執筆者:院長 上川名 修

関節をポキポキ鳴らす矯正法があります。
そのような施術を求めている人もいらっしゃいます。

当院でも開業当初は行なっていましたがもう15年以上行なっていません。
やらなくなった理由も含めてそのようなテクニックについて解説してみます。

ポキポキするテクニックとは?

関節をポキッと鳴らす施術法があります。
矯正するときに関節から音が鳴ります。

私は開業前にカイロプラクティックのスクールに通ったので主にそのような矯正方法を学びました。
サブラクセーションと呼ばれる関節のズレを検査によって検出し、手技でそのズレを矯正します。
瞬間的に素早い動きで矯正するのですがその時にポキッと音が鳴ることがあります。

ディバーシファイド・テクニック

私が学んだのはカイロプラクティックのディバーシファイド・テクニックと呼ばれる技術でした。
他にも関節を鳴らす手技はいろいろありますが私は主にこれを学びました。

痛いイメージがありますが、上手にやるとほとんど痛みはありません。
受ける人が緊張して余計な力が入っていると痛いこともあります。

リラックスした状態で適切な矯正をすれば痛みはありません。
ポキッと音がすることで精神的にも「骨が矯正された」という感覚が強まる傾向があります。

ポキっと鳴るのは何の音?

ところでポキッと鳴る音は何の音かと言えば、関節内部で気体のガスがはじける音であると言われています。
カイロプラクティックのスクールに通っていたときにそのように教わりました。

指関節の「ポキッ」という破裂音はまさしく文字通りの現象であることを明らかにした研究論文が29日、発表された。この特徴的な音は、手の関節液の微小な気泡が崩壊することで発生するのだという。

 仏エコール・ポリテクニーク(Ecole Polytechnique)と米スタンフォード大学(Stanford University)の研究チームは、幾何学的に表現した関節と数理モデルを用いて、関節音の発生に至る現象のシミュレーションを行った。

 エコール・ポリテクニークのアブドゥル・バラカト(Abdul Barakat)教授は「指関節を鳴らした時に生じる音の原因は、関節内の液体中にあるキャビテーション気泡の部分的な崩壊だ」と説明する。

引用:指の関節なぜ鳴る、100年の謎解明か…

指などを鳴らすと何となくスッキリするという人もいますが、それは気分的なものですし鳴らしたから状態が良くなるというわけでもないのでむやみに鳴らすのは辞めた方がいいと思います。

カイロスクール時代に良く言われたのは、必ずポキッと矯正音がしないといけないわけではなく、音が鳴らなくても矯正出来ているかどうかとはあまり関係ないと言われていました。

関節を鳴らす矯正をしない理由

開業当初はスクール時代に教わったような矯正法を行なっていました。
しかし、いろいろな疑問を感じるようになりました。

  • 矯正効果に対する疑問
  • 不安を感じる人も一定数いる
  • ポキポキしなくても安全に矯正出来る

等のことを考えるようになったのです。

矯正効果に対する疑問

関節を鳴らすこと自体は矯正の成功とは関係ないということでしたが、直接関節のズレを一気に押し込むようなある意味乱暴なやり方で本当に体にとって良いのだろうか?という疑問を感じるようになりました。

当時は無理のない自然な整体法を探究していたので、「矯正」という言葉にすら違和感を覚えるようになっていました。

また整体院に勤めていたときには矯正をした後に筋肉をほぐす施術をしていました。
矯正で効果が出せるのであればわざわざ筋肉をもみほぐす必要はないはずです。
そんなわけで効果に対する疑問を持っていました。

不安を感じる人もいる

関節を鳴らす矯正を望む人がいる一方で、どうしても不安や恐怖心を感じる人も一定数いるのです。
怖そう、痛そうと思うだけで施術を受けるときに体は緊張します。

私はリラックスして施術を受けて頂きたかったので優しいソフトな技術を学び続けていました。
なのでディバーシファイド・テクニックのような矯正はだんだんやらなくなっていきました。

ポキポキしなくても安全に矯正出来る

様々な整体技術を学ぶ中で優しい刺激でもきちんと体が変化することがわかってきました。
わざわざ不安や恐怖心を呼び起こすような施術をしなくても、終始安心してリラックスできる雰囲気の中で施術を提供したいと思っていました。

カイロプラクティックの操体法をはじめとして優しくゆったりとした手技にシフトしていきました。

誤解のないように申し上げますとポキポキ矯正を否定するわけではなく、望んでいる人に適切に行なう場合にはとても効果的なテクニックです。
単に私自身が目指している方向性とは少し異なるので使わなくなったということです。

当院では操体法という施術を行っています。
自然法則を活用した穏やかな施術法です。

赤ちゃんや野生動物がしているような無意識の本能的な動きを取り入れて、自然に体の歪みを整えます。

外側から矯正したり、ほぐしたり、緩めたりするのではなく、自然と体の内側から自発的に緩んでほぐれて、結果としてあるべき姿に矯正されていくような施術をしています。