執筆者:院長 上川名 修

院長近影

パニック障害はメンタル的な疾患というイメージがあります。
通常は心療内科や精神科に通いながら薬を飲むしか治す方法はないと考えられています。

しかし、長年精神薬を飲み続けても改善しない人もいます。

実は院長の私自身も長くパニック障害を患った経験があります。

そして様々な治療法やセルフケアなどを実践してきた結果、薬を飲まずに自力で克服し現在では日常生活では不自由なく生活できるようになりました。

このページでは私が克服してきた体験を紹介するとともに、改善する理由について詳しく解説しています。
現在お悩みの方に役に立つ情報がありますのでぜひゆっくりと読んでみて下さい。

パニック障害克服体験談

パニック障害克服体験談

院長の私もかなり長期間に渡って苦しみましたので、あなたのつらさがよく分かります。
まずは私の経験についてまとめてみました。

バイク運転中の発作

最初の発作が起きたのは大学1年生の19歳の時です。
遠方の友人の家に泊まりに行き、寝不足の状態で帰りの高速道路を走っていると急に意識が遠のくような感じがして、慌てて路肩にバイクを停めました。

それからすぐにパーキングに寄り休憩をするうちに落ち着きました。
この時は寝不足で疲れがたまっていたので一時的に貧血の様な感じになったのだと思います。

当時は、びっくりしたのですがその時だけだったのでそれほど気に留めることも思い悩むこともありませんでした。

テスト中の発作

その後は特に発作が起こることもなく過ごしていたのですが、次に発作が起きたのが大学三年生のテストの時でした。
20歳か21歳の頃です。

19歳の時にバイクに乗っていた時と同じようなめまいとふらつきを感じ、手が震え座っているのもつらくなりました。

この時も前日はほぼ徹夜でテスト勉強をしてかなり寝不足の状態でした。
しかも当時は喫煙もしていたので、煙草をたくさん吸いながらの徹夜に近い状態でした。
その状態でテストの緊張も加わり貧血になったのでした。

ただ、普通の貧血と違ったのが大きな不安感も同時にやってきたことでした。その場にいるのが怖い、このまま死ぬんじゃないかという恐怖も同時に感じたのでした。

テスト中でしたが先生に言って支えられながら保健室に行きました。
テスト中にみんなの前で倒れかけて運ばれたことも恥ずかしくてショックな出来事となりました。

この時以来、頻繁に同様のパニック発作が起こるようになりました。
バイクに乗っている最中、大学の授業の最中、街中を歩いている最中、外で食事をしている最中など。急に息が苦しくなり動悸がして不安感に襲われるのです。

その場にいるのが辛くてたまらなくなり逃げ出したくなる恐怖で一杯になります。

まさに頭も身体もパニックになるのです。
何も危険がないのは頭ではわかっているのに、急に落ち着きを失い、焦って息が出来なくて手が震えてきます。
その後一人になって安全な場所(誰もいない場所)などに行くと落ち着くのです。

当時はパニック障害という病気も知られていなくて、自分がおかしくなってしまったと思ったものでした。
単に身体に症状が出るだけでなく、不安や緊張を感じたときに、「ああ、来るぞ来るぞ…」という感じになってパニックの発作が始まるのです。

でもその後安心して落ち着けるところに避難すると治るのです。
そんな繰り返しをしていましたので、何か重大な精神的な病気になってしまったのかと思いました。

予期不安

後にパニック障害には「パニック発作」「予期不安」というものがあることを知りました。
動悸や息苦しい感じや冷や汗や手の震えや気が遠くなる感じがパニック発作とすると、またそれが起こるのではないかという不安が予期不安です。

そしてこの予期不安が生活の中のあらゆる場面で出てくるので、私の学生時代は相当の場面で行動が制限されることになりました。

バイクの運転も出来なくなりましたし、大勢人が集まる場所、駅のホーム、スーパーやコンビニのレジ、行列、映画館、散髪、高速道路、トンネル、電車、会議、車の運転、立ち話、などなど。

それまでは何でもなかったようなところで身体と心が勝手に硬直して緊張して発作が起こったり、起こりそうになる不安と闘う日々が始まったのでした。

大学生活の後半はそんな状態で、授業やテストを乗り切り、就職活動をして、何とか社会人になることが出来ましたが、治ったわけでもなく常に不安感は隣り合わせにありました。

社会人になってからはさらに大変な思いをすることになったのです。

パニック障害を知る

社会人になって一年目は初めてのことばかりで、緊張もしっぱなしだったので、パニックの症状も酷く出ていました。
でも、自分がそのような病気であることもわからなくてこれは半分気のせいだから出来るだけ気にしない様にしようと、気合いと強気でしのいでいました。

当時は名古屋の会社に入りサラリーマン生活をしていました。
知らない土地で仲の良い友人もいなくて体調も悪くて、このままでは将来どうなるのかという不安で一杯でした。

そんな時に当時発売されたパソコンを購入しインターネットを始めてみました。
まだその頃はインターネットは一般に普及し始めた頃でとても新鮮でした。
当時はyahoo!もディレクトリ型の検索エンジンでカテゴリごとに集められたサイトをいろいろ見ては回っていました。

そうするうちにある病院のサイトで「パニック障害」という言葉を目にして、それが数年間悩んでいた自分の症状にぴったりと当てはまっていたのです!!

