最近、なんだか子どもの元気がない――。

学校から帰ってきたら部屋にこもる、会話が少なくなった、やる気が見えない…。

思春期の子どもに対して、こんな風に感じている親御さんは少なくありません。

思春期は、心も体も大きく変化する時期です。

自分でもうまく説明できない「不安」や「イライラ」、身体の不調を抱えていることも多く、

それが表に出ないまま、どこかしんどそうな表情になっていることがあります。

そんなとき、「整体」ができることをご存じでしょうか?

整体といえば、大人が肩こりや腰痛で通うイメージがあるかもしれませんが、

実は思春期の子どもにとっても、心と体を整える有効なサポートになることがあります。

本記事では、思春期の子どもが抱える不調と整体の関係、

そして親御さんにできることについてお伝えしていきます。

見えづらいサインに気づき、やさしく寄り添うためのヒントになれば幸いです。

思春期に起こりやすい心と体の不調とは?

―「これって、ただの反抗期?」と思う前に―

子どもがいつもより元気がない、怒りっぽくなった、学校のことを話さなくなった――。

そんな変化に気づいたとき、親としては戸惑いを感じるものです。

「何かあったの?」と尋ねても「別に」とそっけない返事。

本当は何か困っているのかもしれないと心配になっても、どう踏み込んでよいのかわからず、不安だけが募っていく…。

これは、どの親御さんにも起こりうる自然な感情です。

思春期は、身体的にも精神的にも大きな変化が訪れる時期です。

身長が急に伸びたり、声変わりがあったりといった身体の成長と同時に、

ホルモンバランスが大きく変動し、自律神経にも影響を及ぼします。

その結果、心と体のバランスをうまく取れず、不安定な状態になりやすくなるのです。

この時期に現れる子どもの変化は、「反抗期だから仕方ない」「よくあること」と

ひとまとめにされがちですが、その裏に“隠れた不調”が潜んでいることは、意外と見落とされがちです。

● 身体に現れやすい不調の例

思春期の不調は、心だけでなく体にもはっきりと現れます。たとえば――

  • 頭痛や肩こり、背中の痛み

     長時間のスマホ使用や勉強による姿勢の乱れ、ストレスによる筋肉の緊張などが原因で起こります。成長期の体は骨格も変化しているため、歪みが起こりやすいのです。

  • 慢性的な疲れや倦怠感

     しっかり寝ているはずなのに疲れが取れない、常にだるそうにしている…それは単なる運動不足ではなく、自律神経の乱れによるものかもしれません。

  • 胃腸の不調(腹痛、便秘・下痢、食欲不振)

     ストレスを強く感じやすい子は、お腹に症状が出やすい傾向があります。特に朝になると腹痛を訴えるようなケースは、心理的な緊張や不安が背景にあることも。

  • 睡眠の質の低下・昼夜逆転

     交感神経が過剰に働いてリラックスできず、眠れない、夜更かししてしまうといった状態になることもあります。昼夜逆転が長引くと、ますます心身のバランスが崩れていきます。

