執筆者:院長 上川名 修

野球肩が劇的に改善した症例

野球肩の症状は投球動作で肩の関節に痛みが生じる症状です。
スポーツ障害の一つです。当院での面白い症例を紹介いたします。

関節そのものに損傷がある場合には整体を受けても早期の回復は難しいですが、関節そのものが損傷していなければ全身のバランスの調整により肩関節にかかるストレスを減らすことができます。

関節を痛めている場合でも、炎症の痛みが治まれば整体で回復のお手伝いは可能です。
炎症が起きてちょっと動かすだけで肩に激痛が走るような場合には施術でその場で完全に痛みが消えるということはありません。

また、痛めている部位によっても対処法が異なります。
関節の内部なのか、関節に付着する筋肉のトラブルなのかによっても対応は変わってきます。

野球肩とは?

野球肩は、野球などの運動で反復的な投球動作を繰り返すことによって生じる肩の障害です。
一般的な症状は以下の通りです。

  1. 肩の痛み: 一般的には肩の後方や上腕部に痛みが現れます。投球時や特定の動作時に悪化することがあります。

  2. 可動域の制限: 肩の可動域が制限され、肩を上げたり後ろに引いたりする動作が困難になることがあります。

  3. 筋力の低下: 肩の周囲の筋肉の筋力が低下し、力を入れることが難しくなることがあります。

  4. 炎症や腫れ: 肩の関節周囲や筋肉に炎症が生じ、腫れることがあります。

  5. しびれや痺れ: 重症の場合、腕や手にしびれや痺れが生じることがあります。

野球肩は、投球の際に肩にかかるストレスが原因で生じることが多く、特に投球回数や投球スタイルが過剰な場合に発症しやすいです。
適切な治療やリハビリテーションを行わないと、慢性化する可能性がありますので、早めの対処が重要です。

野球肩と関連する筋肉

棘上筋、棘下筋、小円筋、大円筋、上腕三頭筋、上腕二頭筋、三角筋など、肩関節や肩甲骨周辺の筋肉が野球肩と関係しています。

例えば三角筋を痛めているとすれば、三角筋の治療をすればよいと思われるかもしれませんが、そう単純ではありません。

当院では痛めている筋肉はそっとしておいて、その筋肉にかかるストレスを軽減するバランスを新たに作っていきます。つまり痛めていない筋肉のバランスを調整するのです。

多くの場合、痛くない部位の筋肉や筋膜が固まったりがよじれていることにより、患部にストレスがかかり痛みが出ているのです。
これは野球肩に限ったことではなく他の症状でも良くみられることです。

だから痛い部位やその周辺だけを見ていてはダメなのです。
当院ではより広い視点で肩の施術に取組んでいます。

野球肩の整体の症例

野球肩の施術例

野球肩(投球障害肩)の中学生が来院しました。
大学病院のリハビリにも通っています。
春からは県外の野球強豪校に入学予定です。

足首も固くてよく捻挫をするとのこと。
昨年は4回も左足首の捻挫をしたそうです。

猫背が強い姿勢でした。

腕を横から上げようとすると、130度くらい腕を拳上したときに肩関節が引っかかってしまいます。
骨盤の歪みもあり、ベッドに腰掛けたまま膝を持ち上げてもらうと(股関節屈曲)、右の股関節に違和感が生じます。

足首に原因があった!?

左の足首が固まっているようでしたので、足首を動かしてみました。
外転動作がきつかったので、腰掛けたまま足首を内転してもらいながら、私はそれに補助抵抗をかけます。

すると野球少年が「おおお~!」と言いながらニコニコ顔に。

「なんか気持ちがいい感じがあるでしょ。」と聞くと「はい!」と返事。
さすが運動選手だけあって感覚も鋭く綺麗な連動も出ています。

体の内側を伝わって連動している感じが私の手にも伝わってきます。
この感じがあるととても効果が出ます。

十数秒その状態を味わってもらって、再度足首を動かしてもらうと、楽に動けるようになりました。
右股関節の屈曲動作も楽になりました。

さらには右肩の外転動作も楽々に!!
横で見ていたお母さんもびっくりです!

猫背の矯正

この少年は強い猫背でした。
座って骨盤を立てるように座ろうとしても、腰や背中が窮屈なのです。

そういう場合は、背中の矯正をするのではなくて、土台の骨盤の歪みを矯正する必要があります。

三軸操体の膝倒し操法をして再度座ってもらうと、猫背が解消しとても姿勢が良くなりました。
頑張らなくてもいい姿勢になるのです。横のお母さんもまたまたびっくり!

「来月から県外の高校に入るために引っ越しちゃうんです。もっと早く知っていればよかった!」と言っていただけました。

スポーツ選手の施術

スポーツをやっているクライアントさんにはとても喜んでいただけます。
通常は患部の治療と言えば、その部位をマッサージしたりストレッチしたりということが一般的ですが、当院では患部にはほとんど触らないでも患部の状態が変化するので、患部に負担がかからないのです。

この野球肩の少年にしても、原因が足首にあったわけですから、肩の関節のリハビリをいくら繰り返してもあまり効果的ではなかったというわけです。

高校入学の引っ越しまでまだ日数もあるので、何度か通院することになりました。
自分で操体法をできるようになって日々の体のメンテナンスに活かしていただきたいです。