「ああ、今までの症状は気のせいではなくてそのような病気があったのか!」
となぜか安心したことを覚えています。

休職

そうこうするうちに毎日会社に行くのがどんどん辛くなっていきました。
仕事や会社の人が嫌とかはなかったのですが、家から出るのが怖いのです。
地下鉄に乗っていてもめまいとふらつきで立っているのも辛い。

会社に出勤していても常にフラフラクラクラめまいがします。
そして結局、会社に行けなくなって長期間休むことになりました。

一応近所の病院に行って症状を伝えても、パニック障害という病気が知られていなかったので「疲れがたまっているんでしょう」「ちょっと風邪気味なのかな」などと言われるばかりで、もらった薬を気休めに飲んでも何も変わらず、この先の人生をどうやって生きて行けばいいのかと思い悩みました。

大病院を紹介され細かい検査を受けても、何も異常は見つかりませんでした。
その後何とか復職するものの、体調は優れなかったので名古屋の本社から、近隣の市の事業所に異動させられることになりました。

本社よりゆっくり仕事が出来るだろうという会社側の配慮でした。
本社のオフィス街への地下鉄通勤から田園風景の事業所での自転車通勤になり、アットホームな職場の雰囲気もあり周りの人達も気を遣ってくれて、何とか仕事も出来るようになりました。

本社にいた時よりも活き活きと働いていたようです。
パニック発作を起こしたり、起きそうになる場面は減りましたけど、やはり常に不安感やめまい感はありました。

心療内科への通院

ようやくその頃に心療内科の門を叩いてみました。
当時は精神科や心療内科に行くということは非常に抵抗がありました。

私はただでさえ病院に行くのが大嫌いでしたし、ましてや精神的な症状で病院に行くのは自分がまるで頭がおかしくなったことを認めるようで抵抗があったのです。

でも実際に行ってみると何てことはなくドクターも優しくて安心しました。
名古屋の方と、仙台に来てからと数軒の病院に通いましたがそれぞれ優しくて安心できる雰囲気でした。

しかし、インターネットでパニック障害という病気を知り、自分がそれに当てはまっていることを伝えたのですが、ドクターの先生方がまだ良く知らない様子でした。
「ああ、何かそういうの最近聞いたことあるね」といった雰囲気でした。

とりあえず睡眠導入剤や精神安定剤などを処方されたので飲み始めました。
すると、不思議なくらいに気分が楽になったのです。薬が効いている間は何となく緊張が緩んでリラックスできる感じがしました。

でも新たに二つの不安が湧いてきました。

一つ目は薬がないとダメな自分。薬に頼らないと安心して生きていけない自分になってしまうことへの不安。
もう一つは薬が効かなくなって強い薬が増えていくことへの不安。

実際にしばらく飲んでいると効果を感じにくくなっていきました。
薬を飲んだ期間は数か月でしたが、ドクターは特に何かをアドバイスしてくれるわけでもなく、単に症状を抑える薬を出し続けるだけです。

薬を飲み続けることは根本解決にならないどころかかえって問題をこじらせるのではないかと思うようになっていきました。

精神安定剤からの決別

精神薬を飲み始めた頃は効いた感じがしたのですが、飲み続けるにつれて効果も感じにくくなっていきました。
でも効果の高い薬に変えてもらうのも嫌だったのでこの機会に薬を飲むのを辞めることにしました。

急に完全に止めるのは怖い気持ちもあったので、調子が悪くて我慢できない時だけ飲むことにしました。
それまで三年以上辛い状態で生活していたので慣れっこです(笑)

たまに何か心配事あるような時に飲むだけで普段は飲まないで過ごしているうちに薬を飲まなくても大丈夫になってきました。
一応念のため、バッグの中に一錠忍ばせておいていざと言う時は飲むことにしようとしていましたが、そのうちその存在も忘れるようになりました。

※私は自分の責任で断薬しましたが、長年精神薬を飲んでいる方は急にやめると離脱症状が強く出る場合もあるのでお医者さんに相談しながらにしてくださいね。

それに、私は単に薬を辞めただけでなく、体調を改善するために生活改善にも同時に取組んでいました。
次に私が取り組んできたことを紹介します。

克服の為の取り組み

何が効果的かわからないままに、自力で克服するために手当たり次第に良さそうなものは試してみました。

仙台に戻ってきてから自然食品や健康食品を扱う会社に転職したので、身体に良さそうなサプリメントや健康食品を試しながら、身体や心を整えるための習い事やセミナーやワークショップなどにも参加しました。

