執筆者:院長 上川名 修
バレエは、優雅さと高い技術が求められる芸術ですが、同時に身体への負担も大きいパフォーマンスです。
しなやかな動きや美しいラインを保つためには、骨格や筋肉のバランスが重要ですが、歪みが生じると、思わぬ制約や怪我のリスクを招くことがあります。
実は、整体はバレエダンサーにとってパフォーマンス向上をサポートする強力な手段となり得ます。
本記事では、身体の歪みがどのようにバレエの動きやパフォーマンスに影響を与えるのか、そして整体がいかにしてその改善を助けるのかについて詳しくご紹介します。
身体の歪みがバレエのパフォーマンスに与える影響
バレエにおいて、身体の歪みはパフォーマンスに直接的な影響を与えます。
バレエは非常に高い精度と柔軟性、バランスが求められるため、骨格や筋肉のわずかな不均衡でも動きの制約や怪我のリスクを増大させます。
以下に、歪みがどのようにバレエのパフォーマンスに影響するかを説明します。
1. バランスと安定性の低下
身体の歪みがあると、片方の筋肉が過剰に緊張し、もう片方が弱まることがあります。
これはバレエにおける片足での立ち姿勢や複雑なターンの際、安定性を保つのが難しくなる原因となります。
特にコア(体幹)のバランスが取れていないと、動作がぎこちなくなり、全体的なラインが崩れやすくなります。
2. 可動域の制限
歪みがあることで、関節の可動域が制限されることがあります。
たとえば、骨盤が傾くと脚の上がり方が左右で異なったり、背骨のアライメントがずれるとアラベスクやジュッテの高さが制限されることがあるでしょう。
これにより、パフォーマンス全体のクオリティに影響が出てしまいます。
3. 柔軟性と伸びの減少
歪みがあると、筋肉が均等に伸びなくなり、片側が過剰に緊張するために柔軟性が低下します。
バレエにおいては、しなやかで優雅な動きが要求されるため、歪みによる柔軟性の欠如は、動きに硬さを与え、観客に不自然な印象を与える可能性があります。
4. 筋力と持久力の低下
身体の歪みにより、一部の筋肉が常に過度に働くことで、疲労がたまりやすくなります。
パフォーマンス中にエネルギーの消耗が激しくなり、長時間の練習やパフォーマンスに耐えられなくなる場合があります。
また、左右均等な筋力が求められる場面で、弱い側の筋肉が十分にサポートできないこともあります。
5. ケガのリスク増加
歪んだ姿勢やアライメントの乱れにより、関節や筋肉に余計な負荷がかかりやすく、膝や足首などの怪我のリスクが増加します。
バレエは非常に繊細な動作の積み重ねであるため、ケガの予防もパフォーマンス向上の重要な要素です。
整体によるバレエのパフォーマンス向上
バレエは、優美な動きや技術を求められる舞台芸術の一つであり、ダンサーたちは常に技術や柔軟性を向上させる努力をしています。
整体はバレエダンサーにとって重要な役割を果たします。
バレエのパフォーマンス向上を目指すためには、身体のバランスや柔軟性、姿勢の改善などを促進する整体の効果が非常に大きいのです。
身体のバランスの調整
バレエの技術は、身体のバランスが非常に重要です。整体では、身体の歪みや不均衡を改善し、バランスを整えることができます。これにより、ダンサーはより安定した姿勢を維持しやすくなり、技術を向上させることができます。
柔軟性の向上
バレエでは、柔軟性が美しい動きや難しいポーズを行うために必要不可欠です。
整体によって筋肉や関節の柔軟性を向上させることができるため、ダンサーはより広い可動域を得ることができ、美しい動きを表現することができます。
姿勢の改善
正しい姿勢は、バレエダンサーにとって非常に重要です。
整体によって姿勢の歪みや猫背などの問題を改善することで、ダンサーはより美しいラインを形成し、パフォーマンスをより魅力的にすることができます。
怪我の予防
バレエは高度な技術を要求するため、怪我のリスクが高い場合があります。
整体によって筋肉や関節のバランスを整え、身体の柔軟性や安定性を向上させることで、怪我の予防にも効果的です。
整体による改善例
バレエと言えば子供の頃から始めるもの、なんてイメージがありましたが大人になってからバレエを始める方も増えているようです。
当院に定期的に通っているクライアントさんもその一人です。
バレエのブログも初めてそれがブログランキングの上位になったりしてかなり精力的にバレエに取組まれています。
週に数回バレエのレッスンを受けられていて、当院には毎週通院しながらその時々で気になっているところが改善するようにお手伝いをしています。
今回は、左右でバレエのポーズを取った時の違いがあるのでそこに焦点を置きながら整体で調整してみました。
ポーズの名前は忘れちゃいましたが、いわゆる片足を曲げて片足で立つバレリーナっぽいポーズです(^_^;)
左脚を軸にしたときにはしっかり安定するのですが、右足を軸にするとグラグラと体幹がグラつきます。
試しに私も同じようなポーズを取って立ってみると右のわき腹のあたりに負担を感じました。
そこで、クライアントさんの右わき腹が伸びるような整体をやってみようかと思ったのですが、彼女の場合は逆に左わき腹の緊張が強いことがわかりましたので、その辺りが伸びるような操法を試してみました。
それで再度ベッドの横に立ってもらうと、今度はすっと安定して立てるようになりました!
と言いたいところですが、やはり右脚を軸にするとグラグラ身体が揺れます。
先ほどは全体がグラグラして見えたのですが、今度は足首のあたりに不安定さを感じました。
私の直観が足首だ、と言いました(^^)
直観に尋ねて足首の自由を取り戻す
そこで、再度ベッドに仰向けになってもらって足首の底屈、背屈の動きを調べると左足に比べて右足首の動きがやりにくいことがわかりました。
そこで右足首の調整をしました。これでOK!
ともう一度ベッドから立ち上がってもらってまた同じポーズを取ります。
OKと思ったけど、やっぱりなんかグラつきます。
私の直観もなかなかあてになりません(^_^;)
そこで直接クライアントさんに訊いてみます。
「右脚を軸にしてポーズを決めた時、どこに負担を感じますか?」
するとやはり「右の足首の内側に違和感があります。」とのこと。
足首は間違ってなさそうです。
先ほど底屈、背屈の動きは改善しましたが、今度はうつ伏せになってもらって内転、外転の動きをしてみると外転の動きの制限が見つかりました。
ちなみに左の足首は内転、外転ともにクルクルスムーズに動きます。
そこでうつぶせのまま足首ひねり操法をやって、そこから骨盤や脊柱に連動を繋げていきます。
気持ちよさを味わってもらいました。
そして、再度立ってポーズを取ってもらうと、今度はしっかりすっと立てるようになりました。
先ほどのグラグラ感もなくなり静止して綺麗に立てるようになりました。
スポーツやダンスやバレエなどにおけるパフォーマンス向上のお手伝いもしていますが、日常生活の中で痛みがあるわけでないので、可動域なども通常以上に細かく検査をしながら観ていきます。
それでもわからない時にはご本人の感覚に尋ねます。
わからなくない時でも直接尋ねることもあります。
体に訊きながら調整を進めると間違いないのです。