「服が皮膚に触れるだけでも痛い」
そんな症状で来院された60代女性の症例をご紹介します。
この方は約1か月前に帯状疱疹を発症し、医療機関で抗ウイルス薬による治療を受けました。発疹は治まったものの、その後も痛みが続き、病院では「帯状疱疹後神経痛」と診断されていました。
特に気になっていたのが、服が皮膚にこすれるだけでも痛みを感じる症状です。
これは「アロディニア」と呼ばれる、通常なら痛みを感じない程度の刺激を痛みとして感じてしまう状態で、帯状疱疹後神経痛でみられることがあります。
今回は、このような強い痛みのある状態に対して、多次元操体法による施術を行ったところ、初回の施術後から「痛みがかなり楽になった」と大きな変化を感じていただきました。
施術後には、そのまま買い物をして帰られたそうです。
この記事では、帯状疱疹後神経痛やアロディニアについて解説するとともに、当院がどのような考え方で多次元操体法を行っているのか、そして施術と栄養療法の両面からどのように根本改善を目指していくのかをご紹介します。
帯状疱疹が治った後も続く痛み「帯状疱疹後神経痛」

発疹が治っても、痛みだけが残ることがあります
帯状疱疹は、身体の左右どちらか一方に、痛みを伴う赤い発疹や水ぶくれが現れる病気です。治療によって発疹が治まっていくと、「これで帯状疱疹も治った」と思う方も多いかもしれません。ところが、皮膚の症状が改善した後も、痛みやしびれなどが残ることがあります。その代表的なものが「帯状疱疹後神経痛」です。
帯状疱疹の原因となるウイルスは、神経に沿って炎症を起こします。その影響によって神経が傷ついたり、痛みを伝える神経の働きに変化が生じたりすることで、皮膚の症状が治まった後も痛みが続くことがあります。「発疹はもう治ったのに、どうしてまだ痛いんだろう?」今回来院された女性も、まさにそのような状態でした。
帯状疱疹後神経痛では、さまざまな痛み方があります
帯状疱疹後神経痛の痛み方は、人によってさまざまです。焼けるような痛み、ズキズキする痛み、ピリピリ・チクチクするような痛み、しびれを伴う痛みなどがあります。そして今回の患者さんに特徴的だったのが、**「服が皮膚にこすれるだけでも痛い」**という症状でした。
これは「アロディニア」と呼ばれる症状の一つです。本来なら痛みを感じることのないような軽い刺激でも、痛みとして感じてしまいます。服を着る、布団に触れる、皮膚に軽く触れるといった日常生活の何気ない刺激が痛みにつながるため、身体的なつらさだけでなく、日常生活にも大きな負担になることがあります。
次の章では、この「アロディニア」について、もう少し詳しく説明していきます。
服が触れるだけでも痛い「アロディニア」とは?

本来は痛くない刺激を「痛い」と感じる状態
「アロディニア」という言葉は、あまり聞き慣れないかもしれません。簡単にいうと、本来なら痛みを感じない程度の刺激を、痛みとして感じてしまう状態のことです。
例えば、服や下着が皮膚に触れる、布団が患部に当たる、誰かに軽く触れられるといった、通常なら痛みを感じることのない刺激でも、強い痛みを感じることがあります。
帯状疱疹では、皮膚だけでなく、その奥にある神経にも炎症やダメージが生じることがあります。その影響によって、痛みを感じる神経の働きが過敏になり、こうしたアロディニアが起こることがあります。
「触れるだけで痛い」ことが日常生活の負担になります
アロディニアのつらさは、痛みそのものだけではありません。服を着る、寝返りをする、布団をかけるなど、普段は意識することのない動作まで痛みにつながってしまうことがあります。
今回の60代女性も、服が皮膚にこすれるだけで痛みを感じる状態でした。発疹そのものは治まっているのに、日常生活の中では常に皮膚への刺激を気にしなければならない。これは身体だけでなく、気持ちの面でも大きな負担になり得ます。
このようなとき、当院では「痛いところを強く刺激して何とかしよう」とは考えません。むしろ、今の身体がどのような刺激を心地よく感じるのか、どのような動きなら無理なくできるのかを丁寧に探していきます。
次の章では、今回の症例に対して行った多次元操体法についてご紹介します。
多次元操体法では、症状だけに捉われず身体全体を整える