また自分で独学でもやれることはやってみました。
自己啓発の書籍も相当読みました。

潜在意識、成功法則、自己実現関連本もかなり読んでいました。
すでに発症から5年ほど経っていました。

当時から色々取り組んできたことを思いつくままに書き出してみます。
(治療やセッションを受けたもの、機材や食品を購入したもの、習ったもの等など)

息(呼吸や気のアプローチ)

氣の呼吸法、呼吸の観察、氣圧療法、真気光等など。

食(飲食物へのアプローチ)

波動水、アロエベラ、ローヤルゼリー、プロポリス、玄米、発芽玄米、マクロビオティック、ナチュラルパレオ、糖質制限食等など。

動(主に身体へのアプローチ)

カイロプラクティック、整体、ローリング療法、整骨院、鍼灸、心身統一合氣道、真向法、ヨガ、ストレッチ、操体法、アレクサンダーテクニーク、フェルデンクライスメソッド、ロルフィング、筋トレ、ウォーキング、水泳、ジム通い、大東流合気柔術等など。

想(精神やエネルギーへのアプローチ)

自律訓練法、TM瞑想、波動転写機、EFT(感情解放テクニック)、脳幹活性化ペンダント、アルファシータ(脳波を安定させる装置)等など。

と言う感じでじっくりやったものもあれば、ちょこっとかじったものもあるし、これ以外にも独学でも良さそうなものはあれこれ試してみました。

自力で克服するために役に立ったこと

パニック障害の克服に役立ったこと

いろいろ取り組んできた中で自分としてパニック障害の克服に特に役に立ったと思われる方法を紹介します。

呼吸の観察

自律神経に間接的にアプローチする方法として呼吸が効果的です。
しかし、「呼吸法」というものは呼吸をコントロールしますから非常に疲れるんです。
私自身の問題かもしれませんが、呼吸法が長く続いたことがないのです。

しかし、呼吸の観察ならどこでも出来ます。
ゆったりと落ち着いて呼吸をただ観察します。

呼吸の観察を続けると心がだんだん静まっていきます。
パニックが起きそうな場面でもこの呼吸の観察を続けることで乗り切れたことも数多いです。

マインドフルネス瞑想、ヴィパッサナー瞑想なども呼吸の観察を取り入れています。

糖質制限食

自律神経失調症やパニック障害と、栄養は実は非常に深く関係しています。
ビタミンやミネラルの不足や血糖値の変動を激しく引き起こすような食生活がホルモンバランスを乱し、パニック発作の症状を引き起こしたりします。

私は現在、厳格ではありませんが糖質を制限し、たんぱく質をしっかり摂るような食事をしています。
やはり食のバランスが乱れると体調も乱れ勝ちになります。

栄養バランスの乱れから引き起こされる機能性低血糖症の症状と、パニック障害や自律神経失調症の症状が非常に似ています。

この関係がわかって食事を変えてから私のパニック症状もだいぶ落ち着きました。

瞑想法

瞑想の実践も私にとって非常に役に立っています。
瞑想法との出会いは20代後半にTM瞑想の教師からマントラを授けられ、マントラを心の中で唱える瞑想をやっていました。

TM瞑想はビートルズも実践していた世界的に有名な瞑想法です。

TM瞑想を習って数年は教わった通りに実践していましたが、ある時マントラを唱えずとも何かの対象に意識を集中することで同様の効果が得られることを実感したので、その後はTM瞑想ではなく独学の瞑想を実践しています。

主に呼吸を観察して行うことが多いですが、身体の内側の感覚(インナーボディ)や聴覚に意識を合わせて行うこともあります。

それらの対象に意識を合わせて、雑念が湧いてきたことに気づいたらまた対象に意識を戻すという方法を行っています。

15~20分程度行うことが多いですが、非常に心が穏やかに静まります。呼吸も穏やかに深くなります。
心身のリラックスの為に行っているのと、今この瞬間にありのままに気づくために行っています。

引き寄せの法則の実践

ジェリー・ヒックスとエスター・ヒックスの夫妻によって書かれたエイブラハムの引き寄せの法則に関連する書籍やDVDの大半を購入しました。
そこには操体法の真髄にも通じる宇宙の法則がわかりやすく書かれていました。

現実創造が創造される仕組みやその仕組みをどう人生に活用していくか。
引き寄せの法則への理解を深め、忠実に自分の生活の中で実践していくほどに、自分の人生もどんどん変化していきました。

パニック障害に苦しみ、外出したり人と会うことも困難を感じていた自分ですが、人並みに生活できるようになったばかりか、自分が本当にやりたい仕事をしながら体調不良に悩む方のお手伝いをさせて頂くようにまでなったのです。

以前の自分から考えると奇跡の様な出来事でありますが、このような体験をするためにはパニック障害を発症したことは決して無駄ではなかったと思っています。

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