朝、目覚まし時計が鳴っても布団から出られない――これは多くの中学生や高校生が直面する日常の一部です。
しかし、その理由は単なる「怠惰」や「寝坊癖」だけではありません。

実際、この現象の背後には医学的な要因が潜んでいます。
その一つが、「起立性調節障害」です。
起立性調節障害は朝起きることが難しく、朝の活動に支障をきたす若者たちにとって、日常生活を脅かす重大な問題となっています。

起立性調節障害は、主に血圧や心拍数が急激に変化することに関連しています。
通常、立ち上がるときに血液が体の下半分に急激に流れ込み、それによって脳への血流が一時的に不足することがあります。

これにより、起立後のめまいやふらつきが生じる場合があります。
一般的には、このような症状は数秒から数分で自然に改善しますが、起立性調節障害を抱える人々にとっては、この症状が長期間続くことがあります。

なぜこの障害が中学生や高校生に特に影響を与えるのかを理解するためには、若者の身体的・生理学的な発達に関する知識が重要です。
若年層では、成長に伴って身体的な変化やホルモンの分泌の変化が起こります。これにより、起立性調節障害がより顕著に現れることがあります。
特に、身体的成長が急速に進む思春期には、この問題が顕著になることがあります。

この記事では、起立性調節障害の原因や症状、そして対処法について詳しく探っていきます。

起立性調節障害で朝起きられない原因

起立性調節障害で朝起きられない原因は複数あります。
それぞれの原因について解説します。

不眠

中高生の多くは、スマートフォンやタブレットなどの電子機器を使用しているため、就寝前にスクリーンのブルーライトを浴びることになります。
ブルーライトは、睡眠を妨げるメラトニンの分泌を抑制する可能性があり、結果として不眠を引き起こす可能性があります。
また、学業や社会活動のストレスによっても不眠が引き起こされることがあります。

さらに、不眠は起立性調節障害と関連していることがあります。
不眠状態が続くと、身体の疲労やストレスが増加し、起立性調節障害の症状が悪化してしまうことがあります。

不眠によって睡眠の質が低下し、朝起きることがますます困難になってしまうのです。
さらに、不眠状態が長期間続くと、身体のバランスや循環系に影響を与える可能性があり、起立性調節障害の症状を悪化させます。

疲れが抜けない

睡眠を十分にとっても朝起きられないケースには、身体の疲労物質が抜けていかないことが考えられます。
睡眠中、私たちの身体は休息を取りながら、日中の活動で蓄積した疲労物質を分解・排出します。

しかし、このプロセスがうまくいかない場合、睡眠をとったにもかかわらず、身体が十分にリフレッシュされず、朝起きることが困難になります。

身体の主要な疲労物質の一つは乳酸です。
乳酸は、運動や日常の活動中に筋肉が使用される際に生成されます。

通常、睡眠中に筋肉のリラックスと修復が進む過程で、乳酸は分解されて血液中から排出されます。
しかし、身体の代謝や循環系に問題がある場合、このプロセスがうまくいかないことがあります。

エネルギー不足

朝起きられない原因の一つとして、エネルギー不足が考えられます。
私たちの身体は、日常の活動や生理機能を維持するためにエネルギーが必要です。

このエネルギーは食事から摂取される栄養素によって供給されます。
しかし、食事で必要な栄養素を十分に摂取できていない場合、身体は十分なエネルギーを得ることができず、朝起きることが困難になる可能性があります。

また、食事で摂取される栄養素の質も重要です。
十分な量のカロリーを摂取していても、栄養バランスが偏っていたり、ビタミンやミネラルなどの必須栄養素が不足している場合、身体の代謝やエネルギー生産がうまく機能しなくなります。
その結果、朝起きることが困難になることがあります。

したがって、朝起きられない原因としてエネルギー不足が考えられる場合は、食事の見直しや栄養バランスの改善が重要です。
バランスの良い食事を摂ることで、身体が必要なエネルギーを効果的に生産し、朝の活動にスムーズに取り組むことができるようになります。

胃腸の機能が低下しているために、十分な食事量を摂れないというケースもあります。
そのようなケースでは単に食事の量を増やすこと以外に、胃腸の機能を回復させる対策も必要になります。

頭痛

起立性調節障害において、朝から頭痛がして起きられない場合があります。
起立性調節障害は自律神経の機能異常によって引き起こされ、主に立ち上がる際に血圧がうまく調整されないことに起因します。

朝の頭痛は、この血圧の調整不全により、脳への血流が一時的に低下することで発生する可能性があります。
一晩中横になっている間に体液の分布が変化し、朝起きた時には下半身に流れる血液が通常よりも多くなっています。

これにより、朝一番に立ち上がった際に脳への血流が不十分となり、頭痛が引き起こされるのです。
この頭痛は、特に朝の時間帯に起きやすく、日が昇るにつれて徐々に改善することが多いですが、それが原因で朝の活動開始が遅れることがあります。

腹痛・過敏性腸症候群

起立性調節障害(OD)を抱える子供たちの中には、朝起きられない原因として腹痛を訴えるケースがあります。
特に、過敏性腸症候群(IBS)を併発している場合、この問題はより複雑になります。
過敏性腸症候群は消化管の慢性的な機能障害であり、腹痛や腹部の不快感、便通異常(下痢や便秘)などの症状が特徴です。

起立性調節障害自体が自律神経の乱れによるものであるため、自律神経は消化器系の機能にも大きく関与しています。
このため、ODとIBSが同時に存在する場合、自律神経の不調和が消化器系の症状を引き起こしやすくなるのです。

特に朝、体が一晩中休息状態から活動状態に移行する過程で、自律神経系のバランスが大きく変化することで、過敏性腸症候群の症状が悪化することがあります。

さらに、過敏性腸症候群の症状はストレスや不安によっても増悪されるため、学校への通学や日常生活のプレッシャーがこれを悪化させる要因となることが多いです。
朝の腹痛はこれらの心理的ストレスに起因することもあり、その結果、朝起きることが一層困難になります。

精神的ストレスなど心理的要因

起立性調節障害(OD)を抱えている中高生において、朝起きられない原因として精神的ストレスやその他の心理的要因が関係している場合があります。
ODは自律神経のバランスが崩れることによって引き起こされる症状で、この自律神経の不調は心理的なストレスによっても悪化することが知られています。

学校生活や人間関係、将来に対する不安など、中高生が感じるストレスは多岐にわたります。
これらのストレスは、睡眠の質を低下させたり、睡眠パターンを不規則にしたりすることで、朝の起床を困難にさせることがあります。

特にODを持つ学生は、緊張や不安が身体的な症状、例えばめまいや立ちくらみとして現れやすいため、朝の起床時にこれらの症状が強く出ることがあります。

心理的ストレスが原因で朝起きられない場合、カウンセリングや心理療法を受けることで改善が見込まれます。
また、リラクゼーション技法を学ぶことや、適度な運動を取り入れることで、ストレス管理を助け、睡眠の質を向上させることが可能です。

起立性調節障害で朝起きられないお子様の親御様へ

当院では起立性調節障害で朝起きられない中学生・高校生に対して、自律神経のバランスを整える整体と分子栄養学に基づく栄養指導で根本改善のサポートをしています。

多くの場合、原因は一つではなく複合的な原因があります。
施術を受けるとその場は楽になりますが、根本改善のためには生活改善が必要です。
特に栄養面の改善が効果的です。

食事内容を見直すと元気に学校に登校できるようになるお子様が多いです。
食事に関しては病院では何も教えてもらえませんが、食事で自律神経のバランスを整えることができます。

お困りの方はぜひ当院にご相談ください。

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