「痛いところ」だけを見るのではなく、身体の反応を感じ取る
今回の施術では、多次元操体法を行いました。多次元操体法では、症状のある場所だけに捉われて身体を調整するのではなく、身体全体の反応を丁寧に感じ取りながら施術を行います。
身体には、「こちらのほうが楽」「この動きなら気持ちいい」「この刺激なら力が抜ける」といった感覚があります。そこで、無理に身体を動かしたり、強く押したりするのではなく、その人の身体が快適に感じる刺激や動作を選択していきます。
痛みが強いときほど、「痛みを何とかしよう」と力が入りやすくなります。しかし、身体にとって心地よい刺激を選びながら施術していくことで、身体が余計な緊張を手放しやすい状態をつくっていきます。
身体だけでなく、脳・神経系の緊張にも目を向ける
多次元操体法では、筋肉や骨格だけでなく、脳や自律神経系を含めた身体全体の状態を整えていくことを大切にしています。
痛みが続いていると、身体はもちろん、無意識のうちに緊張が続いていることがあります。そこで、身体が「気持ちいい」「安心できる」と感じる刺激や動きを手がかりにしながら、心身の緊張が緩んでいく状態を目指します。
今回も、症状だけを追いかけるのではなく、患者さん自身の身体の反応を確認しながら、無理のない施術を行いました。
初回施術後からアロディニアの痛みが大幅に改善|60代女性の症例

「施術を受けた後、痛みが楽になりました」
今回の患者さんは、約1か月前に帯状疱疹を発症した60代女性です。医療機関で抗ウイルス薬による治療を受け、発疹は治まってきたものの、痛みが残っていました。特に、服が皮膚にこすれるだけでも痛みを感じる状態で、帯状疱疹後神経痛と診断されていました。
初回の施術では、多次元操体法によって身体が快適に感じる刺激や動作を探しながら、身体の歪みや緊張を整えていきました。
施術を終えた後、患者さんは痛みが大幅に楽になったことを実感されました。そして、そのまま帰宅するのではなく、帰りに買い物をして帰られたそうです。
症状だけでなく「日常生活がどう変わったか」を大切にする
痛みがあると、「痛みが何割減ったか」ということに意識が向きがちです。しかし、私たちが大切にしたいのは、それによって日常生活がどう変わったかということです。
今回も、服が触れるだけでもつらかった状態から、施術後には買い物をして帰れるほど楽になったという変化がありました。
もちろん、帯状疱疹後神経痛は経過に個人差があり、一度の施術ですべてが解決するとは限りません。今回の初回施術で感じられた変化を一つのきっかけとして、これから身体がより整いやすい状態をつくっていくことが大切だと考えています。
多次元操体法と栄養療法で、身体が整う土台をつくる

身体を整えるだけでなく、身体をつくる
今回の症例では、施術によって初回から大きな変化を感じていただくことができました。今後は多次元操体法による施術に加えて、栄養面からも身体をサポートしていく予定です。
当院では、身体を整えることだけでなく、「身体をつくる」ことも大切だと考えています。そのため、食事では高タンパク質を基本に、糖質の摂り方にも配慮しながら、ビタミンやミネラルなどの必要な栄養素をしっかり摂ることを意識していきます。
身体が本来の状態を取り戻していくためには、身体を調整することと、身体をつくる材料を確保すること、その両方が大切だと考えています。
身体が本来持っている「治る力」が発揮されやすい状態へ
多次元操体法では、身体の声を聞きながら、身体が快適に感じる方向へと整えていきます。そして栄養面では、身体をつくるために必要な材料をしっかり補っていきます。
「症状をなくすこと」だけを目的にするのではなく、身体全体が本来持っている力を発揮しやすい状態をつくっていく。これが当院が考える根本改善へのアプローチです。
今回の患者さんについても、初回施術で感じられた良い変化を一時的なものに終わらせるのではなく、今後の身体の変化を丁寧に見ながら、多次元操体法と栄養療法の両面からサポートしていきたいと思います。
帯状疱疹後神経痛やアロディニアによる痛みでお悩みの方も、まずは現在の身体の状態を一緒に確認していきましょう。身体には、あなた自身がまだ気づいていない「治る力」が備わっているかもしれません。


