惑いや不安を感じていませんか?
学校に行きたくないのか、怠けているのか、それとも本当に具合が悪いのか――。
親としてどう接してあげればよいのか分からず、悩んでいらっしゃる方も多いと思います。
こうした症状の背景には、起立性調節障害(OD)と呼ばれる自律神経の不調が隠れていることがあります。
思春期のお子さんに多く見られ、立ちくらみや頭痛、倦怠感、食欲不振、集中力の低下など、さまざまな不調が出るのが特徴です。
この不調は、病院で薬を処方されてもなかなか改善しないケースが多く、実は「栄養バランスの乱れ」や「体の歪み」など、身体の内側の状態が深く関わっていることも少なくありません。
当院では、そうした背景に着目し、やさしい整体施術と栄養療法を組み合わせたケアを行っています。
体を外側から整えるだけでなく、食事や栄養状態といった内側からのサポートを通じて、自律神経のバランスを整え、お子さん本来の元気を引き出すことを目指しています。
この記事では、整体と栄養療法がどのように起立性調節障害に役立つのかを、詳しくご紹介していきます。
お子さんの不調にお悩みの方が、少しでも安心できるヒントになれば幸いです。
起立性調節障害とは?
思春期に多く見られる、自律神経の不調
起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation/略してOD)は、自律神経の働きに乱れが生じ、血圧や心拍数などの調整がうまくいかなくなることで、体にさまざまな不調が現れる状態をいいます。
特に、朝起きるのがつらい、立ちくらみや頭痛がする、気分が悪くなるといった症状が特徴的で、子どもや思春期の時期に多く見られるのが特徴です。
この障害は、睡眠不足やストレスといった一時的な原因だけでなく、体の内側で起きている慢性的なバランスの乱れから発症することが多く、一度発症すると数ヶ月から数年にわたって不調が続くこともあります。
薬だけでは改善しないケースも
病院では、起立性調節障害の診断がつくと、昇圧剤や漢方薬、睡眠導入剤などが処方されることがあります。
しかし、薬によって一時的に症状が和らいだとしても、「朝になるとまた同じ不調が起こる」「薬が手放せない」という状態が続くことも多く見られます。
なぜなら、自律神経の乱れは生活習慣、栄養状態、運動不足、姿勢の歪み、心理的ストレスなど、さまざまな要因が絡み合って起きているため、根本的な原因にアプローチしない限り、本質的な回復にはつながりにくいからです。
体の内側と外側、両面から整えることが大切
当院では、起立性調節障害に対して、体の外側からアプローチする整体と、内側から整える栄養療法の両方を組み合わせたケアを行っています。
骨格や筋肉のバランスを整えることで自律神経の働きをサポートし、同時に、食事や栄養状態を見直すことで、体の中のエネルギー代謝や神経の安定を助けていきます。
起立性調節障害は、見えにくいけれど確かに存在する体のサインです。
お子さんのつらさに寄り添いながら、薬だけに頼らず、じっくりと体を整えていくことが回復への第一歩となります。
栄養の乱れが起立性調節障害に与える影響
「バランスの良い食事」だけでは栄養が足りないことも
多くのご家庭では、「栄養には気をつけています」「好き嫌いはあるけど、できるだけバランス良く食べさせています」といった声をよくお聞きします。もちろん、それはとても大切なことです。
しかし、起立性調節障害のお子さんには、一般的な「バランスの良い食事」だけでは補いきれない、深い栄養の偏りや不足が隠れていることがあります。
特に、自律神経の働きやエネルギー代謝に関わる栄養素が不足すると、朝起きるための「スイッチ」が入らず、日中の活力が出ない状態になりやすいのです。
どんな栄養素が不足しやすいのか?
