お子さんが朝なかなか起きられず、学校に行けない日が続くと、ご家族としてはとても心配になりますよね。

「夜更かしのせいでは?」「やる気の問題?」「怠けているだけなのでは?」と、思わず声をかけたくなってしまうかもしれません。

でも、実際には本人も「行かなきゃ」「起きなきゃ」と思っていることが多く、心も体も動かせない状態に戸惑い、苦しんでいるのです。

このような症状は、起立性調節障害(OD)と呼ばれ、特に思春期の子どもに多く見られる自律神経の乱れが関係しています。外見からはわかりにくいため、誤解やすれ違いが生まれやすいのが特徴です。

親御さんとしては「しっかりしてほしい」「ちゃんとしてほしい」という気持ちと、「何とかしてあげたい」という思いの間で揺れてしまうこともあるでしょう。でもまず大切なのは、これは怠けではなく、体からのSOSなのだと理解することです。

この記事では、起立性調節障害と自律神経の関係をわかりやすく解説しながら、整体的な視点でどのようにサポートできるのかをご紹介します。

お子さんのつらさに寄り添い、親御さんが安心して見守れるようなヒントになれば幸いです。

起立性調節障害とは?

■ 思春期に多い「見えない不調」

起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation:OD)は、主に小学校高学年から高校生くらいの子どもに多く見られる、自律神経の乱れによる体調不良の一種です。

特に朝、体がだるくて起き上がれなかったり、立ち上がるとふらついたりするのが特徴で、「学校に行きたくても行けない」という状態が続くことがあります。

これは体の成長とともに、自律神経のバランスが崩れやすくなる思春期特有の現象ともいわれています。しかし、そのつらさは見た目ではわからず、まわりの理解を得にくいのが現実です。

■ 主な症状と特徴

起立性調節障害には、以下のような症状がみられます:

  • 朝なかなか起きられない(特に午前中の体調不良)

  • 立ち上がるとめまいや立ちくらみがする

  • 動悸や息苦しさを感じる

  • 頭痛、吐き気、全身のだるさ

  • 食欲不振や夜眠れないなどの睡眠の乱れ

  • 午後から少しずつ元気になってくる

こうした症状があるにもかかわらず、検査では「異常なし」と言われることが多く、ますます「気のせい」「怠けているだけ」と誤解されてしまうのです。

■ 本人も苦しんでいる

起立性調節障害のつらさは、単に「体がだるい」というだけではありません。

「どうして自分は普通にできないのだろう」「周りに迷惑をかけている」という思いから、自己否定や孤立感、うつ状態に陥ってしまうことも少なくありません。

実際、当院にご相談に来られるご家庭の中には、「最初はただの反抗期かと思っていた」「怠けているのかと思って叱ってしまった」という声もあります。でも、そうしたご家族の多くが、症状の本質を知ることで、ようやく「これは病気なんだ」「本人もつらかったんだ」と気づかれます。

■ 怠けではなく、体のSOS

起立性調節障害は、自律神経の不調によって体がうまく機能していない状態です。これは「根性」や「気合」で乗り越えられるものではありません。

子どもたちは、自分の体の変化にとまどいながらも、毎日なんとか頑張ろうとしています。まずはこの状態が“怠け”ではなく、体からのサインであることを理解することが何よりも大切です

次の章では、この起立性調節障害と深く関わる「自律神経」の働きについて、もう少し詳しくご紹介していきます。

起立性調節障害と自律神経との深い関係

■ 自律神経とは何か?

自律神経とは、私たちの体の中で呼吸・心拍・体温・血圧・消化など、意識しなくても動いている働きを調整する神経です。大きく分けて「交感神経」と「副交感神経」の2つがあり、それぞれがバランスよく働くことで、心身の状態を一定に保っています。

