執筆者:院長 上川名 修

操体法は自分の感覚で体が気持ちが良いように動かすことで歪みを直す自然療法です。
安全で誰にでも出来る方法ですがやる人によって効果にばらつきがあります。

私は操体法の効果を高めるために大切なことは「じっくりと丁寧に味わうこと」だと考えています。
そのことについて解説してみます。

(上の写真は操体合宿セミナーで各自がじっくり味わっている様子です)

味わうことの大切さ

味わうというと通常は味覚に関する言葉です。
例えば食事を急いでただ腹の中に流し込むのと、ゆっくりと味わうのでは違いますよね。
食物を体の中に取り入れたという点では同じですが消化・吸収のプロセスも精神的な満足度も変わってくると思います。

時間に追われて急いで流し込んだ食事は消化も良くないでしょう。
テレビに夢中になって食事をすると何を食べたかすらあまり覚えていなかったりします。

一方夜景の綺麗なレストランで一皿ごとに料理が運ばれてくるようなときは、一品ずつ目で見て香りを嗅いで食べて味わい、という感じで味覚以外も料理に集中します。

そして口に入れてからも一口ごとに食感や舌触りやのどごしなどたくさんのことに気づき続けます。
このようにして頂いた食事は精神的にも満足して豊かな気持ちになれますし、喜びも大きいことでしょう。

味わうと操体法の効果が高まる理由

操体法の場合には、体の感覚で操法の動作や刺激を丁寧に味わいます。
そうすると他のことを考えながら単に操法をやった場合と比べて、格段に体の変化や精神的な満足度が違います。
味わい上手になるほどに操法の効果が高まると言えるのではないでしょうか?

ではなぜ味わうと効果が高まるかという理由について考えてみます。
主に三つの理由があると思います。

  • 今この瞬間のエネルギーと繋がる
  • 変性意識に入る
  • 気持ちよさに包まれる

今この瞬間のエネルギーと繋がる

味わうということは、今この瞬間の体の感覚に気づいている必要があります。
体の感覚に丁寧に意識を向けることは瞑想やヒーリングの分野でも重要視されています。
そうすることで今この瞬間と繋がりエネルギーが流れやすくなるのです。

この場合のエネルギーとは気や私たちを活かしている生命エネルギーみたいなものです。
深くリラックスしたり癒されたりといった効果も期待できます。

変性意識に入る

体の内側に意識を向け続けていると普段とは少し違う意識状態(変性意識)に入りやすくなります。
普段は意識は外側に向かっていますが、内側に意識を向けることで思考が鎮まってきます。
そして少しほわ~っとした感じで気持ちよくなります。

催眠術をかける人が被験者をまず変性意識状態に誘導してそれから催眠をかけると言われています。
潜在意識の扉が開いた状態とも言えるでしょう。

気持ちよさに包まれる

気持ちよさを味わうのが操体法のポイントですが、丁寧に味わうほどに気持ちよさも深まるのです。
単に体の気持ちよさから精神的な満足や深いリラックス、癒しが得られます。
味わい上手になればなるほどに操法における充足度、満足度が高まるのです。

受け手の人が味わい上手だと操法の補助をする施術者も一緒に気持ちよくなってきます。
同調、共鳴が起こるのでその場自体が癒しの場となり気持ちよくなるのです。

何を味わうのか?

気持ちよさを味わうのはもちろんですが、操法を行なう前から身体の感覚にしっかり気づいて味わいます。
食事で言えば食べ物を口に入れている間だけでなく、お店の内装や音楽や店員さんの気配りや食器や盛り付けの美しさとかも味わうことで総合的な満足度が上がるでしょう。

操体法においても以下のような感覚にも気づいてしっかり味わうとより効果的です。

  • 操法を始める前の体の感覚
  • 動診のときの感覚
  • たわめのときの気持ちよさ
  • 脱力した後の余韻の気持ちよさ

※操法とは操体法における手技のことです。

操法を始める前の体の感覚

操法をやる前の体の状態がどんな感じなのか?
痛いところやこっているところだけでなく、身体全体に意識を向けてみます。
そうすることで気づけていなかった違和感に気づけることがあります。

どんな姿勢が楽なのか?うつ伏せ?仰向け?座位がよいのか?
体に問いかけます。
ベッドに横になった場合に接地している部位の左右差や違和感など。
丁寧に体に意識を向けると新たな発見があります。

動診の感覚

動診とは操体法における動作のしやすさのチェックのことを言います。
早く動くと感覚がわかりにくいことがありますので、慣れないうちはできるだけゆっくりと丁寧に動いてみます。
左右の感覚の違い、動作の途中のつっぱり感の変化など等。
ゆっくり動きながら感じてみるといろいろなことに気づけます。

たわめの気持ちよさ

体を動かして操者の補助抵抗とつり合いながら体にテンションがかかる状態を「たわめ」と言います。
たわめが良い感じに決まるととても気持ちよい感覚がします。
その気持ちよさを単に体で感じるだけでなく全身全霊で味わうのです。

気持ちよさの中に浸るという感じでしょうか。
この感じが操体法の醍醐味でもあります。

脱力後の余韻

たわめの間をじっくり味わっていると気持ちよさが徐々に薄れてきますのでそうしたら脱力します。
その時の脱力後の余韻の気持ちよさがありますから、その余韻が消えるまで丁寧に味わいます。
体の緊張がほどけて全身に血液がじわーっと巡っていくような感じがします。

安心感に包まれて「このままで幸せ~♪」という感じになることもあります。
その余韻が薄れるまでじっくりと丁寧に味わうのです。

こんな感じで操法の最中だけでなく、その前後も含めてしっかり体に意識を留めながら行なうと、単に動作だけをやったときと比べて充足感・満足感がまったく違ってきます。
ぜひお試しください。