起立性調節障害の回復をサポートするうえで、特に意識したい栄養素がいくつかあります。以下に代表的なものを挙げてみましょう。
・たんぱく質
成長期に必要不可欠な栄養素であり、ホルモンや神経伝達物質の材料でもあります。肉や魚、卵、大豆製品などから摂れますが、朝食がパンやおにぎりだけ、という場合は慢性的に不足しやすくなります。
・鉄分
鉄は酸素を運ぶ役割を担い、脳や神経の働きにも深く関わります。特に女子は思春期に入ると鉄不足になりやすく、頭痛や立ちくらみ、集中力の低下などを引き起こす要因になります。
・ビタミンB群・マグネシウム
これらはエネルギーを効率よく作るために必要な栄養素です。不足すると疲れやすくなったり、神経の働きが不安定になりやすく、起立性調節障害の症状を助長してしまうこともあります。
朝ごはんの質が、午前中の調子を左右する
「朝ごはんは食べています」というご家庭でも、実はその中身が重要です。
例えば、菓子パンや甘いシリアル、ジュースだけの朝食は、血糖値の急上昇と急降下を招き、余計に体調が不安定になってしまうことがあります。
起立性調節障害のお子さんには、たんぱく質をしっかり含んだ朝食(例:卵や納豆、味噌汁など)を摂ることが、自律神経を安定させるうえでとても大切です。エネルギー源となる糖質も必要ですが、質の良い糖(例えば玄米や根菜類)を選ぶと、体への負担が少なくなります。
栄養状態のチェックは、心と体の声を聴くこと
栄養の偏りや不足は、血液検査では「正常値」とされていても、実際には足りていないことがあります。たとえば、「かくれ貧血」や「低たんぱく」などは、通常の健康診断では見落とされがちです。
当院では、丁寧なカウンセリングや栄養アドバイスを通じて、今のお子さんの体が何を必要としているのか、心身の声に耳を傾けながらサポートしています。
「しっかり食べているはずなのに元気が出ない」
「気分の浮き沈みが激しく、朝になると調子が悪い」
そんなサインは、体の内側からの“SOS”かもしれません。
起立性調節障害の栄養療法での改善アプローチ
栄養の「質」を見直す
栄養療法と聞くと、「サプリメントをたくさん飲むのでは?」「特別な食事が必要なのでは?」と不安に思われる方もいらっしゃいますが、実際にはもっとシンプルで、日常の食事の中で無理なく取り入れられることからスタートできます。
まず大切なのは、「何を、どのように、いつ食べるか」という基本的な食生活の見直しです。
起立性調節障害を抱えるお子さんの多くは、朝に食欲がなかったり、エネルギー不足を感じていたりします。こうした状態では、必要な栄養素が十分に吸収されず、自律神経のバランスも崩れやすくなってしまいます。
そこで私たちは、「食べる内容」だけでなく、「食べるタイミング」や「体に合った量」にも注目し、少しずつ体が元気を取り戻せるように寄り添いながらアドバイスを行っています。
お子様の状態に合わせた栄養補助
食事だけではどうしても補いきれない栄養素については、必要に応じて栄養補助(サプリメント)のご提案をすることもあります。ただし、これは一律ではなく、お子さんの体質や現在の状態に合わせて丁寧に選びます。
たとえば、血液中の鉄の数値が正常でも、「貯蔵鉄(フェリチン)」が低いお子さんは、倦怠感や立ちくらみ、集中力の低下などを感じやすくなります。そういった場合には、体に負担の少ない形の鉄分補給を、必要な期間だけ取り入れることがあります。
また、エネルギー代謝を高めるビタミンB群や、神経の興奮を落ち着けるマグネシウムなども、症状に応じて補助することで、徐々に日常生活のリズムが整ってくるケースが多くあります。
整体と栄養療法との相乗効果
自律神経は「体から」整えることもできる
起立性調節障害では、「朝起きられない」「立ち上がると気分が悪くなる」「頭がボーっとする」などの症状が見られますが、これらはすべて自律神経のバランスが乱れているサインでもあります。
自律神経とは、呼吸、血流、体温調整、内臓の働きなどを自動でコントロールしてくれている神経で、ストレスや栄養不足、睡眠の質の低下など、さまざまな要因で乱れてしまいます。
整体では、この自律神経の働きがスムーズに戻っていくよう、筋肉や関節、骨格のバランスを整えると同時に、呼吸の深さや内臓のリズムを自然に整えていくアプローチを行います。
とくに当院では、力を加えるだけの施術ではなく、やさしい刺激で全身の緊張を緩め、神経の流れが回復するよう導いていきます。その結果、脳と体がリラックスし、交感神経と副交感神経の切り替えがしやすくなってくるのです。
栄養と整体を併用するからこそ「根本から変わる」
起立性調節障害の回復には、単に症状を抑えるだけでなく、「体質の土台から立て直す」ことが求められます。そのためには、栄養だけ、整体だけ、という一方向のケアでは限界があります。
たとえば、栄養を入れても消化吸収できなければ意味がありませんし、自律神経が整っても、必要な栄養が不足していれば回復力は発揮されません。
整体で体の流れを整え、栄養で細胞の働きをサポートする。この2つを掛け合わせることで、お子さんの体は少しずつ、本来持っている回復力を取り戻していきます。
「最近、笑顔が増えてきた」
「朝が少し楽になったみたい」
そんな日常の小さな変化が、私たちにとって一番うれしい報告です。