  • 交感神経:日中の活動時に働き、心身を「緊張モード」にする

  • 副交感神経:休息や睡眠時に働き、体を「リラックスモード」に導く

この2つがまるでシーソーのようにバランスを取り合いながら、体調や気分を整えてくれているのです。

■ 思春期に乱れやすくなる理由

起立性調節障害が思春期の子どもに多いのは、ちょうどこの時期にホルモンバランスが大きく変わり、自律神経の働きが不安定になりやすいためです。

さらに、現代の子どもたちは生活環境の影響を受けやすく、

  • 夜更かしやスマホの長時間使用

  • 運動不足

  • 学校や友人関係のストレス

  • 成績へのプレッシャー

といった心身のストレスが自律神経の乱れに拍車をかけることも多いのです。

■ 起立性調節障害は「循環の問題」

起立性調節障害では、朝起きたときに血圧がうまく上がらず、脳に十分な血液が届かないことが原因で、めまいやだるさ、頭痛などが起こるとされています。これは、まさに自律神経の調整機能がうまく働かないことで起きる「循環の問題」なのです。

また、交感神経のスイッチが入らず、午前中にエンジンがかからないような状態になってしまうこともあります。これは本人の努力不足ではなく、「体がうまく切り替えられない」状態です。

■ 心と体、両方に影響が出る

自律神経が乱れると、身体的な不調だけでなく、イライラ・不安感・やる気が出ないなどの精神的な影響も出てきます。思春期の繊細な時期には、これらの心の不調が「怠け」「反抗」と受け取られやすく、親子間のすれ違いにつながることもあります。

しかし、心と体は切り離せるものではありません。自律神経の不調は、まさに心身一体のバランスの崩れとして表れるのです。

■ 整体から見た自律神経と体のつながり

整体の視点から見ると、自律神経は背骨や骨盤、頭蓋骨などの歪みとも深い関係があります。姿勢の崩れや筋肉の緊張が、自律神経の働きをさらに妨げてしまうこともあります。

当院では、こうした体の構造面からアプローチすることで、自律神経の働きを整え、回復を促すお手伝いをしています。心と体の両方をやさしくケアすることが、改善への第一歩になるのです。

起立性調節障害への整体でできるサポート

■ 自律神経を整える“やさしい施術”

起立性調節障害は、自律神経の乱れが深く関係しているため、整体ではまず緊張した神経系をやさしくゆるめることを大切にしています。

当院では、力を入れたり無理に体を動かしたりすることはせず、呼吸や体の感覚を丁寧に感じながら、自然な動きを引き出していく施術を行います。これにより、交感神経と副交感神経のバランスが少しずつ整い、心も体もリラックスした状態に近づいていきます。

施術中に眠ってしまうお子さんも多く、「施術後は久しぶりにぐっすり眠れた」とご感想をいただくこともあります。

■ 姿勢と体の歪みを整えることが自律神経を助ける

自律神経は背骨や骨盤周りに深く関係しているため、体のゆがみや姿勢の乱れを整えることで、神経の働きもスムーズになっていきます

たとえば、背中が丸くなって呼吸が浅くなっていると、副交感神経の働きが低下し、体が常に緊張モードになってしまいます。整体では、骨格や筋肉のバランスを整えると同時に、深い呼吸ができる姿勢を作っていくことで、自律神経の回復をサポートします。

無理に正そうとするのではなく、本人の感覚を尊重しながら、自然と心地よい姿勢へ導くことが大切です。

■ “安心”が子どもの回復力を引き出す

起立性調節障害で悩んでいるお子さんは、心の中で「どうして自分は普通にできないんだろう」「こんな自分じゃダメだ」と、自分を責めていることがあります。

整体の時間は、ありのままの状態で過ごせる安心の場であることがとても大切です。

私たちは、「今の状態でも大丈夫だよ」「ちゃんと体は回復に向かっているよ」というメッセージを、施術を通してやさしく伝えていきます。そうすることで、子ども自身が持っている自然治癒力が、少しずつ目を覚ましていくのです。

■ 家庭でできるケアもお伝えします

整体の効果を持続させるためには、ご家庭での過ごし方やセルフケアも大切です。

当院では、お子さん一人ひとりの状態に合わせて、

  • 起きる時間と寝る時間の調整法

  • 分子栄養学に基づく食事指導

  • 操体法のセルフケア

なども丁寧にアドバイスさせていただいています。

整体は、「一緒に歩むための伴走者」のような存在。ご家庭と連携しながら、無理のないペースでお子さんの回復をサポートしていきます。

>>起立性調節障害の整体