執筆者:院長 上川名 修
操体法における原始感覚とは
健康のよしあしを何によって判断するのかといえば、人間がもって生まれた感覚が第一です。この感覚があるからこそ、自分のからだの調子がわるいということがわかるのです。だから、それを尊重してからだの健康を判断しなさいというわけです。私はこれを原始感覚とも呼んでいます。
出典:万病を治す妙療法 橋本敬三著
人間には誰もが備わっているものです。
動物が持っている本能も同じです。
赤ちゃんのころは不快な感じがすれば泣き、快適な感じがすればニコニコご機嫌になるか眠ります。
だんだん大人になると知恵や知識が増える分、感覚がわからなくなってしまうことがあります。
現代社会はそのような人が増えている感じがします。
健康を判断する
健康かどうかというのはある程度自分でわかります。
健康であれば体は軽く、心も晴れやかです。
朝の目覚めもよく、夜もぐっすり眠れます。
痛いところやコリやハリも少ないでしょう。
調子が悪くなればあちこちが痛くなったり重だるく感じたりします。
だから常に自分の感覚に意識を向けていれば自分の健康状態もわかるものなのです。
外側の情報や知識に頼りすぎる
現代社会では情報がたくさんあります。
健康についても様々な理論があります。
また時代と共に医学の情報も変わったりします。
一般的には健康診断で数値をはかり健康かどうかを判断します。
健康か病気かの境界線の数値も時代と共にコロコロ変わったりします。
健康なのに病気とされたり、体調が悪いのに健康と判断されることもあります。
現代社会ではそのように健康かどうかを判断しますので、本人の感覚はあまり重要視されない傾向があります。
直観を磨く
人間には直観というものが備わっています。
何となく感じるものであるけれど、直観が冴えていると大切な判断を間違うことがありません。
この直観こそ原始感覚とも言えるのではないでしょうか。
情報社会の中でも人間という生物として直観を磨いておくことは、生きる上で大切なことであると考えています。
自分の感覚を無視して外側の情報だけを頼りに生きていると、人生も行き詰まりやすいような気がするのです。
直観は直に観ると書きます。
あれこれ頭で考えずにダイレクトにひらめくことです。
原始感覚も同じ事で思考を介さないダイレクトに情報を受け取ることを言います。
日々の生活の中で自分の内側に意識を向けていくことにより直観が磨かれていくように思います。
原始感覚で体の歪みを直す
一般的な整体法では、筋肉や関節の異常を検査して先生が一方的に施術を行います。
操体法の場合は受け手本人が異常を判断し、正常化するのも自分で動いて行ないます。
だから完全に1人でも完結します。
2人で行なうときは施術者側は受け手本人の補助やサポートをすることになります。
本人が歪みを直すのを一緒にお手伝いをするのです。
わかりにくいときの対策
操体法では動きのチェックとして動診ということを行ないます。
動作をしたときの左右や前後の差をチェックするのです。
ところがこの時に感覚がよくわからないという人がいます。
そんなときに下に挙げるコツを意識するとわかりやすくなります。
【動診のコツ】
- ゆっくり動く
- 出来るだけ脱力して動く
- 体にしっかり意識を向ける
ゆっくり動く
ゆっくり動くという表現もそのときによってゆっくりのスピードも変わります。
1秒間に10㎝くらいのスピードでよくわからない時は、1秒間に2~3㎝動かすくらいにゆっくり動いてみます。
当院ではよく「1秒間に1㎜のスピードで動いてみて下さい。」と言うことがあります。
それくらいゆっくり動いてみると早く動いていたときにはわからなかった感覚に気づけるようになります。
ゆっくり動けば動くほどにわかりやすいです。
出来るだけ脱力して動く
ゆっくり動いても体に余計な力が入っていると感覚がわかりにくくなります。
動くと言うことは筋力を使いますが、その動作に必要最小限な力だけを使います。
それ以外は出来るだけ脱力します。
体にしっかり意識を向ける
よくわからないという人に多いのが頭で考えすぎてしまうことです。
頭は使わなくて良いのです。
なるべくぼーっとして何も考えない方がわかります。
「Don’t think! feel!!(考えるな!感じろ!)」というブルース・リーの映画の有名な台詞がありますが、まさにその通りなのです。
まとめ
- 原始感覚とはもって生まれたものである。
- 本来は健康は自分で判断できるのだが現代社会では外側の情報に頼りすぎている
- 感覚を磨くことで自分で健康を維持することができるようになる
- 操体法では感覚を頼りに自分の体の歪みを直す
- わかりにくい人はコツを意識すると大丈夫
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