● 心の不調が、体に「症状」として現れる

思春期の子どもたちは、まだ自分の心の状態をうまく表現する術を持っていません。

「なんだかしんどい」「イライラする」「理由もなく泣きたくなる」――

こうした感情の波をどう処理していいのかわからず、

無意識のうちに心のストレスが“体の不調”という形で現れてくるのです。

たとえば、

  • 「学校に行こうとするとお腹が痛くなる」

  • 「テスト前になると頭痛がしてくる」

  • 「朝、体が重くて起き上がれない」

これは怠けではなく、体が限界を知らせるサインです。

そしてこのサインは、本人すら気づいていないことも多いため、

大人の側が「気づく力」を持つことがとても大切になります。

● 「元気に見えても、実はつらい」こともある

中には、外から見ると元気そうに見える子もいます。

でも、いつも明るくふるまっている子ほど、実は深く悩んでいたり、

「弱音を吐いてはいけない」と無理をしているケースも少なくありません。

学校では頑張っているけれど、家に帰るとどっと疲れが出る。

親には何も言わないけれど、何となく様子がおかしい――。

こうしたサインに気づけるのは、日頃から子どもを見ている親御さんだからこそ、なのです。


思春期は、「自立したい」という気持ちと「まだ甘えたい」という気持ちが交錯する難しい時期。

本人にとっても苦しく、親御さんにとっても試されるような時期かもしれません。

そんな中で、子どもの不調を“心の問題”として一括りにせず、

「体のバランスが崩れているのかもしれない」という視点を持つことは、

親としての新しい気づきにつながるはずです。

次章では、こうした思春期の子どもに対して、整体がどのように役立つのかをご紹介していきます。

思春期に整体ができるサポートとは

― 心と体をやさしく整える「非言語的なアプローチ」 ―

思春期の子どもにとって、自分の不調を言葉で説明するのはとても難しいことです。

「よくわからないけど、なんかつらい」「自分でも理由がわからない」

そんな曖昧な感覚を抱えながら、日々を過ごしている子どもたちは少なくありません。

整体は、言葉ではなく「体」からその不調にアプローチしていく、非言語的なサポート手段です。

身体のゆがみや緊張、呼吸の浅さ、筋肉や関節の状態、自律神経の反応など、

整体師は体の情報から「今、どんな負担がかかっているのか」を丁寧に読み取り、

やさしく整えていきます。

この「触れる」「整える」という穏やかな刺激は、子どもの心に安心感をもたらし、

交感神経で緊張していた体が、ふっと緩む瞬間を生み出すことがあります。

● 自律神経のバランスを整える

思春期の不調の多くには、自律神経のアンバランスが関わっています。

整体では、過緊張している筋肉を緩めたり、背骨や骨盤を整えることで、

自律神経の働きを調整するサポートが可能です。

  • 深い呼吸がしやすくなる

     整体により胸郭や背中が柔らかくなると、呼吸が深まり、副交感神経が優位になります。これは「安心・リラックスモード」へのスイッチです。

  • 眠りの質が改善する

     自律神経のバランスが整うと、入眠しやすくなり、朝もすっきり起きやすくなります。

  • 消化器の働きが回復する

     お腹周りの緊張を緩め、内臓の血流が促進されることで、便秘や胃腸の不快感が改善するケースも多く見られます。

●「がんばらなくていい場所」を持つことの大切さ

整体の施術は、「治す」というよりも、「整える」「ゆるめる」「気づきを促す」ことを大切にしています。

その時間は、子どもにとって「がんばらなくていい」「評価されない」安心の場となることもあります。

多くの子は、家庭でも学校でも「こうしなさい」「がんばって」と言われ続けています。

そんな中で、静かに体に触れられ、自分のペースで過ごせる整体の時間は、

心の緊張をほぐし、「自分はそのままでいいんだ」と感じる貴重な体験にもなるのです。

● 親御さんが「安心」することが、子どもにも伝わる

実際、思春期のお子さんの整体を受けた後、

「子どもの顔つきが変わった」「笑顔が戻った」「久しぶりに夜ぐっすり眠っていた」

というお声をいただくことがよくあります。

そして何より大切なのは、親御さん自身が安心できることです。

「何かできることがあった」と感じられることで、親御さんの心にもゆとりが生まれ、

その落ち着いたエネルギーが、知らず知らずのうちにお子さんにも伝わっていきます。

整体は、親子の間に新しい関わり方のきっかけをつくる、やさしい方法でもあるのです。

思春期の子どもが整体を受ける際のポイント

― 押しつけず、自然に導くことが大切 ―

思春期は「自分で決めたい」という気持ちが強くなる時期です。

だからこそ、親御さんが「連れていきたい」という気持ちだけで一方的に予約を取り、無理に整体を受けさせようとすると、逆効果になることもあります。

大切なのは、子ども自身が「受けてみてもいいかな」と思える環境を整えること

たとえばこんな声かけが、子どもの心に自然に届くことがあります。

  • 「こういう整体があるんだけど、ちょっと話だけ聞いてみない?」

  • 「疲れてるみたいだけど、少し体をゆるめると楽になるかもよ」

  • 「無理に受けなくてもいいけど、行くだけでもいいんじゃない?」

このように、選ぶのはあなたなんだよ、という姿勢を見せることが、思春期の子どもにとっては大きな安心材料になります。

● 信頼関係を築ける整体師を選ぶ

思春期の子どもは、大人の「言葉の裏」を敏感に感じ取ります。

だからこそ、話し方や接し方が自然で、信頼できる整体師との出会いがとても大切です。

当院では、初回はまず親御さんとお子さんを交えてじっくりお話を伺い、

無理なく関係性が築けるよう、ペースを大切にしています。
「なんだか安心した」「また来てもいいかも」と子どもが感じてくれたなら、それはとても良いスタートです。

● 体験を重ねて「自分の変化」に気づくように

思春期の子どもは、「良かった」「変わった」と言葉にするのが苦手な場合もあります。

でも、整体を数回受けるうちに、親御さんが気づく小さな変化が現れることがあります。

  • 表情がやわらかくなった

  • 呼吸が深くなった

  • 口数が増えた

  • 食欲や睡眠のリズムが安定してきた

こうした変化は、「体が整ってきた」ことのサインでもあります。

そして、子ども自身が「あれ? ちょっと楽かも」と自覚することで、整体が自分にとっての“味方”になっていくのです。

● 無理なく、続けられることを大切に

整体は、定期的に受けることで効果が持続しやすくなりますが、

無理に頻度を増やしたり、施術を「治療の場」にしてしまうと、子どもにとって負担になってしまいます。

大切なのは、子どもが「行きたい」と感じられる距離感で続けていくこと

気持ちの面でも、体の変化の面でも、子ども自身のペースを尊重してあげてください。